イランのザリフ外相の昨日のtwitter。
トランプに向けたもの。
あなたの人生の中でこんなに大きな人の波を見たことがありますか
あなたはまだこの偉大なnationとその人々の意思を壊せると思ってるんですか?
西アジア地域における有害な米のプレゼンスの終わりが始まった
https://twitter.com/JZarif/status/1214153647124353024
まぁその、アメリカの主導する「虐殺型民主主義」に対して、中東からロシア、中国にかけての巨大なユーラシアが抵抗している現状の可視化の一部ではありますね。
イラクで300万、その後のオバマ時代で100万は殺されているだろうというようなスケールの殺人がアメリカ+NATOの手によって行われているわけですが、それに対する「悔恨」みたいなものが一切ないのがこの西側という壮絶な組織の一大特徴。
あるのは、米兵が死んでるのよ!とか、こんなにお金がかかってるのよ!、この大統領は約束を守ってないわ! といった類の主張のみ。
他者を、他者の生活空間を、歴史を破壊しているといった認識はゼロ。
これが西側の正体。
彼ら(私らだが)の頭の中は、漫画チックなまでに善と悪が区別されていて、悪と認定されたものは「絶滅」とか「破壊」されるべき対象となるらしい。だから、どれだけ人が死んでるか、苦しんでるかなどということは問題にならない。
で、ザリフ外相がなんでこんなことをわざわざ言ってやらないとならないかというと、アメリカでは、イランは独裁国家なので独裁者が動員させているといったことがしきりに言われてるから。
で、アメさんにくっついていくことこそ私の収入の源泉とでもいったtwitterアカウントが、しきりに、アメリカがいることに安心している人もいるんです、これがイランの全員の意見じゃない、イラク議会はイラク人を代表していない etc.といったことを必死になってつぶやいている今日この頃。
まぁこのスケールで人が思いを持って外に出るなんてことは、アメリカでは起こらない事象でしょうね。
だってアメリカ人には自分の国、民族、民族の生活空間をみんなで守った経験はないから。防衛軍という名の侵略軍が世界中で人殺しをして、アメリカの「利益」を守ってるわけですからね。
これはかつての日本軍が、日本の「権益」を守るとしきりに言っていたことを思い出させる。そしてあの人たちは、日本本土を守ることはできなかった。
■ 不滅の連隊
こういうことを書くと、当然にこれを思い出させられる。
ロシアの不滅の連隊。
これはロシアの5月9日のビクトリーデー恒例の「不滅の連隊」の様子。
近年、毎年、国中で800万から1000万人ぐらいの人が外に出て、大祖国戦争当時の自分の祖先の写真などをもってパレードというかマーチというかをする。
ロシア世界が守られてよかった、守ってくれた祖先に感謝する、今度は私たちが不滅の連隊となってロシア世界を守る、ってなのが趣旨だと言っていいでしょう。
もし、沢山の人間が何らかの支持のためにデモンストレートすることが民主主義的で良いことなのだというのなら、世界中のメディアはこぞってこのマーチを毎年取り上げるべきではないのか? これこそ大多数のロシア人の確固たる意思の表明でしょう。
人口の5%ぐらいがマックスだろうと言われているロシア国内のいわゆる「リベラル派」の動向だけを取り上げるというのは、まったく不公正で、そして、現実のロシアを知るためにまったく不正確な話。
香港デモと不滅の連隊
中国はやらないでもいいです。いっぱいいるの知ってるから(笑)。
■ 文明史雑感
民主主義とか1人1人を尊重し、みたいなことを西ヨーロッパ発祥だと思ってる人は間違ってる。
ロシアやイランで重要時に通りに姿を現し自己の意思を表明する1人1人の人は一体何だというのだろう?
ユーラシアの諸民族は交易し、交渉し、時には戦って、場合によっては滅亡し、場合によっては興隆し、といったことを繰り返して来た。その中で様々な考え方、慣習、その表れとしての法がコンセンサス化していっていた。主に西アジアで、あるいは西アジアとチャイナ世界の接合面でと言っていいかと思う。
そして、コンスタンチノープルにあったローマ帝国(いわゆる東ローマ)がある意味暇こいた層(宗教者)を有効活用して、人の交流の中でできてきたそれらの諸々とギリシャ哲学、キリスト教神学とをマッチアップさせながら形を整えていたというのも重要でしょう。西ヨーロッパは、東ローマ帝国を滅ぼした後に主にイスラム勢の手によってこれらの遺産をゲットした(いわゆるルネサンス期)というのがユーラシア西部の世界史の大ざっぱな流れだと思う。
近代のヨーロッパ思想で欠かせない自然法の理解は大昔ストア派がぐじゃぐじゃ考えていたもの。これはどこに保存されていたのかといえば、パリやロンドンのわけはない。東ローマ帝国という考える層をキープしておける場抜きには継承されない。
だから、正教徒クリスチャンとイスラムが様々な点で共通し、様々な点で合議によって合意できる可能性を多く宿しているのはまったく正常な話。いつの時代も隣人だから。そして、それらの主な後継者が、紆余曲折、場所によっての濃淡はあるものの、大ざっぱにいって、ロシアとイラン。
対比的にいうのなら、イギリス人の書くものはこれらユーラシア側のダイナミズムを適当につなぎ合わせているというのが私の考え。すべてにおいてつまみ食い的。これに比べれば伝統的にフランス人の方がユーラシアとヨーロッパの関係については遥かに良好な理解を持っている(いた?)と言えると思う。
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「目から鱗」です。
それにしても、大日本帝国の軍隊は、他国を侵略はしても、本土は防衛は出来なかった、というより、防衛しようともしなかった。不思議な軍隊ですね。2.26事件の時、昭和天皇は「朕の軍隊」と言われていましたが。
「(略)『戦争はしたくない。でも、自分の国は自分たちで守るしかない』。みんなそう思っているんです」
短いですが、一般的日本人の耳にも届くことばで「普通のイラン人」の思いを紹介した良記事です。よろしければご一読ください。
https://bit.ly/2R5GDay