この間、米海軍が黒海に艦船を出す騒動の時に、馬鹿なことをしてるんじゃないという論考を書いたDouglas Macgregorのことを書いた。
アフガンからの完全撤退発表の噂 & ウクライナの緊張
マクレガー氏は、士官学校を出て任務に就き大佐で退役した人。一時期トランプ政権が大使に使おうとしていたが、するとペンタゴンが上級アドバイザーに雇ったという経緯があった。トランプが言っていたように、この人も、無益な永久戦争は止めるべき派。
で、マクレガーさんは、2日ぐらい前Foxのタッカーのところににも出ていた。こっちの方が論考よりももっと相当率直に、現在のアメリカの事情を批判している。
聞く価値のある4分20秒ですよ、これは。
Tucker Carlson Tonight 4/16/2021
ポイントは冒頭の一言か。
ロシアのような軍事パワーの入り口で相手の軍事力に挑戦するのは、壮大な愚行(monumental stupidity)だと言ってる。
どうしてこうなったかというと、ロシアを何が何でも敵というフレームに閉じ込めたいという集団がいるからだ、と。その中には、巨大な予算を確保しようとする軍もいる。
アメリカは20年も理由のない戦争を続けてきて、これによって4星の将軍が45人もいるような史上ないような状態になっている。これを維持しようとしている、と。
さらに、こうも言う。
こういうこと(ロシアの悪魔化作業)をやってる人は、戦争というものをまったくわかってない。昔は本当の戦争に行った議員たちがいた。今は、自分も含めるけど、私たちはイラクとかに出て行って戦争をしたわけだけど、ああいうのは従来の意味での戦争ではない。たいした活動もなくたいして人も死んでない。
しかし、ロシアのようなgreat powerと本当に戦うというのは、まったく別の話だ。
だそうです。
私は、全部賛成。特に、イラクからこっちの戦争を従来の、例えば第二次世界大戦のような戦争と同一視できないという点は、◎特大の花丸◎を付けてあげたい。
そうなんです。アメリカ軍は、peer(同輩)レベルの国と戦争をしてない。イラクとかアフガニスタンというのは弱い者相手だし、結局民間人殺しをしているだけ(マクレガーさんがそこまで言っているわけではない)。
そんな集団が、本当の戦争とはどういうものかも知らずに、どれだけの破壊と人死にが出るのかもわからず、軍事大国のロシアと戦争をしようというその態度は、危険すぎて馬鹿すぎてどうしようもない。止める人が出てきて本当によかった。
■ 2016年にもあった
これはつまり、ヒラリーたちがシリアに飛行禁止区域を設定すればいいのよ、そうだわ、そうよね、と騒いでいた時に、軍のトップが議会証言をした時とまったく同じ状況。
上院議員:シリア上空を支配するというオプションはどうですか?
ダンフォード将軍:シリアの上空すべてを今支配するということになると、それは私たちに戦争することを求めます。シリアとロシアに対してです。それはかなり根本的な決定です。ですからもちろん私は決定できません。
宴の始末(13) 「飛行禁止区域設定するって、ロシアと戦争だよ」by 参謀本部議長
no-fly-zone、飛行禁止区域というのは、マスコミ用語で、これはつまり制空権を取って攻撃する、と言っているのと同じ。なのに、多くの人にはそうは聞こえず(マスコミも説明せず)、そうよ、ノンフライゾーンを設定すればいいのよとイケイケどんどんの騒ぎを作ってた。
しかし、もしそれを本当にやろうとすれば、シリア側に立つロシアと制空権を争うことになるんだから、それはもうマジの戦いになる(そして勝てない可能性もあった)。展開如何では、イケイケどんどん言ってる奴らの上にも爆弾が降るどころか、プーチンがいみじくも言ったことがあったように、後悔する暇もなく地獄に行く、という運命に見舞われるかもしれない。
そういうことを考えない人たちが、政治家に多数いて、そして、ジャーナリストなる梅毒持ちの売春婦みたいなやつらが騒ぎ立てる。
結局、リアルなところでどれだけの破壊になるかを考えられる人たち、すなわち軍人が出てくる羽目になる。
■ アメリカはまだマシ
で、アメリカは黒海に艦隊を出してロシア海軍の基地の真正面で挑発するというアホな行動は回避したわけだけど、イギリス海軍が5月に行くそうだ。
イギリス海軍の役目は、自分で自爆してロシアのせいにするぐらいのものだろうか? その際には、ロシア軍に是非沈めてもらってください。
そして、よーし報復だとロンドンが決定して攻撃に入るのなら、最終的にイングランド南部の地形は変わることになるでしょう。
しかし、もちろん、誰も助けない。当然そうなる。誰が、そんな人たちのために自国民の住む場所にミサイルを迎えたいの?という話だから。
イギリスはメディアがスクラム組んで、ロシア、ロシア、ロシアは悪い奴のプロパガンダに勤しみ、さらには、アメリカのアフガニスタン撤退も大反対。ウクライナは最初からバンデラ側。なんでカナダにバンデラ主義者が固まっていたかといえば、そりゃもうもとはと言えばイギリスがぶち込んだからでしょう。
ということで、現在は、ジハード主義者とかバンデラ主義者(ナチスの協力者)といった人たちをこれまで飼ってきた人たちにとって正念場になってきてる気がする今日この頃だわ。アメリカだけを悪者扱いしている人は間違ってる。この覇権はヨーロッパから持ち越したもの。大西洋を挟んだ人脈が主たる問題。
■ オマケ1
艦隊派遣に関しては、詐術にかかってる人がたくさんいるのもすごく問題だと思う。つまり、アメリカが軍艦持ってでかける、というと、それだけで「脅し」だと認識する人がいる。
しかし、例えば、東京湾の入り口に横須賀という軍港があるけど、あの前にどこかの国が2艘出してきたとして、どちらが怖いでしょう?
