台湾の総統選挙を報じるテレビがなんだかうれしそうだったので、へぇ日本は民進党を応援していたのか、など思った。中国べったりの国民党がけしからんって話なんだろうけど、こういうのってストレートに考えると間違うってないの、など思いながら見ていた。Aを主張する人がAを過激に推進するとは限らないってのがあらゆるものごとの味噌だと思うんだけどね。
それはともかく、スプートニクのアンドレ・イワノフおじさんがその話を拾っていたのでメモ。
日米は台湾でウクライナのシナリオを再現できるか?
http://jp.sputniknews.com/asia/20160118/1452296.html#ixzz3xfrnE9MD
台湾総統選挙で中国との接近に反対する政党が勝利したことで、米国の中国封じ込め政策で台湾を利用するという誘惑が生まれることに疑いはないだろう。なお、この対中ゲームでは、日本が重要な役割を担う可能性がある。日本はすでに経済協力の助けを借りて、ベトナム、フィリピン、インドを対中戦線に引き込んでいる。このシナリオで進展した場合、ウクライナと同じようなことが起こる恐れがある。
つまり、中国をけん制というかつっつく道具として台湾を使うって話が持ち上がる可能性が見えるよ、という話で、これはアンドレおじさんの妄想ではなくて、すでにアメリカのネオコン的イデオローグとでもいうべき、あの髭のボルトンが、台湾カードを使え!という一文をウォールストリートジャーナルに寄稿していた。
そして、それを目ざとく見つけたアメリカ共和党のアンチネオコンの保守派グループが、そんなの絶対ダメだからな、という文を書いていた。
No, the U.S. Shouldn’t Play the “Taiwan Card”
By Daniel Larison • January 18, 2016, 11:42 AM
http://www.theamericanconservative.com/larison/no-the-u-s-shouldnt-play-the-taiwan-card/
だけどさ、ボルトンが台湾カードを叫んだら、状況からいって民主化で焚き付けているグループもおそらくいただろうから、いわゆる共和党ネオコンと民主党の過激介入主義者は実は一心同体でしたと言っているようなものじゃないかと、ちょっと笑った。
■ 戦後構造の中の台湾
どうなるのかわからないけど、でも、台湾って戦後体制の問題なんですよね。東アジアは冷戦構造を解体できていない。それを日本の「保守派」は中国が解体されないからだ~とか言ってるわけでそれはそれで一理あると思うけど、中国が解体されないとしたら、その一つの大きな理由は日本の動向が不明だからってのもあると思う。
どういうことかというと、欧州の冷戦構造の崩壊って、別にソ連が負けたから終わったって話じゃなくて、ソ連をアメリカ+ドイツあたりが束になって、こんな構造はやめようと持ちかけて雪解けにして、東ドイツと西ドイツが統合に向かって、ソ連がワルシャワ条約機構をおしまいにした、って話。しかしよく考えたら結局ソ連(またはロシア)は騙されていたんだなってのが現在の評価でしょう。だって、NATOは解体どころか拡大に次ぐ拡大をしてるんだから。
この例を考えてみるに、中国が共産党率いる体制を変更しようと思ったら回りの国々との平和的なムードってのが必要なわけですね。もっと具体的にいえば、混乱に乗じてまたまた台湾だの朝鮮だのを支配下にいれようとするような国があったら、中国側は構えを崩せないのね。
ということは、過去20年かそこらの日本国内の「保守派」の動向って、実は現状維持のための動きだったかもしれないな、など思ってみたりもする。
考えを進めたいけどちょっと時間がないので、また後で考える。こんなんばっかり(泣)。週末はプーチンのインタビューの一部を訳そうとしていたのに用事があってできなかった(泣)。でもやる気はまだある。
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自由と特権の距離―カール・シュミット「制度体保障」論・再考 (現代憲法理論叢書) |
石川 健治 | |
日本評論社 |
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立憲主義について 成立過程と現代 (放送大学叢書) |
佐藤 幸治 | |
左右社 |
でも私は日中関係は張作霖暗殺事件からおかしくなったのだという説は基本的に買わないです。
日本は大陸への橋頭保として使われているという強いドライブと、橋自身が見た世界があわなくなったことが問題、と思っているのでもう一歩深く掘らないと見えないだろうな、って感じでございます。