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潰すために党首になった前原と不毛な20年

2017-09-28 17:12:50 | 太平洋情勢乱雑怪奇

20年ぐらい前、文化人類学者の栗本慎一郎氏が、「自民党の研究」という書物を出した。

自民党の研究―あなたも、この「集団」から逃げられない

栗本さんは自分で自民党の議員となった経験を活かして様々な観察を行った。いろいろ面白いことがあったのだが、この中で自民党の特徴の第一として、自民党は理念や政策を追及する政党ではない、つまり近代政党ではないという点があげられていた。また、人物と人物の繋がりだけでできているようなエピソードがふんだんにあって、議員とはあるいはそれを支える集団とは理念や政策で結びついているのではなく、個人と個人の利害関係に大きな重きがあり、まるで戦国時代の軍閥のようなものだった(大大名ではない)

昨日今日の政界の動き、なかんずく民進党を巡るそれを見て、名前が変わろうと組み合わせが変わろうともこういう人たちの集団なんだなと思った。

まず第一に、昨日今日作った集まり(party)ではなく、公党であるにもかかわらず、党議を経ず大きな決断がなされるらしいことに驚いた。

そして、その結果、一夜にして解党も当然の仕儀が取られ得るという時点に私は驚愕した。さらに、そこに抗議の乱が生じていないことにもびっくり。

多分、現状は栗本氏が観察した90年代後半の自民党よりひどく、また軍閥よりも劣化し既に軍閥でさえない。軍閥という私的集団であれば親方の意思一つで決めてもなんの差しさわりもないと言いたくなるが、実際には軍閥は私的な臣従の集合体なのだから、突如親方が方針を変えれば、悪くすれば(そして多くの場合)親方は重臣に討たれる。自民党とて同様で、そんなことをしようものなら集団の離反が起こる。

しかし、前原は討たれそうにない。これは何だろう? 多分、筋書きがどこかにあってそれに従った行動なんだろうと思う。彼がバカだといっても多分はじまらない。従って、現状は、恐怖政治による構成員の首振り人形化なんだろうな、といったところ。自己さえなく、自己がないから他者との約束を守る義務を理解する契機がない。って感じ。俺は言われたことをしただけだ、という発想が優勢。

(逆にいえば、アイヒマン状態とは自己確立不全の者が恐怖からの逃亡として陥りやすい状態である、とか言えそう)

 

■ まったくの詐欺

明確に怒っている人は少数ながらも存在することを知った。それは私にとっては慶事だ。

孫崎さん、

民進党、潰すために党首になったのか。前原氏。「金は民進党からもらいます、主義主張は他党にしてください」これは国家レベルの詐欺行為じゃないか。

http://ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar1340851?key=72d030a24f05e301a8a216dbba99afd322a3de3700bea90b6a5ed80f726329af

 

いやもう、完全に詐欺でしょう。民進党をリベラル側の受け皿にさせたくない、だから偽の希望を立ち上げたが金がない、実は人もない。

そこで民進党が公認しない→民進党議員うろたえる→偽の希望に行く、というムードを新聞各紙の主導で作って、その中で、各議員が、金持っていくのは自分であるにもかかわらず、なぜだかそこで査問され、憲法改正と安保法制について言質を取られて偽の希望に入る、という、アホかという仕様。

前原は、どうして党の公認を出さないなどという判断を一人で決められるのか謎なのだが、ムードが先行しているので、仮にこれがすべて誤報の集積であってもちょっともう戻せない。

ざっくりと、こんな感じですね。

10時間10時間前

「リベラルな議員はダメだ。新党側で選ばせてもらう」…ここまで見下されているのに、民進の中堅議員は「民進党は役割を終えた。小池氏の勝負に乗っかるタイミングだ」と喜ぶ。その程度の政党、いや互助会だったということ。

 

14時間14時間前

いま起きていることは「2012年・野田自爆解散」の再演。野田が前原、日本維新が希望へと役者が変わっただけ。2度の自爆選挙で、共産党以外の反自民勢力は壊滅し、対米(軍)従属を競い合う極右二大政党制が完成する。次の目的は核の地上配備による中国・北朝鮮との撃ち合い体制の確立=米軍の安全

 

■ とはいえ予想されていたこと

とか書いて、その仕様の杜撰さに驚いてはいるんだが、これは前原が代表になった時からの規定方針では?

