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ロシア、通貨防衛して金を貯め込む

2014-10-14 02:51:29 | 欧州情勢複雑怪奇

ロシアを巡る状況は非常に不透明。というか何か奇妙にさえ思える今日この頃。

とりあえず、

ロシアの通貨防衛 “98年危機”を彷彿 外貨準備、4年ぶり低水準
2014.10.10 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/141010/mcb1410100500020-n1.htm

ロシア中銀総裁、為替介入を肯定 変動相場制移行の方針は堅持
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPL3N0S840K20141013
2014年 10月 13日 22:13 JST

こういうのを見ると、ロシアのルーブルが下落して大変だ~という騒ぎになるわけで、それはそれで一応理解できる。でも、要するにルーブルは資源通貨で、原油価格が下落しているんだから通貨価値が下落しても不思議はない。むしろルーブルが高くなるより連動していけばそれでいいという考えもあるだろう。で、その分その他製品輸出に競争力がつけば税収の資源依存度は下がる。

こんな感じらしい。赤が実効為替レートで、2003年1月を100としてどれだけ高くなったか。青はウラル原油。概ね原油と相関する。



でもって、原油やらガスの建値がドルまたはユーロであれば(多分まだそう)、ルーブルで得る収入は原油安をそのまま喰らわないどころか、原油安よりルーブル安が大きければルーブル換算で利益が出ちゃうとう場合もあるんじゃなかろうか。

つまり、

1バレル$100、$1=10ルーブルの場合、ロシアさんは1バレル売って$100(RUB1000)儲けました
1バレル$90、$1=12ルーブルの場合、ロシアさんは1バレル売って$90(RUB1080)儲けました
1バレル$90、$1=13ルーブルの場合、ロシアさんは1バレル売って$90(RUB1170)儲けました
1バレル$80、$1=13ルーブルの場合、ロシアさんは1バレル売って$80(RUB1040)儲けました
1バレル$80、$1=15ルーブルの場合、ロシアさんは1バレル売って$80(RUB1200)儲けました

って話。

さらに、為替の介入の話がどうにも奇妙。為替介入といえば日本の場合は常に、殆ど常に、円高を回避するために日本円を売ってドルを買って、結果的にアメリカ様の財務状況にお付き合いをするという話。

しかし、ルーブル下落の場合は、ロシアは手持ちの外貨を売ってルーブルを買っている。ということは、地道に毎日ドルを売ってるということ。一応、この場合には外貨準備高分までしか売れないという制限がある(円を売るなら自分んちで刷って理論上は無制限に売れる)が、ロシアの外貨準備高も4600億ドル程度と小さくはないので、当面そこで倒れるということは考えにくい。

で、ロシアは外貨を売って金を買うんでしょうね。

金買い急ぐロシア 欧米制裁対抗だけじゃない思惑[日経新聞]
2014/10/4 6:00

 世界第5位の外貨準備高を持つロシアが金の購入を加速させている。国際通貨基金(IMF)の統計によると同国の金の保有量は5カ月連続で増加。中国やスイスを上回り、世界第5位に浮上した。ウクライナ問題を巡って欧米が発動した対ロ制裁を受け、米ドルとユーロへの警戒感を強めたためだ。主要国の債務が膨らむなか、金への分散投資によって資産の保有リスクを減らそうとする思惑もある。

 IMF統計によると、ロシアが8月末時点に外貨準備で保有する金は1112.5トン。1月からの増加量は約77トンで、7カ月で約7%増えた。外貨準備に占める金の割合も8.3%から9.8%に上昇した。
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/emerging.aspx?g=DGXLMSGM29014_30092014000000&n_cid=DSTPCS007

ということは、ルーブル安によって、確かにロシア国内のドル or ユーロの資金需要のある企業は資金調達が大変な企業もあるのでそこ対する財政支援は必要になるんだろうけど、でも、大変なんで介入してま~すとかいって(介入は極端なルーブル安をスローにするもの、と当局も言っているので極端な介入ではない)金を貯めてる、つまり、ドルを売って金を買ってるという側面も見逃せない。

ロシアが中国と協力合意、制裁受けアジア重視へ転換
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKCN0I21IJ20141013

ロスネフチと同様に制裁に打撃を受けているVTB銀行(VTBR.MM: 株価, 企業情報, レポート)、ロシア開発対外経済銀行(VEB)とロシア農業銀行は中国輸出入銀行と融資枠の設定で枠組み合意に署名した。

中国とロシアの中銀はまた、1500億元(250億ドル)の通貨スワップ協定を締結した。自国通貨建ての貿易を増やし、米ドルへの依存度を低下させる狙いがある。

足元で足らない分は、G7諸国の銀行が、制裁に関係なくてもリスクを取って貸さないという感じになっているらしいので、チャイナマネーに融資してもらっている模様。黒字分の大きな割合をロシアに向ける勢いだとしたらその分米国債購入が減るってこと? あと、チャイナマネーつったっていろいろあるわけで、必ずしも中国共産党本体直属っつー話じゃない可能性だってあるよね。ということは、結局これってG7に繋がる投資家たちがユーラシアから、とりわけ資源のある地域から遠ざけられるという話なのか?と思いつつある今日この頃。

陰謀論的に考えると、このチャイナマネーは欧州の某巨大投資家でした、とかないの?

ユーロがあるからドイツは単独じゃないけど、ドイツ、ロシア、中国は、財政黒字で金の保有高が高い国。別に連合しているわけじゃないけど、でも、基本的に通貨を刷りまくることで財政をファイナンスしてきた英米とは明らかに異なる国々。なにか、とっても妙なことが起こっているんじゃないかという気がして仕方がない。少なくとも、冒頭のサンケイ・ビズの記事ほど簡単な話のわけはないんじゃないかと思う。というか、記事内で、

GAM・UKの債券ファンドマネジャーのポール・マクナマラ氏は現在と98年を比較するのは「見当違い」としながらも、「大部分のロシア資産を避けるだけの十分な問題がある」と見る。また、同氏は、「急落中のルーブルに手を出す理由はない」と付け加えた。

と結んでいるのに、なんで見出しが“98年危機”を彷彿、なの? メディアの信用危機はもう底なし。


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