


あらすじ(「BOOK」データベースより)
仕立屋の淳蔵は、かつての親友高瀬に招かれ、追われるように去った信州の故郷を35年ぶりに訪れる。高瀬の妻の美保子は昔、淳蔵が恋焦がれた相手だが、年月が彼女を変貌させていた。佳世と出会った淳蔵は年齢差を超えて惹かれるが、過去の事実が二人の恋情をより秘密めいたものにしていくのだった。直木賞受賞作。



主人公の恋愛が、現在と過去の男と女、男と男、女と女、いろんな人間模様を浮かび上がらせる、恋愛小説。恋愛小説!? 恋愛だけではなく、人間が生きる、生きていくということを描いているようでした。主人公は男性にもかかわらず主人公の疑問や感情が私の疑問や感情になり、不思議な感覚でした。情景を表す日本語が色を鮮やかにしたり香りが匂い立つようで美しかったです。感情を表す言葉も細やかだったり大胆だったりしてメリハリがあり、私もその波に乗って、気分が華やいだり暗くなったり恨めしくなったりさみしくなったり切なくなったり艶を感じたり。こういう小説は今まであまり読んだことがなかったかもしれません。最後は白黒はっきりして終わるわけではないけど、これまた生きる、生きていくってことなのかなと思いました。
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