プーチンとトランプは、7月16日ヘルシンキで会うことになったそうだ。
米ロ首脳会談、7月16日にヘルシンキで開催 初の正式会談
https://jp.reuters.com/article/usa-russia-summit-idJPKBN1JO2SX
一方、ボルトンがモスクワを訪ねたりしている中、アメリカのマティス国防長官は中国と日本を訪問。
習主席“領土は一寸も捨てない” マティス米国防長官と会談
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3407757.html
中国の習近平国家主席は27日、アメリカのマティス国防長官と会談し、台湾や南シナ海をめぐる問題を念頭に「祖先から引き継いだ領土は一寸も捨ててはいけない」と述べ、アメリカをけん制しました。
中国中央テレビによりますと、会談で習主席は「中米関係は世界で最も重要な2国関係」と指摘したうえで、「対話を強化し、リスクを管理すべきだ」との認識を示しました。これに対し、マティス国防長官も「リスクを管理して衝突と対抗を避ける」と述べ、軍事リスクを抑制していくことで一致しました。
これはもう流れから言って台湾のことですね。
なんの流れといって、第二次世界大戦の戦後処理問題でしょう。
前にも書いた通り、この流れはそれなりに見えている。この話。
去年、ロシアのラブロフが、日本人にとっては無視したいようなことを言っていたことを思い出す。
日本はまだ第2次世界大戦の結果を一義的に認める準備ができていない=ラブロフ外相
https://jp.sputniknews.com/russia/201703283481599/
これは、ロシアの外相が言うからいわゆる「北方領土」問題のことを指していると見たくなるけど、それだけじゃないでしょう。南北朝鮮、2つの中国の問題も日本が敗戦した後の秩序の問題ですね。
で、これらのことを日本国内では、俺らは負けたんだからそんなの戦勝国がやることだ、みたいな感じで放置して、あたかも自分たちには何も関係がないかのようにして70年過ごしてきた。
が、しかし、よく考えれば、日本は朝鮮戦争にも台湾にも実は出兵して、現在ある姿になるよう米を軍事的に支援している。そこから考えれば、朝鮮から見れば、南朝鮮などは、日本がいなくなってこれで独立だと思ったら、今度は米+日本に支配されたと考える人がいても不思議でない。もちろん、日米からすれば、「共産圏から守ってやったのだ」、そして金持ちにさせてやったという議論は成り立つにせよ。
いずれにしても、ついこの間まで、いや多分現在でもちゃんとポツダム宣言の内容を教えてなかったことは日本の教育にとって重大な落とし穴となっていたと思う。
ポスト安倍が見えない日本(2)
日本国内ではそんな言説は絶えてみられないわけだが、今日、世界の多くの人も、日本が南北朝鮮の和解を快く思ってない姿を知っている。特に朝鮮の人たちは、日本の様子を見て、覚めた見方をしてるんだろうなと思いますね、私は。
でもそこで喧嘩したら、ある意味で、ウクライナのネオナチに火だねをくれてやるのと同じような意味になるから、そういうことではなくて、南北が和解し、朝鮮戦争を終わりにもっていって、北東アジアが協力し合える関係になりましょうというスキームを作ろうとしている。
ロシアの極東開発も、これ自体が何よりもまず優先的な課題だというよりも、ここの開発を通じてあなたも大陸に合理的で妥当性のある、長持ちするアプローチをしてみませんか、とロシアが日本に呼びかけているようなものではなかろうか。
これは、ドイツに対して南北回廊を見せて、何も侵略せな経済発展できないっちゅーもんでもないで、とアプローチしているのと対にして考えてみてもいいのかもしれない。
で、ドイツは政治と安保ムラが力んでいるが、財界と一般人はユーラシアとの関係なくして安定も発展もないという点についてかなり理解しているように見える。少なくとも、アメリカ様が天皇様だ式のメンタル障害には陥っていない。その代わりEU問題抱えてるけど。
■ 反動の繰り返しで返って見えることもあった
ということなので、やっぱこう、日本の現状の閉塞というより、声出しても意味がない、みたいな沈没感に至る躓きの石は、2015年の戦後70周年という節目でしょう。
前から何十回も書いてるけど、これは大きな出来事で、次の世紀のための整理を意味してるんだと思うんです。
そして、これも前にも書いたけど、私の観測では2011年ぐらいまでNHKは、過去の日本についてかなり突っ込んだ、あるいはほじくった番組を作っていた。ロシアがらみでは、シベリア出兵と金塊の話、中国がらみでは、日本軍と阿片の話をやんわりだがほじくってた。
列国の野望 シベリアを走る/2004年NHK
日本の阿片戦略―隠された国家犯罪 | |
倉橋 正直 | |
共栄書房 |
それはやっぱり、次の世紀に向けてある程度他国と理解しあえるようにしていくしかないという態度だったんだろうと思う。
ところがそこで、チャンネル桜あたりを中心とした勢力が勃興して、そこも突破して、戦前賛美の傾向が強まり、NHKもかなりのところ屈した、といったところ。
これは、村山談話に抗した人々と同じ人たちなんだろうし、思い返せば、司馬遼太郎が1986年にノモンハン事件を大っぴらにした時に脅した人々とも同じなんじゃなかろうか。
1958年じゃなくて、1986年というもうつい最近になっても、まだ、ノモンハンをNHKで報じたことに脅しをかけてくる人々がいたという話。
「昭和」という国家/司馬遼太郎
司馬遼太郎は左右から評判が悪く、殊に明治維新をもちあげた問題では罪はあるんだが、でも昭和の時代については、実はかなりいろんなところで日本のタブー、弱点に触ってる人だと思う。ノモンハンなんかは、こういう国民作家、すなわち一般人から支持のある人間で、左翼ではないというラベルの付いた人でなければ開けられなかったのではなかろうかと考えることもできるように思う。
だから、妙にこの人をけなす人を見ると、私としては、どっちの意味で言ってるのかな、と興味深く関心を持ってしまう。
結局、誰かがこうやって勇気を出して初めて開く。
しかしそれに対して、反動がやってくる。またしばらくして開く。次に反動が来る、の繰り返しをしているような恰好なんだが、その反動の手筋を並べてみると、結局のところ関東軍に行きついていると思う。
そして、戦後の首相の中には関東軍の動向に深く関与した人間が何人かいて、現在の政権もその一つ。
こんなにも明らかに異常だというのに、これが意味するところを、歴史家の人はまとめてくれないんでしょうね、やっぱり(笑)。
■ 参考記事
ポスト安倍が見えない日本
ポスト安倍が見えない日本(2)
ポスト安倍が見えない日本(3)
ポスト安倍が見えない日本(4):嘘の証言・偽の連帯