本書の著者ホロヴィッツの作品『カササギ殺人事件』は2018年度「このミステリーがすごい!」・「週刊文春ミステリー10」などの海外部門で4冠に輝くなどミステリーファンから高い評価を受けた作品だったが私は読んではいなかった。ただ何故か著者名はしっかり記憶に残っていた。
妻が借りて読んでいた『メインテーマは殺人』の著者はホロヴィッツで、その作品が書評欄で取り上げられていたこともあって、図書館へ返却以前に私の方へ回してもらった。
資産家の老婦人ダイアナ・J・クーパーが葬儀社を訪ねるところから物語の幕が開く。老夫人は自分の葬儀の相談をし、自らの葬儀の手配をして帰宅30分後何者かに絞殺されてしまった。
本作品の主人公の一人は著者アンソニー・ホロヴィッツである。そう、著者自身が物語を語ることとなる。彼が妻とレストランで食事中にロンドン警視庁の顧問で元刑事のダニエル・ホーソーンから携帯に電話が掛かってきた。会うと、老婦人が葬儀を手配したその日に殺害されたこの奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる。
彼の捜査能力の凄さのみならず性格をも知っているホロヴィッツは彼の申し出を断ろうと思うが、示された事件に大いなる興味を感じ引き受けてしまう。結局この殺人事件を捜査するホーソーンを描くため、彼と一緒に事件現場や事件に関係ありそうな人物を訪ね歩く二人三脚の旅を重ねることとなってしまう・・・。
p214から物語は俄然面白くなる。老婦人の埋葬の日、埋めようとした棺から音楽が流れ出したのだ。
♪ バスのタイヤはぐるぐるまわる ぐるぐるまわる ぐるぐるまわる ・・・・・♪
棺の中にはデジタル・レコーダーが置かれていた。誰が何の為に?謎は深まるばかりだが、老婦人の葬儀の後、彼女の息子で俳優として有名となったダミアン・クーパーも殺害されてしまう。
犯人は誰か?次々に怪しい人物は登場する。私はじっくり読んだつもりだが、最後近くまで犯人が分からなかった。しかし、読み終えて振り返れば、犯人に結び付く伏線は何本も張り巡らされていた。悔しいかな、その点ではフェアプレーの作品で読み手の私の完敗だった。ダニエル・ホーソーンが活躍する作品は10作か11作を予定しているそうで、今度は借りは返すぞと思いで次作品を待つことにしよう。
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