マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

八月花形歌舞伎『怪談乳房榎』

2011年08月11日 | 映画・美術・芝居・落語

 8月9日(火)、新橋演舞場に出掛け、八月花形歌舞伎の第三部「三遊亭円朝口演 怪談乳房榎」を観てきました。例月とは違い、八月の新橋演舞場は三部構成です。第三部は午後6時開演の九時終演。
 第三部の構成は
 田中青滋作  『宿の月』
 三遊亭円朝口『怪談乳房榎』 の二本立て

 「怪談乳房榎」では、父勘三郎の当たり役を受け継ぎ、勘太郎が四役早替わりを演じます。この芝居の一番の見どころですが、その早替わりが実に楽しく観れました。舞台から一瞬消え、その後数秒して花道に登場する。マジックショーを観ているようです。又観客注視のなかで、他の人物になり変っていく。眼を凝らしてそのトリックを見破ろうとしても、見抜けぬ謎。是非もう一度この芝居観たいとも思いました。

 円朝の語りをそのまま記述した”速記本”を基にしてこの歌舞伎が作られたが故に、「円朝口演」との前書きのあるこの芝居の粗筋はこうです。
 花見客で賑わう江戸向島の隅田提で、人気絵師菱川重信(勘太郎)の妻お関(七之助)が泥酔した侍に絡まれるところを、浪人磯貝浪江(獅童)に助けられます。これが縁で浪江は重信の内弟子となりますが、この浪江は実は大の悪党で、重信が高田にある南蔵院本堂の天井画を描くため家を留守にする間に、お関を我がものにしてしまいます。更には下男正助(勘太郎)を仲間に引き入れ、深夜に落合田島橋で重信を殺害してしまいます。
 次の幕からが怪談話となります。南蔵院では、死んだはずの重信が幽霊となって現れ、龍に両眼を入れ忽然と消えてしまいます。この消滅場面も見事な仕掛けが施されています。浪江から、重信の一子をも殺すように脅かされた正助は、已む無く四谷角筈十二社の滝壺に、真与太郎を棄てに行きます・・・。この滝の場面は、実際に水を使用しての演出で、幽境の雰囲気が漂い、この劇のもう一つの見せ場です。幽霊と水で夏場に”寒さ”の演出です。
 
 最後に勘太郎は円朝として高座に登場し「怪談乳房榎」を語り、観客を笑わせ幕となります。
 勘太郎は、重信・下男正助・うわばみ三次・円朝の四役早替わり見事に演じます。浪江を演じる獅童の悪党振りも決まっていました。この早替わりを観て、歌舞伎には色々な楽しみ方があることを知ったのでした。
 (付記 角筈十二社の滝壺は、玉川上水の水が神田川上水へ流れ落ちた落差10mの滝、とイヤホンガイドは語っていました。興味そそられる事柄です。本当かどうか確かめに出掛けたいと思いました。
又円朝からの速記本は二葉亭四迷創作に影響を与えたともガイド触れていました)
 


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