郡山市内に開成山公園と名付けられた公園がある。福島県の桜の名所のひとつである。4月14日(日)、霞ヶ城からの帰路、その付近を通ると、凄い渋滞で、車道から見ても桜満開の様子がよくわかった。
そこで、翌15日(月)はまずこの公園を訪ねることにした。公園内には、県営野球場や大きな池が点在する、総面積約30ヘクタールの広大な公園で、それを取り巻くように土塁が築かれていて、そこに多くの桜が植えられ、満開の時を迎えていたのだった。その見事さを眺めながら、公園内をゆったりと散策する。公園中央に高い塔が建てられていて、てっぺんには何やら動物の様なものの彫刻が見てとれる。4人、さて何かと、訝しげに思いながら接近すると、そこは「開拓の碑」で、動物は巨大な鳥だった。(写真:開成山公園の桜並木)
(写真;広大な公園) その近辺の掲示板には「明治6年3月、開成社(阿部茂兵衛以下25名)がその開拓にあたり、灌漑用に土手の長さ860mの開成沼を造った。その後、明治11年に開成沼・五十鈴湖の土手に彼岸桜・山桜・染井吉野847本を植えた」とある。この公園が現在に至るまでに、安積(あさか)開拓の苦難の歴史と、桜により心慰めたであろう日々があったことを知る。
「昭和9年に名勝天然記念物に指定され、全国に桜の名所として知られるようになった」とも。(写真:見事な桜樹) 家人を除く3名は開成山大宮神社へと急いだが、家人は「郡山 水と緑の案内人の会」会員と話し込み、耳寄りな情報を得て来た。その一つは「安積疏水」のこと。猪苗代湖取水に端を発した疏水は標高差300mほどを下り、ここの開拓にも役だったという。多くは暗渠化されていて興味をそそられるが、今は知識吸収のみとする。
二つめは「開成山大宮神社」のこと。安積開拓完成を祈願して、全国唯一と言われる伊勢大神宮に祀られている天照大御神を分霊勧請した神社だとのこと。(写真:開成山大宮入り口の枝垂れ) 大宮神社にお参りした後、再度公園内をのんびりと散策した。満開の桜のもと、絵を描く高齢者のグループや、記念写真を撮る幼稚園児たち、手を繋いで歩むカップル、乳母車を押す二人。長閑さの象徴の様な風景があちこち見られ、私達も心満たされた。東京で見られる景色とは一味違う花見風景を後に、車は一路鶴ヶ城を目指した。(写真:幼稚園児達も散歩のひと時)
(写真:公園内から望む安達太良山)