G7なる集団の外相なるポジションの人たちが集会を持ったらしい。
この人たちが今喫緊にやるべきことは、シリア征服をあきらめ、アルカイダの支配下にある何万人かをシリアとトルコに置きっぱなしにしている状態を直ちに中止することでしょう。
その上で、これまで「rebels」とかいって中東からロシア南部に送り出していた傭兵集団を、各国が引き受けること。まだやってない。
テロリスト・メンタリティーになっちゃった人たちを引き受けたくなくて、トルコに多数足止めにしている状態をいつまで続ける気なんでしょうか?
そうか、G7というのは、Guilty 7のことだったんだわ!!
罪を犯した7か国と自ら名乗っていたとは。確信犯だわ。
■ イランが大事すぎる
で、なにやらG7はチャイナ向けにメッセージを出したいらしいけど、チャイナが大きくなったのは昨日ではない。
G7「復権」へ対中国前面 人権や自由貿易で結束狙う
にもかかわらずなぜ今かといえば、根本的には、チャイナ+ロシア+イランが組んでるというのが、西側にとっては大ピンチなんだろうと思う。
ここらへんは、既に中東についてのパチモノ、色モノの類じゃない専門家が過去2年ぐらいこうなりつつあると予想していたところでもある。
別途書くかもしれないけど、今年3月には大西洋主義者たちの中で仲間割れ事件すらあった。一方は中ロを離すためにロシアに接近するも止む無しとか書き出し、他方は冗談じゃないまとめて敵だという路線継続を主張といった感じ。決着はついてない。(両方とも今更どうしようもないわけだが)
イランと中国は向こう25年間の協力関係を約した協定を結んで、そこに約42兆円の経済協力が含まれている。去年の夏に決まっていたけど、3月末に正式に調印した。
日経はこんなことを書いている。見出しだけ拾うとこんな感じ。
中国とイラン、25カ年協定調印 民主主義陣営に対抗
イラン「反米経済圏」で制裁対抗 中国に25年原油供給も
民主主義陣営って何?「反米経済圏」ってのも意味がわからない。まぁ、西側にとって頭痛の種です、とはっきり言えないんでしょうか。
また、前から書いている通り、イランはロシアとの関係も大枠で順調、時に緊密。だから最近、イラン外相のザリーフが本当はロシアのラブロフを背中から刺そうとしているのだとかなんとかいう解釈のおかしなリークが出ていたりするんでしょうね。そんなことで両国は揺れるのか?という話なわけですが。
3国は、それぞれ利害も性質も違う国同士だとしても、西側のデマクラシーと欺きに振り回されないように生きていきましょうという一致点、方向性があれば、それだけで西側にとっては大問題でしょう。
3つに共通しているのは独自の文明圏があって、3つともかつての冷戦期のソ連、中国みたいに閉ざされた空間ではない。開いている。外国語のできる人も多い。だから西側が何を言っているのかをよーく見てる。知ってる。知った上で、こいつら相当なデマ屋やなと判断した国民が大多数だ、ってところではなかろうか。これはデマ屋の西側にとっては痛い。
ともあれ、現状は、2年前にほぼ出来てた枠組みが、1年間コロナで中断したけど何も変わってないってことじゃないでしょうか。
別の言い方をすれば、自分の方は世界一の軍備と金持ち集団を同盟国につけて、目いっぱい同盟ネットワークを作りながら、イラク、リビア etc.といった国を丸裸にして襲っていくという不正常かつ卑怯なやり方がもうできそうになくなってきた、ということで、地球上の大部分の人にとっては朗報だと思う。
ただ、それでもなんとかぶっちぎろうとして、シリアで毒ガス、ロシアはスクリパルだの正体不明の放射性物質で直ちに死んじゃうリトビネンコとかとか、何でもやろうとしている集団は、それでも多分諦めない。ある意味、この勢力は宗教的情熱を使って他者をジハード主義者に仕立てて騒ぎを起こす手法を繰り返すうちに、自分たちがジハード主義者になっていったようなもの
イランは一人ではないからね by パトルシェフ
(パトルシェフさんはロシア安全保障会議書記の人。この人が、イランを包囲するとトランプ政権が騒いでいる中で、「イランは常に私たちの同盟者でありパートナーですし、そうあり続けています 」と言った。言外にもたらされる意味は、イラン1国でも十分に強いが、それ以上に何か危険なことが起こるのなら、イランには同盟者がいる、そのつもりで来いと米(&イスラエル)の行動を抑止しているってこと。静かだが大きな表明だったと思う。)
位置関係として、中国が東西に、ロシアが南北に動いてイランで出会ったみたいなものでしょうか。
スエズ、マラッカといったチョークポイントを制覇することで海上交通妨害を強さだと信じた、性質の悪い「特殊アングロ」(一般イギリス人のことではない)にとっては小さい話じゃないわけです。

■ 資源の支配
思うに、イランの石油国営化事件から何も反省していないどころか、この野望をまた持ち出したことが、今日の「特殊アングロ」およびそれに釣られた、集合的にいう西側の敗北の根本的な原因ではなかろうか。