それは、迎える側と船の側の装備の差による。ボロい船とレーダーも使い物にならないような環境の港の前に、最新式の戦力を備えた船が来たら、それは船が脅していることになる。
しかし、最新鋭の戦力をもりもり持って、まして世界最強クラスの対艦ミサイル(例えばこんなの)を多数備えた国の軍港の目の前に、同格の軍艦が来たとして、迎える側は怖いか?
逆ですよ。怖いのは船の方。クリミアに近づく米艦船はほぼ間違いなくロックオンされる。つまり、一瞬で爆破される寸前の状態を続けることになる。
ということは、脅しになってない。滑稽な挑発じみた行為がそこにあって、無駄に船員の士気を下げるだけ。だから、こんなことはする必要がないし、同格の相手にはしてはいけない。
ではなぜするのか? 率直にいって、昔の名残りとメディアアピールでしょう。昔、英米がガンボート外交とか言われていた時からずっとやってるから、相手を脅してるスタイルだととシナリオを書く人が思ってる。
そして、あら、アメ様は本気なんだわ、とか思う人、いるでしょ? これを狙ってる。しかし、現実には弱い相手にしか役に立たない。詐術だね。
(ロシアを弱い相手だと見せているつもりなのかも? ものすごく無謀だけど、CNNとかBBCあたりのキャスターなら、だって弱いでしょ、と応じそう。プロパガンダってホントに怖い。)
そしてプロパガンダが残った (3):デマクラシー
■ オマケ2
Foxの上のビデオの全体。前半は、現在のアメリカのCNNなどのアホな様子が含まれていて、最後がマクレガー。
Tucker Carlson with Col Douglas Macgregor on Russian Bounty Story and Our Hostility Against Russia
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表面だけを見ればアメリカが主でイギリスが従なんですが、根っこで操っている連中は同じ、というかむしろイギリスが主なのではないでしょうか?
何としてもアメリカをジャイアン役に仕立てて動かしたい(自分たちは傷つきたくない)のではないかと考えています。
ロシアの他国とは違う所はロンドンにも核の照準を向けている所で、他国のようにアメリカだけを狙っても彼らは平気で襲ってくるけど、ロシアが相手だとやりにくいのは軍事力以外にもそういう面もあると思います。
これを東アジアに持ってくれば胡散臭い政治家が見えてくる。
日本は戦後、戦争に関係した皇族・軍人をすべて日本の政治から排除した。
アメリカが排除したのではない。
官僚・大手メディアが排除した。
戦前の話は彼らにとっては理屈にしか過ぎない。
彼らの権力は戦前を継承していない。
アメリカの大統領は最近まで戦場で本当に戦った人たちだ。
ケネディ・ブッシュ等だ。
拉致事件の実行犯である北が日本の旧体制を継承している皇族・軍人と話をしようとしても日本の政治の何処にも彼らはいない。
日本がアメリカに拉致事件の仲介を頼むことを誰も批判しない。
これは韓国も朴正煕の政権を除いてはほぼ同様である。
朴正煕は戦場で本当に戦った軍人である。
彼は日本の官僚・大手メディアを嫌っていた。
日本と韓国にはお互いに戦前を継承していない政治家が無数にいる。
中国の習近平も同様の思考をしている可能性が高い。
もしそうであれば習近平は中国共産党とは相いれない。
中国の動画を見ていたら、習近平が中山先生がどうのこうのと話している映像があった。中国語はさっぱり分からないのですが、それを見た時、孫文が習近平の考えの基本なのかなと思いました。
私は、共和党がウクライナ疑惑を叩いて叩いて叩きまくって、この危険なナチリベ政権を骨抜きにすることを期待していました。
忘れもしません、ヒラリーのシリア上空の制空権発言。前回大統領選の直前だった。あの発言で、普段なら決して共和党に投票するはずのない有権者が、トランプに一票を投じた。あの危険な連中が、再び戻ってきた。戦争もゲーム感覚か。
コロナだの、温暖化だのは目くらまし。奴らの本質はここにあり。