なにか、とても奇妙な傾向だと思ってここ何回かのエントリーでちらちら書いたけど、どうして日本のメディアはそんなにトルコに肩入れするのかを改めて考えてみた。
私は当初、なんであれロシアが悪いからという意識の延長にあるものと思っていた。これはまぁ、近代日本(私の考えでは、明治朝日本とでもいうべき体制)がthe West に所属するにあたって与えられた役割は基本的にロシアの牽制にあるため、別に不思議ではない。善悪、功利を度外視すれば。
しかし、それだけとも思えないものがある。
再々言っているように英米メディアでは、トルコを庇っているものもあればそうでないものもあり、というミックス状況で、だんだんとトルコの悪質さが露呈され、しかし、そうするとそれを使ってる自分たちにも跳ね返るからいろいろ策を弄して語ってる、みたいな煮え切らない感じ。
こんな感じね。
オバマ→トルコ「シリア国境を閉鎖しろよ」
ところが、日本語になっている英米メディアの翻訳記事は、選びに選んだように、トルコとロシアが揉めている、を基調としているものばかりだ。
なぜだろう。
第一に多分こういうことじゃないかと、さっき「マスコミに載らない海外記事」さんの翻訳を読んで思った。
締まりつつあるトルコの「悲しきサルタン」の首縄
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-75f7.html
この記事には、トルコの政権の悪辣さというか腐臭ぷんぷん具合が縷々述べられている。まぁ主流、オールタナティブを総合した英語圏のメディア上では別に珍しくもないんですが。
で、こういうのが日本のメディア上に躍り出ると、日本人の大半はトルコに対してネガティブな感情を抱くと思うんですよ。えええ、安倍ちゃんと仲良しというあのエルドアンって人ってそんなに悪い人なのぉ、みたいな。で、日本の主流メディアを仕切る人たちはそれが嫌なんだろうな、と思う。
(いうまでもないですが、トルコ人という一般人の話をしているのではありません。トルコにおける政権のヤバさの話をしているのです。)
実際何が起こっているかとか、今後の日本の動向を想定した場合知るべきものは何なのかなんて話じゃなくて、日本人の対トルコ認識を保存せよ! ってのがテーマなんじゃないですかね。
ではなぜそんなことが必要なのか。
まず想像できるのは、日本は対トルコ援助国だからでしょう。日本が援助するのはすべからく親日で善良で守るべき国でなければならないので、そのように描く必要がある、と。
倒錯してるんですが、そうなんでしょう。
さらに、トルコは親日だ、トルコはEUやロシア市場への架け橋になる、それはつまりアメリカ市場に対するメキシコのようなものだ、みたいな感じで日系企業に進出を呼び掛けていた、とかないですか?
多分、これに乗った企業は多くないと思うけど、日本は外交的にはかなりの援助国になってるのは本当だと思う。
そういうわけで、トルコを善意に描く必要性が先にあって、現実に起こったことは二の次になるという、なんかこう、いつか来た道になってきている気がする。
まぁその、価値観外交だの自由と繁栄の弧だのという、ネオコン信者によるくだらない妄想に基づく国策は早く終わりにしてほしいものです。
これってだって、まんま対ロシアでアメリカの多種多様なNGOがとってきた、いわゆるなんとかの春みたいな政策(ジョージ・ソロスとかの民間団体を含む)と軌道を合わせた政策じゃん。こんなのが一国の政策とは到底信じられないぐらいだが、ホントにあったんだよなぁとか遠い目しちゃう。
トルコの失敗、アメリカの中東政策の失敗どころじゃなくて、日本の「価値観外交」なるネオコン信者が書いた懐メロ風のバカ政策も大失敗だったという話でしょう。
しかし、アメリカには自国の中東政策の失敗を語る人材は温存されているが、日本には自国の国策を語れる存在がどうもどこにもいそうにないのが、凄い。1945年の敗戦時より事態は悪化しているかも。
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こんばんは、お久しぶりです。
トルコによるロシア機撃墜の記事について、ネット上での反応を見ていますと、やはりトルコ=明治以来の親日国=善、ロシア=シベリア抑留・火事場泥棒=悪という意識が強くあるからなのか、この件に関してはロシアが悪いという感情的な意見が目立つと感じます(あくまで個人的な印象ですが)。
その国の事を好きか嫌いかという意識を先に立たせ、結論ありきで物を言うのではなく、冷静に事実を分析し、ある勢力についてこの国はこういうスタンスだから、この問題にはこういう対応をする、と理解できればいいのですが・・・
ところで、今日になってアメリカがロシアの領空侵犯の証拠を持っていると言い出し、また露土間の外交的解決を支援する用意があると言い出してきましたね。
その証拠が本当なら、なぜもっと早く出さなかったのか、このタイミングでアメリカが動き始めたのは何故なのか、非常に不思議です。
アメリカがなんと言おうと起こってしまったことに対する対抗措置が着々と取られるだけでしょう。
根本的に軍事の問題ですから。
NATOが対ロシアの構えでいる限り、ロシアはバランスを取らないとならない
→トルコが崩した
→報復措置が必要
軍事オプションを取らなかった代わりに経済で軍事オプションと同等のダメージがトルコに加えられるよう報復する、ってだけだと思います。でもって、この件をどこも咎めてないってのは、つまりそれがこの件の常識だからだと思います。
領空侵犯問題はイスラエルがクリアしてしまったように、トルコによる無意味な言い訳で、オバマは、あたかも尖閣の時と同様、文言的に間違ってはいないこと(自衛権はある、etc.)をそうだね、そうだね、と言ってるだけ。
領空侵犯→スクランブル発信なんかは基本的に日常茶飯事な出来事だと、昔たまたま出会った自衛隊の戦闘機乗りに聞きました。
ある日、日本の戦闘機が老朽化で引退する日もスクランブル発信したらしいんだけど、ロシアかな?ソ連かな?ミグの窓ガラスには”sayonara
”の張り紙があったそうな。
なんで、今回のトルコの攻撃はロシア側は分かってたんじゃないかと…。
んー、こんな事書いてはいけないと思いつつ書いてしまった…。
スミマセン。
私は前から書いている通り「国ごとに考えるから間違う」派ですので、共謀しない共謀が成立してるくさいな、とか思って頭の中で仮説したりはしてますです。
いずれにしてもバカだったのはエルドアンってことで。
色んな策略が多方面から巡らされてて、共謀しない共謀をしてしまうんですよね。
裏切りと協力は同じみたいな…。でしゃばった事書いてスミマセン(-_-;)
これからもブログを応援します!