トランプの批判本が出て大変に売れている、注目を浴びていると主流メディアが叫ぶので自動的に日本でもそういうことだと受け取られているような感じだが、アメの反・主流メディアでは、この著者のWolffはちゃんと取材していないと、引用された人たちから拒否のコメントが出たりしている。
さらに、結果的にこの中身からロシアゲートなるものには実体がないことがわかると書いている人もいる。私は読んでないし読むつもりもないからどうでもいいんだが、一応反・主流メディアの状況を書いておく。
あと、売れるとか注目をあびるというのは、米リベラル系統がしかけりゃなんでもそうなりますからね。そこは割り引いて考えないと。
さて、アメリカがバカな騒ぎで忙しくしている中、南北朝鮮が予定通り1月9日会談を持った。
これが早い方。
北朝鮮、平昌五輪参加を表明 南北閣僚級会談
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25442150Z00C18A1MM0000/
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国と北朝鮮による南北閣僚級会談が9日午前10時、軍事境界線がある板門店で始まり、北朝鮮は2月の平昌冬季五輪への参加を正式表明した。南北の会談は2年1カ月ぶり。五輪に加え、南北関係の改善に向けた互いの関心事についても話し合う見通し。北朝鮮が五輪参加と引き換えに、韓国や国際社会に何を要求するのかが焦点だ。
次がこれ。
韓国、非核化への対話再開を要求 南北閣僚級会談
北朝鮮は五輪参加を表明
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25463800Z00C18A1MM8000/?nf=1
(略) 核・ミサイル問題では、韓国が北朝鮮に「緊張を高める行為を中止し、非核化など平和定着に向けた対話の再開が必要」と主張した。だが、北朝鮮は「平和を確保して和解と団結を図り、対話と交渉で問題を解決しよう」と述べるにとどめた。
まぁ対話できるような環境になることが第一なので、当然この対話は価値があるでしょう。
あと、この対話を見越してといっていいと思うけど、1月1日に北朝鮮が新年の挨拶を発表していて、これが現在の北朝鮮の考え方なんだろうとあちこちで引用されている。
これこれ。
Kim Jong Un's New Year Address
http://www.rodong.rep.kp/en/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2018-01-02-0018
長い長い挨拶で、ほとんどは国内の達成の話で進むのだが、気付くのは、南朝鮮と北朝鮮は同胞であるという点にいつも以上に強調があること。いや、いつもそうで、それが故に南北の対話を妨害したイミョンバク元大統領は常に糞みそに言われるってのがデフォらしい。
naenaraにあった日本語版によれば、今般はこのへんがなかなか重要なトーンではないのかしらと思ったので引用しておく。
北南関係を一日も早く改善するためには、北と南の当局がいつにもまして民族自主の旗印を高く掲げ、時代と民族に対する自分の責任と役割を果たさなければなりません。
北南関係はあくまでもわが民族の内部問題であり、北と南が主人となって解決すべき問題です。
したがって、北南間で提起される一切の問題は「わが民族同士」の原則に基づいて解決するという、確固たる立場と観点に立たなければなりません。
南朝鮮当局は、北南関係の問題を外部に持ち歩いて請託しても得られるものは何もなく、かえって不純な目的を追求する外部勢力に干渉の口実を与え、問題の解決に複雑さを招くだけであることを知るべきです。
http://www.naenara.com.kp/ja/news/?22+2451
これは、この間引用した中国Global Timesの
朝鮮半島危機に直接にかかわる重要な当事者の一つである南朝鮮が、成り行きを形成したりそれに影響を与えたりするにあたって主要な役割を果たしていないことは興味深いことだ。南朝鮮は、その代わりに、朝鮮半島のみならず北東アジア地域全域で衝突が起こった場合に直ちに利用できる戦略的軍事力とみなされている。
