DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

ドイツBuild紙によるプーチンのインタビュー

2016-01-15 19:41:40 | 欧州情勢複雑怪奇

1週間ほど前のことだけど、プーチン大統領が1月5日ソチで、ドイツのBuild誌のインタビューに答えた。

プーチン大統領:もし我々の立場が気に入らなかったとしても、我々を敵呼ばわりする必要はない
http://jp.sputniknews.com/politics/20160111/1419634.html#ixzz3xIVQ2GkR

プーチン大統領:私はあなた方の友人ではなく、ロシア連邦の大統領だ
http://jp.sputniknews.com/politics/20160111/1420751.html#ixzz3xIVKYZuV

その様子はこのドイツの紙面に出たようで、あわせてその英語訳がロシア大統領府のサイトに出ていた。

スプートニクの日本語版では、プーチンの印象的なセリフみたいなのだけを取り上げていてそれはそれで面白いんだけど、このインタビューは稀に見る突っ込んだ、詳しい、重要なインタビューだったと言っていいと思う。


Interview to German newspaper Bild. Part 1
http://en.kremlin.ru/events/president/news/51154

Interview to German newspaper Bild. Part 2
http://en.kremlin.ru/events/president/news/51155


ドイツ側のBuild紙のインタビュアーはロシア草の根からすると大分アホなことを言っているかのように見えるんだと思うんだけど、だけど、ドイツ再統一、ソビエト崩壊があった後に残ったNATO、そしてその東方拡大という過去25年間の重要な流れについて互いに当事者であるからこそできる議論というのもあるわけで、そこの部分を重視すると、アメリカ人にもイギリス人にできない、非常に良いインタビューになったと思う。

Buildはプーチンが語りそうなことを理解しているだろうにNATOの話題に触れ、それに乗ってきているわけだし、さらに、Buildは別にロシアに優しいわけもなく、日頃ロシアに関してむちゃくちゃな報道をしている代表的なドイツ主流メディアだし、このメディアのリーダー層は大西洋主義者の代表者みたいな人たちらしくあるので、それらを総合して考えるに、それにもかからずこれを慣行した意味は、ここで忌憚のないロシア側の意見を聞こうという姿勢がドイツにあるともいえるんでしょう。

私としてはNATOがらみの話が非常に興味深かった。当時のドイツ側のリーダーたちがなんと言っていたのかをプーチンはロシアのアーカイブから議事録を取ってきてそれを基に話すという、用心のいいこともしている。この件については週末触れたい。

追記:インタビューの様子。クリミアで起こったことをプーチンが説明してる。常々いい加減なことを書きまくっていたBuildのリーダーたちがプーチンに説教されているとしか思えない。字幕をクリックすると英語字幕が出る。

VIRAL: Annoyed Putin schools German propagandists on Crimea


■ ドイツ・ロシア

このインタビューの中でドイツとロシアの関係が過去20年かそこら非常に良好だったことが語られているんだけど、実際本当にこの伸長は目を見張るものがあった。

貿易高だけでなく、人の交流も多くなっていた。

また、通り一遍の、自民党政治がやるような、儲かるんだからいいでしょうで話をごまかす風味ではなかったこともいいなぁと思ってみていた。

例えば、アレクサンドル・ソルジェニーツィンが2002年に出した「200年を共に」
(英語圏では Two Hundred Years Together)というタイトルのロシア人とユダヤ人の物語は、未だに英語版はないがドイツ語版は早々に出ていて、それをシュピーゲル誌がかなり真面目にソルジェニーツィンにインタビューして取り上げていたりしたことを私は記憶している。確か2007年かそこらに最後のインタビューをしていたと思う。

つまり、ロシア、ポーランド、ユダヤ、ドイツという民族の歴史には様々な問題もあったが結構深刻なまでに歴史を共有しているんだな、という立ち位置ができていけば、ただに「仲よく」じゃなくて正しい隣人関係になれるという期待があった。

ここにブレーキがかかったのが、プーチンが世界政府志向の一極主義者を批判しだしたあたりでしょう。そこからドイツとロシアの間にくさびを打とうという感じになってきたという感じで、ウクライナ危機でそのクライマックスを迎えている。

が、しかし、よく考えてみようぜ、この嘘と詭弁のバカげた争いの果てに我々にとって良いことがあるのか、というのがロシアのリーダーたるプーチンのアプローチで、その意味は、私が思うに、ドイツ人にはもっと自信をもってしっかりしてもらいたい、って意味じゃないのかなと思った。ネオコンたらいう戯けた集団に頭押さえつけられてどうすんだよ、と。プーチンはそもそも親ドイツ派だから余計にそうじゃないのかなと思うの。これが次の世代のロシア指導者ならこうはならないかもしれないな、とかも思う。

両方とも立派な民族なんだから互いに建設的にやってもらいたいと私は思うのね。

 

下の動画は、ドイツの軍楽隊がロシアの第二国歌ともいうべき「Slavsya」をドイツの有名な「歓喜の歌」をロシア軍楽隊が演奏しているもの。Slavsyaは「皇帝に捧げし命」(A life for the tsar)というオペラの一部。いい演奏だし、あらためて思うにSlavsyaはスラブ人にだけやらせておくのはもったいないぐらい、もっと盛大に知られていい曲だ。

"Slavsya" and "Ode to Joy"


軍がやらないSlavsyaはこんな曲。

Glinka. Life for the Tzar. Finale. М.И. Глинка. Финал ("Славься") из оперы "Жизнь за Царя"

 


 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日露問題・朝鮮問題 | トップ | 日本 ロシアに対しドルに代... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『ドイツ軍のパールハーバー』 (ローレライ)
2016-01-16 05:36:51
ロシアの『ドイツへの片思い』を『パールハーバー』した感覚はドイツ人に薄いがロシア人には『騙し討ち』された記憶の上での『露独友好』だと思う。
返信する
バルバロッサ v.2 (ブログ主)
2016-01-16 14:12:05
バルバロッサ作戦ほどの迫力はなかったから確かにパールハーバーっぽいかも。

ロシアおよびロシア人は一般ドイツ人と支配者層、仕掛けた層を分けて考えるってのが、どうしたわけだか骨の髄までしみとおってる風があって、それが興味深いです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事