イラン産石油はイギリスやアメリカの国際石油資本(メジャー)の報復より国際市場から締め出され、それによりイラン政府は財政難に瀕した、モサッデクの政治基盤の国民戦線は様々な勢力の緩い連合体であったため宗教勢力を指導していたアーヤートッラーの離反など国民戦線は弱体化していきモサッデクの支持は失われていく。
アメリカとイギリスは再び石油利権を取り戻すため、CIAにより大量の資金を軍人・反政府活動家などへ投入することで暴力による政府転覆を目指す内政干渉の秘密工作を行い(アジャックス作戦、英: TPAJAX Project)、その結果1953年8月15日から19日の皇帝派によるクーデターによってモサッデクを含む国民戦線のメンバーは逮捕され失脚した。
ソ連が崩壊したことで、ロシアにある鉱物資源を西側主導で採掘したり、民営化したりできるするはずだった、できるはずだった。
早々に作ったアゼルバイジャンから敷いたBTCパイプラインは、成功の証だったことでしょう。
ところが、プーチン集団が出てきて、言うことを聞いてくれなくなった。ホドルコフスキーが設立したユコスは、この思惑、すなわち、ロシア国から資源を引き離すという構想の具現化。
石油ではなくて、ガスの件だけども、EUの第三エネルギーパッケージ(Third Energy Package)なる体制は、回りくどい、表面だけ見てると見えないやり方だけど、要するに、主導権をEUが握って、ロシアは場所になれと言ったようなもの。
そして、ロシアはこれを批准していないのに、EUの側はロシアはこれに準拠するものとして、ああだこうだ言うのを止めない。最終的にいつかきっとお前を跪かせると毎日騒いでいるようなもの。
要するに、西側なる集団は自己評価が高すぎるんだろうと思うな。ロシアとかイランの人々が、全員アホで根性なしだと想定して行動してきてここまで来たようなものでしょう。
■ エネルギー・製造・暮らし
振り返ってみて、ロシアとイランという西側に狙われ続けてる国だけでなく、ここに大消費地のチャイナとインドが仲間になってるというのが、「真ん中」の安定にとってとても大きいとも言えますね。このサークルにベネズエラも入ってる。
世界の工場とか言ってもてはやされる中で、エネルギーなくして製造なしと思い定めてたと思しきチャイナはここは賢かった。もてはやされるところは、与しやすしと思われてるな、とちゃんと見てたと思う。
多くの人はマネー、通貨を先に語りたがるけど、資源、製造、人の暮らしがなくては通貨はただの数字。モノがあって初めて担保がつく、実体化する。それが安定。
■ 行き当たりばったり
で、最近、アメリカが原子力に資金を入れているのは(トランプ時代から)、結局、化石燃料の流れを支配できない、2000年頃には10年もすればイラクとロシアとイランとベネズエラを支配できるようになるはずだ、ぐらい思ってたんだろうけど出来てない、来年できそうにもない、という事情を反映しているって感じでしょうかしら。
最近では、核融合炉に投資しろ、とかいう話が出てきた。2040年ぐらいにプラントができる、みたいなことを言ってる記事もある。あと20年ぐらいで出来るんでしょうか? ほんとに???
DOE Pushes for Aggressive U.S. Investment in Fusion Energy
というか、その20年間どうなるんでしょう? あ、そこで既存の原子炉の定年延長みたいなことがあちこちで起こってるという成り行きか。だけど、20年後にできてなかったらどうするの?
■ オマケ:大ユーラシアの周辺
短期的には、ドイツの動向が非常に注目だと思う。
他のどこよりも、群を抜いてイギリスが狂ってるのは、騒ぎを起こしても起こしてもドイツとロシアの関係が切れないからでしょう。最近の、チェコを巻き込んだ第二次スクリパル親子事件みたいなあっぱれな大馬鹿騒動などは、狂ってなきゃできない。
イスラエルは、国内が割れてて、多分もう二度とネタニヤフ全盛時代みたいにはならないと思う。いくらアメリカのシオニスト(今回は左派)がイスラエルに金を注ぎ込んだところで、イランが強くて、ロシアが強かったら、この地での蛮行には限界がある。そのうち、お前も核を捨てろと言われる可能性すら考えないとならなくなると思う。
日本は? 100%アメリカと共にあります、とかマジで言ってた人がいましたね、そういえば。
少なくとも東アジアから米軍は撤退し、韓国も自然と寝返るのではないでしょうか(戦争の火種が無くなる)
残念なことに、そうはならないでしょうが。
お前のモノは俺のモノ的に独り占めしたがるのはナゼ?
https://www.axios.com/jared-kushner-abraham-accords-institute-a3be5e91-928c-496b-a324-9b988e2984a9.html
>イランが強くて、ロシアが強かったら、この地での蛮行には限界がある。