五輪期間中 米韓の合同軍事演習は実施せず
と平仄があうと思うな。北は、だから民族の独立をといい、中国は南朝鮮に対して、お前が中心にならんでどうするんだと発破かけてるといったところ。
つまり、中露が北を支援するってのは見やすいんだが、そうじゃなくてむしろ南をサポートしているようすも結構顕著なのは、朝鮮半島の民族に強い意思を持たせて平和的解決へのイニシアチブを取らせるのがいい、ってな恰好になっているんじゃないでしょうか。
こんな写真もありましたね。
南北朝鮮、中国、ロシアとの間は常にいい関係ばかりではなかったし、いろいろ恨みつらみも互いにあるでしょう。でもそれはそれとして、外来者と核戦争するようなバカな選択はないという点では一致できるでしょう。
このへんは、ロシア、トルコ、イランの関係を思い出すのがいいのかもしれない。あっちこそ、血だらけの過去を持っているがそれはそれとして集団で話し合って支援しあう恰好がともあれできてる。(だからこそ、またまたイランを壊そうとしているアメリカとイスラエルがいるという話でもあるんだが)
で、これを日本から見ればどうなるのかというと、米を通して南朝鮮に強いグリップを効かせてきた日本の立場が揺らぐということ。そして、朝鮮戦争を念頭に置いて作れらた現在の日本の統治の仕組み(その不始末、欠陥を含む)を変更しないとならなくなるということ、ですね。
だから面白くないのはわかるし、面倒くさいのもわかる。しかし、だからといって、北とみれば核兵器、ミサイル、圧力の3点セットであれば、行きつく先は、
南北朝鮮+中国+ロシア vs 日本+米軍+台湾親米派
みたいな恰好になるしかなくなる。20年前と違うのは、南の安定度のみならず中露の安定度も加わっていること。ロシアがエネルギー提案を持ってるのみならず、一帯一路+ユーラシア連合という市場もある以上、朝鮮半島は常に太平洋だけを見ていないとならないってこともない、ともいえる。
河野太郎外相「北朝鮮には明るい未来はないと認識してもらいたい」
http://www.sankei.com/politics/news/180109/plt1801090023-n1.html
河野太郎外相は9日午前の記者会見で、同日の南北対話で北朝鮮の平昌(ピョンチャン)冬季五輪参加問題が議題となることについて「オリンピックは平和の祭典なので、北朝鮮が参加の意向を示すことはいいことなのではないかと思っている」と評価した。一方で「こうした取り組みの中、北朝鮮の今の政策の先には明るい未来はないと、北朝鮮に認識してもらいたい」とも述べた。
これはどういう意味で言っているんでしょうね。わかりませんが、ものは言いようってところがあると思うんですけどね。じゃああんたは何を望んでいるんだと言ったら、北朝鮮が核ミサイルプログラムを放棄して、サダム・フセインやらガーダッフィ―の二の舞になることを望む日本、って話なんでしょうか。
このへんはすでにアメリカ人も、北朝鮮はサダムetc.の末路を見ているんだから、押せばいいってことにはならないという意見が珍しいものではなくなった状況から考えると、日本は一人ネオコン状態なんだろうかって感じ。日本国民のひとりとしては、なぜ?とまず第一に自国政府に問いたいですよ、ほんと。
あと、この2人が米と北の双方に凍結を促し、朝鮮半島の平和につなげるロードマップを提案したことを、日本のメディアはほとんどちゃんと報じていないのもとても気になる。話が見えなくなる。
北朝鮮の核について、韓国政府、国民の本音について思いをはせる。韓国の人は北朝鮮の核の矛先が自らに向かうと本気で思っているのだろうか。穿った見方をすれば、もしかすると同胞の核保有をどこか歓迎するような気持ちはないのだろうか。
この辺りにも韓国系が多く、仲良くしてもらっているのだけど、やはり日本人の私にはディフェンシブになる気配があって、壁を感じる。大国と国境を接し、海の向こうからも侵略を受けた歴史を考えればそれもやむを得ないと思う。
丹羽宇一郎さんが、核が米ロだけのものでなくなった今、核は経済の問題であり、意地の張り合いでしかないと。ごもっとも。
理屈は必要ない。
ズバリお互いの軍事情報の話だ。
北は韓国軍が韓国の左翼政権と独立していることを知っているのでこれからが本当の正念場だね。
韓国軍が主役だね。
トランプはアメリカファーストだよ。