一昨日の7月6日(金)、日比谷にあるイイノホールで桂文我独演会を聴いて来ました。
構成は 開口一番 桂 まん我
地獄八景亡者戯 桂 文我
枝雀まるわかり 村上信夫 桂文我の対談
≪中入≫
お楽しみ 桂 文我
文我は桂枝雀の弟子にして、上方落語界では売れっ子の噺家らしいのですが、その方面の知識の乏しい私は、初めて聞く名前です。彼は子供向け落語にも関心があるようで、知人が編集長だった出版社から、文我著作の絵本が刊行された事があり、その編集長の縁で廻って来たチケットです(有料ですが・・・)。雨模様の日にも関わらず、ホールは主として中年以上の聴衆で満員でした。
18時半きっかり、幕が開きました。ところがです、開口一番のまん我の声も文我の声も良く聞こえません。又私の耳の弱点が禍しました。「地獄八景亡者戯」は、古典上方落語「地獄めぐり」を米朝が現代向けにアレンジした、1時15分ほどの長編落語で、文我の熱演に会場は度々の爆笑ですが、私には意味不明のところが多く、その面白さを味わえぬまま時が過ぎてしまいました。残念なこと限りなし!です。
ただ隣の女性も良く聞こえなかったと語っていましたし、前の席の男性も右耳に、集音の為に手を添えていましたから、噺家の前にある一本のマイクでは、耳の弱い人には聞こえずらい音響状況にあるかもと、少し自分を慰めて、次の対談を待ちました。
3月までNHKアナウンサーをしていた村上信夫と文我の対談は、二人ともマイクを握っての会話で、こちらは非常に良く聞えました。二人は20年以前からの付き合いがあり、息が合っていて、枝雀の思い出話では、歌舞伎座での枝雀の大活躍などが話題に上り、実に面白く聞きました。
最後の「お楽しみ」は、何と行政書士が代書屋と呼ばれた頃の話。その代書屋と、次々にやって来る客との掛け合いを聞かせます。最後に現れた女性客、代書屋に料金を払い、受け取った証を書いてくれと頼みます。書き出した文字に難癖をつけられた代書屋、女客の筆が確かなことを知って、「貴方が全部書いてよ」と逆に頼みます。書き上がった書類の最後には”自筆不能、代書す”の印を押さざるを得なくなってしまい、代書することを誇りと感じていたであろう代書屋が最後に悔しい思いをしたところで幕。
「お楽しみ」は私の現在の仕事が登場したこともあり、全部しっかり聞えたから不思議です。演目は「代書家」でした。