まつだい農舞台。新潟県十日町市松代。
2023年9月24日(日)。
十日町市の松之山温泉センターで入浴後、北へ進み、まつだい農舞台へ向かった。道の駅「まつだいふるさと会館」から脇道に入り、北越急行ほくほく線の線路下をくぐると、11時30分ごろ農舞台の駐車場に着いた。
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレは、新潟県十日町市および津南町で開催される世界最大規模の国際芸術祭で、2000年に第1回が開催され、3年に1回開催される。最近では2022年に開催された。「越後妻有(つまり)」は、古くからこの地域が「妻有郷」と呼ばれたことに由来する。
現代アートシーンで話題になり、10年ほど前にNHKEテレの日曜美術館で特集番組を見た。ネットで調べると、2023年でも小規模な芸術祭が開催されている。川西エリア、松代エリア、松之山エリア、中里エリア、十日町エリア、津南エリアの6エリアの10か所以上で開催され料金も高い。全部見学するつもりはなく、旅行雑誌を含めて検討し、まつだいに絞った。
このエリア全体が、『まつだい「農舞台」フィールドミュージアム』とよばれ、「まつだい『農舞台』」から山頂の「松代城」までの約2kmの里山に約40点の作品が点在している。
まつだい「農舞台」。新潟県十日町市松代。
現代美術を収蔵した美術館。正式名称はまつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」。2003年開催の第2回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレに合わせて建設された。オランダの建築家グループ・MVRDVが設計。
「建物を宙に浮かせることで、建物下のエリアを、冬は雪がかからないゾーンに、夏は涼しい日陰の広場とすることができる。」
その地上エリアにチケットブースがある。各種のチケットがあるが、農舞台+資料館入館のみの一番安い入場券600円を購入。野外アートは無料の作品を数点見ればよい。ただしマップは必要。作品が点在する城山に至る道路には迷惑にならなければ路駐でいい。
館内に併設されたレストラン「越後まつだい里山食堂」では地域食材を使った料理が楽しめて人気があるが高い。部屋それ自体が、複数の作家がデザインしたアート作品になっており、教室の引き出しを開けてメッセージを読むアートなどを楽しんで、イリヤ&エミリア・カバコフの「棚田」や草間彌生の「花咲ける妻有」を眺められる屋上の展望台へ向かった。
草間彌生の「花咲ける妻有」。
北越急行ほくほく線「まつだい駅」手前に展示されている。草間彌生の作品は、東京や直島、十和田市現代美術館などで見ている。
イリヤ&エミリア・カバコフの「棚田」。
イリヤ&エミリア・カバコフは、共に旧ソビエト連邦(現ウクライナ)に生まれ、1989年からコラボレーションを始め、1992年から夫婦となりニューヨークへ移住した現代美術のアーティストで、「モスクワ・コンセプチュアリズムの父」とも呼ばれる前衛芸術家。
「○△□の塔と赤とんぼ」という高さ14mの作品が見える。
廻転する不在。“Rotating Absence”。東弘一郎Azuma Koichiro。
「作家は地域でいらなくなった自転車を収集し、誰がどんなふうに使っていたのかなどのストーリーを集めます。日常に密着した道具は、主人を失いながらも作品として新しい命を吹き込まれ動き出します。」
農舞台の手前にある作品。
北越急行ほくほく線「まつだい駅」方向へ歩き、まつだい郷土資料館を見学した。
まつだい郷土資料館。
この地域の有力な農民であった室岡家の住宅で、昭和10年(1935年)の建築。
主屋は桁行15,946m、梁間9,256m入母屋造金属板葺前中門付、平入。総二階建てで、一部小屋裏を利用した三階に相当する部屋があり、南面西寄に切妻造金属板葺妻入の形で総二階建の前中門、東寄には平屋建片流金属板葺の庇がついている。
また、西面北寄には総二階建幅約一間の突出部があり主屋からの葺おろしの形で金属板葺の屋根がかかり、北側背面中央部にも総二階建幅約半間の突出部があり、その上部は軒下に納まっている。主屋は前中門のついた「中門造」(ちゅうもんづくり)であり、豪雪地の典型的な農家建築といえる。
昭和54年(1979年)に旧・松代町が譲り受け、昭和59年(1984年)から「松代郷土資料館」として活用していた。平成16年(2004年)の中越地震やその後の豪雨、大雪等により被害を受けたため、合併後の新・十日町市で移転工事を行い、平成21年(2009年)3月に竣工した。平成23年(2011年)に十日町市の文化財に指定された。
奥座敷、前座敷。
農舞台の駐車場に戻り、山道を車を停めながら作品鑑賞をした。
リバース・シティー“Reverse City”。
パスカル・マルティン・タイユーPascale Marthine Tayou。
「太い柱に吊るされた大きな鉛筆の群れ。一本一本には世界の国々の名前が書かれている。」
○△□の塔と赤とんぼ“The○△□Tower and the Red Dragonfly”。
田中信太郎Tanaka Shintaro。
「高さ14mでの赤トンボは青空を背景に羽ばたくランドマーク。」
かかしプロジェクト“Scarecrow Project”。
大岩オスカールOscar Oiwa。
「両手を広げていたり、赤ちゃんを抱いていたりと、制作時のこの棚田の持ち主の家族をかたどった。モデルとなった赤ちゃんは、すっかり大きくなっているだろうか?」
円 - 縁 - 演“Circle - Connection - Performancet”。
松田重仁Matsuda Shigehito。
「2003年に大地の芸術祭が開催された6つの地域の職人によってトーテムポールとベンチが制作された。12年後に埋めてあったタイムカプセルを開封し中心に「希望の実」が設置された。」
13時頃に見学を終え、十日町市博物館へ向かった。