一昨日の5月9日(水)、古都鎌倉を散策して来た。昨年まで同じマンションに住んでいて、鎌倉へとUターンしたTさんにご案内して頂いてのこと。千石付近では何回もお会いしているが、鎌倉での再会は初めてだった。この日は、午前中は強い雨との予報だったが、午後には雨上がりの新緑が眺められることを期待し、敢えて出かけていった。
駒込9時35分発の山手線を新橋で横須賀線に乗り換えると鎌倉着が11時ちょうど。雨は小降りになったがまだ止んではいない中を、まずは「鎌倉彫会館」へ。長年鎌倉に住んでいて食通でもある彼女は、素敵なお店をよく知っていて、この日のご案内は会館内の「CAFE&SHOP 倶利(ぐり)」。
店内に入るとすぐ木製の椅子やテーブルが醸し出す落ち着いた雰囲気に魅了された。私は、食べる機会の少ない精進料理「刻御膳」(ときごぜん 税別1,500円)を頼んだ。注文した料理は全て鎌倉彫の容器に盛られてくる。漆器の手触り感が心地好い。特に、建長寺ゆかりのけんちん汁と白米が美味しかった。
食後のコーヒーも鎌倉彫のカップ。軽い器に、薫り高いコーヒーがたっぷり。そのカップは端正である。展示コーナーで鎌倉彫を見入ると、カップのお値段は2万円台。見るだけで手が出ません。
食後外へでるといい塩梅に雨は上がっていた。ここからいよいよTさんのご案内だが、特に妻は「鎌倉では有名なお寺ではなく、路地裏を歩きたい」とお願いをしておいた。地元Tさんに案内をして頂いたのは希望通りのお寺や神社。雨の予報もあってか観光客や高校生の集団には殆ど会わなかった。
案内して頂いたのは、日蓮上人辻説法の跡・蛭子神社・本覚寺・常栄寺(ぼたもち寺)・妙本寺・元鶴岡八幡宮などなどで、ガイドブックには載っていない様な神社仏閣のみ。しかし、Tさん一押しの妙本寺は格別に素晴らしかった。
妙本寺由来の説明は概略次の様に記されていた。
「妙本寺は、日蓮聖人を開山に仰ぐ、日蓮宗最古の寺院で、開基は、比企能員の末子で、順徳天皇に仕えた儒学者比企大学三郎能本(よしもと)。比企一族は建仁3年(1203年)に北条一族によって滅ぼされたが、能本は京都にいたため生き延び、鎌倉の町に立って生命がけの布教をされている日蓮聖人に出会い、”わが一族の菩提を弔って下さるのは、このお聖人しかいない!”と決心し、自分の屋敷を日蓮聖人に献上したのが妙本寺の始まり」とあった。 20段ほどの階段を上り切ると二天門。新緑を前景にした山門が美しい。本殿は想像した以上に大きい。建物は大きければ良い、というものではないだろうが、壮大である。私が日頃地元で見ているお寺さんは平面的だが、鎌倉では山を背景にして立体的でデンと構えている。隠れ里のような処に日蓮宗最古のお寺がありました。知らなかった名刹と精進料理をご案内して下さったTさんには感謝・感謝でした。