カスピ海ファンのみなさまこんにちは。
去年、ロシアとイランをはじめとするカスピ海沿岸諸国がカスピ海の共同主権を打ち立てようみたいなことを言っていましたが、そこから1年あまり、つい先だってはカスピ海からのロシア海軍による巡航ミサイル攻撃が話題となり、今度は、カスピ海でロシア海軍とイラン海軍がミニ演習をやっている模様。
Russia: Iranian warships join Caspian flotilla at Astrakhan port
英語で書かれた記事によれば、イランの艦船が10月21日、ロシア海軍のカスピ海小艦隊の基地であるアストラハンに到着し歓迎の式典が開かれたということだそう。今後両海軍による演習が行われるということらしい。
Published time: 22 Oct, 2015 19:01
Iranian warships arrive in Russian port of Astrakhan
https://www.rt.com/in-motion/319429-iranian-warships-russian-fleet/
■ 「カスピ海は俺らの海」宣言の効果確認
カスピ海沿岸が、英米という外側からユーラシア奥地を侵略しようとするグループの手から解放されるといろいろと作戦能力が高まるということだったんだろうなとしみじみ思うわけだけど、この間のアサド大統領の極秘モスクワ訪問もこのルートあればこそであるらしい。
アサド大統領の訪問は、どこにも気づかれずに決行されて、アサド大統領がシリアに戻ってから発表された。
ではどこを通ったか。
おそらくこうだろうというのが、これ。ロシアのブロガーが特定したものらしい。しかしそれをスプートニクが掲載しているので、こういう風に発表されることが望ましいというクレムリン判断なのかなと思ってみたりはする。
モスクワからヴォルガ川と一緒にカスピ海に出て、そこからイラン領内に入れば、他国からどーこー言われる筋合いはないわけだね。
■ 地中海側の整備
ということは、今考えてみれば、9月中盤あたりに、ロシアがブルガリアに領空通過を求めてブルガリアが拒否する、ちょっと譲歩するみたいなことをがーがーやっていて、なんでブルガリア上空通過が必要なんだろうと不思議に思っていたことがあったけど、これって陽動作戦だったんだろうか? 注意を黒海側に惹きつける、みたいな。
シリア情勢大詰めみたい(何度目?)
さらに、同時期、懸案となっていたフランスの「ミストラル」がエジプトに売却されることになっていた。
つーことは、ロシアさんたら、そうそうウチにね結構いい装備があるんだけど、きっとよく適合すると思うよ、その新しいお船に、と言えるだよね。そも そもフランス製といってもロシアと共同開発部分のある船なんだし、ロシアにとっては使える船が仲の良い国に存在する、って話になる。
しかも、黒海の外に!
なんなのこれ。西側的にはこれってどうなの? なんか、ロシアまる儲けって気がするんですけど・・・。
ミストラル:仏政府、ヘリ空母をエジプトに転売
と9月末に書いていたんだけど、実際どうもそうなった模様。この船が必要な作戦があり得るとも思えないんだが、でもいろいろ象徴的ではある。
ロシアはエジプトの「ミストラル」のために設備とヘリを供給する
http://jp.sputniknews.com/business/20151020/1051666.html#ixzz3pSSeuHQW
ロシアは「ミストラル」のために設備とヘリを供給する。総額は10億ドル超になるだろう。大統領府のセルゲイ・イワノフ長官が述べた。
その上で、シリアを巡る話し合いに、イランとエジプトも混ぜてねとモスクワが推す、という状況が重なってkるうわけですね。
いやしかし、これって19世紀のクリミア戦争時代をちょっと思いだしたくなるかも。あの時も英仏はクリミアに拘りまくって意図不明なまでにマジでクリミアを叩いてロシア軍はクリミアを放棄して戦争は終わったんだけど、でもその時すでにロシアはコーカサス側では現在のトルコ東部まで支配圏を伸ばしていた。だもんで、あの有名なクリミア戦争の結果は数年の後に、セバストポーリとトルコ東部にあるカルス要塞を交換して、なんだかわからん結果として終わっていたのだった。
これを日本の本なんかは常に、ロシアの南下の意図をくじいた、万歳みたいな調子で書くんだけど、どこにもそんな効果はなかったと言っていいと思う。
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