つまり、有権者や民進党の支持者はみんなおいてきぼり。

ここで書いた通り。

前原民主党には、1ミリも期待できない by 宮台

ではなぜこんなに自民で固めてくるのか。憲法でしょうね。

結局この政権と民主の混迷で何が形成されているのか。

それは、有権者の選択肢を無くすこと、でしょう。

なぜそうするのか。有権者の半数は、おおざっぱにいって憲法改正に反対か、安倍政権下では危険すぎると思っているから、民主党というなんとなく真ん中くさいところがあれば(あるいは昔なら社会党があれば)、そこに乗る国民は多い。

だから、それを防いで、憲法改正でぶれない社民、共産を孤立させて、有権者の選択肢を潰すことに専念しているんだと思う。この2党、とりわけ共産党はリベラル票を吸収するから党勢は伸びるでしょう。しかし、1/3には届かないでしょう。つまり、これでがっちり、有権者の2/3は自民+別働隊の支持となり、憲法改正ハードルは低くなる。

民意の反映とはとても言えないのだが、選挙的には合理的。

 

■ 旧社会党の残党狩りに費やした20年

で、並べて考えて思うのだが、要するに過去約20年ぐらいというのは、旧社会党(社民党)支持者に対する残党狩りのような時代だったのかもなぁとか思った。社会党が何を訴えていたのかあまりよく覚えていないのだが、いずれにしてもここが護憲勢力の大ボリュームだったわけでしょ。

そこをなんとかして壊すために手を変え品を変え政界再編をやっているのだが、どうしても、護憲+軍拡ではなく平和を、話し合いを、みたいな勢力が振り払っても振り払っても出てくる。

そこで、もう選挙民の選択肢をなくす、に到達してんじゃないか。わはは、だが。

で、この残党狩りの売り込みは、まず、もう冷戦が終わったのだから社会主義など論外、と来て、次は、自主憲法制定こそ国家の自立だのへちまだのというのが来た。

が、この本が示したように現行の日本は独立していないどころか朝鮮戦争を念頭にした戦時下の体制が敷かれたままだった。だから、この状態を見ないでこの上に自主憲法を制定して国軍を創設したら、それはそのまま米軍の二軍の供給にすぎない。だから本当の問題はここにある。

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
矢部 宏治
集英社インターナショナル

護憲勢力を潰すとは、つまりその二軍体制作りのことなのだ、と多くの人が知らないとならんわけですが、それをさせたくないからこそ、前原、野田、小池といった工作員みたいな人たちが跋扈するといったところ。

 

知ってはいけない――隠された日本支配の構造/矢部宏治

 

■ とはいえ、目先は妙な状況

と、あきれてものが言えないというわりによく書いたりしているわけだが、ともかく、しかしながら、ここに妙な状況ができていることにも注目したい。

小池さんの偽の希望の会には、中山、松原、前原 etcと、言ってみれば何やらここ十年ちょっとの間の問題の核心部分で働いた人々が揃った。

さらに、安倍ちゃん側には、神武天皇と八紘一宇に拘る防衛大臣もいない。

これは安倍ちゃんにとって敗北なのだろうか? 小池さんの偽の希望の会とは、これは xxxxホイホイではないのか? という可能性も存在すると思うな。

東京、神奈川ぐらいなら小池クーデーターは完全に強力なのだが、日本は広い。地方は安倍も嫌いだが劇場型はさらに嫌いではなかろうか。従ってまだ見せ場はあるような気がする。

 

■ 参考記事

冷戦護持派の逆襲時代

 

■ オマケ

民進党は希望の党を全力で支援するんだそうです。

 


 


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4 コメント

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『マクロン政権の日本版』 (ローレライ)
2017-09-28 18:40:11
『有権者の選択肢潰し』を進めて『マクロン政権の日本版』作り。または『ナチス政権作りの手法』で『麻生の予言通り』と言う話。
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ナチより民主的でない (ブログ主)
2017-09-28 19:06:56
ローレライさん、

マクロン政権の誕生手法も検察使って政敵を倒すというダーティーなものだったから似てるといえば似てるかも。並べてみると、ナチの方が若干民主的かもしれないですね現在の日本より。いきなり政党を自主解体した勢力はないですから。あはははは。

そのマクロン、モスクワ訪問を計画中らしいです。
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二党独裁はもっと息が詰まる (私は黙らない)
2017-09-29 03:25:32
日本を某国のように二党独裁国家にするという意思が感じられる。メディアは政権交代可能な二大政党制に歓迎ムードだが、実態を知らなすぎる。トランプは二党独裁の閉そく感に倦んだ有権者が生み出した鬼っ子だ。
右翼とはそもそも民族主義的な側面があって然るべきだと思う。なのに、安倍も小池も一体何?太平洋の向こうに満面の笑みで尻尾を千切れんばかりにふる右翼なんて、右翼って言える?
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二党独裁も周回遅れ (ブログ主)
2017-09-29 05:08:24
私は黙らないさん、

いやほんと。二党独裁は冷戦後からずっとテーマ何でしょうね。こんなものにかかわらなければよかっただけ、って話なんですよ実際。
小選挙区も二大政党制も、みんなただの上からのマネージの都合。

おっしゃる通りアメリカ人たちはこの偽の対立に苦しんでず~っと3つめを作ろうとしていたのに、もう息切れしてるんですよね、思えば。だから、トランプという毛色の変わった人になったというのも私も同意。

まったくアホな話だったなぁとつくづく残念に思ってます。でもまだ終わりじゃない。気がついたんだから。
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