徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

猟場か…餌場か…出会い場か…?

2007-01-23 11:28:00 | 生き物
 以前にも話したのだけれど…うちの庭はどうやらこのあたりの野良猫の通り道になっているようだ…。
そのせいか…わが家の前で車に引かれる猫が多発し…すでに4匹の猫の死骸を始末した…。

 猫本体だけではない…。
野良猫のせいで時々…いろんなものを始末しなきゃならなくなる…。

 今朝…何気なく庭を見たら…庭に鳥の羽がいっぱい落ちている。
色からすると土鳩のようだ…。
猫め…鳩を捕まえて食べたな…。
そう思って一階の物干し用ベランダから下を覗くと…土留の上にごろんと鳩が仰向けに転がっている…。

あ~ぁ可哀想に…。

 事業局へ連絡すると…担当者は個人の家の庭には入れないので…段ボールに入れて玄関の外に出しておいて欲しいとのこと…。
死んだ鳩なんてあんまり気味のいいものじゃないが…仕方がない…。

 夏は夏で…腹だけ食われた蝉の死体…ネズミの死体…小鳥の足…などが転がっている…。
おまえらなぁ…ちゃんと残さず食べて行け…それが礼儀だ…と思わず怒鳴りたくなる…。

 鳩はまだ…死んでそれほど経っていないようで…羽もふわふわだ。
逃れようとして相当暴れたのだろう…。
 羽が抜けて散乱してはいるが…胴体に大きな傷はない…。
眼を狙って一発で噛み殺したようだ…。

 眼球に牙の跡があり…脳に達している…。
それは…段ボールに入れる際に空洞となった眼窩から滴りおちた体液でそれと分かる…。
液体は…血液ではない…。

 何処も食べた様子がないところを見ると…唯の狩だったのかも知れない…。
猫の習性はよく知らないが…この餌の乏しい時期に獲物を狩っても食べないで放っておくのは…野良猫じゃなくて子猫のいない飼い猫だろうか…。

 以前…ここを縄張りとしていたノラは子供たちのために狩をしていたから…餌を無駄にはしなかった…。
うちの庭で蝉やすずめを獲っては子供に与えていた…。

しかし…何なんだ…?

 このあたりには同じような庭が並んで幾つもあるというのに…夜中にとんでもない声を出しながら猫たちはここで逢引をして…ここで狩をして…ここで子猫を遊ばせて…ここで食事を取る…。
あげく…その後始末を自分がする破目になるのだ…。

 下手すると…庭の木に…猫が三~四匹…まるで木の実のように生っていることがある…。
猫の集会…らしい…。
そんな時に庭を覗くと…一本の木に鈴生りの猫が一斉にこちらに視線を向ける…。

邪魔っ!

 へいへい…お邪魔さまでございました…どうぞお続けくださいまし…。
なんで…ここの主が猫に遠慮しなきゃならんのか…。

 段ボールに収めた鳩の上に散らばった羽をかけて…気持ちだけ…庭の山茶花の花を一輪手向けた…。
事業所のおじさんに叱られるかな…と思いながら…。

 けど…待てよ…。
この鳩は何処で捕まったんだろう…?
うちには鳩の巣はないし…居るとすれば…川にかかった橋の下…。

 橋の下まで…100メートルはあるよなぁ…。
死んだ鳩ならともかくも…生きた鳩をここまで銜えてきたってことか…。

 羽の散乱した箇所が…二箇所に分かれていたから…鳩はここに来た段階では生きていたと思うのだけれど…。
それともここで…寝ている鳩を捕まえたのかな…?

或いは羽の散乱は…死んだ鳩を他の猫と奪い合った結果だったりして…。

何れにせよ…猫の顎の力というのは…強いもんなんだなぁ…。



 

続・現世太極伝(第百十話 どん底…。 )

2007-01-22 20:46:46 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 宗主による青の焔の処置が終わると…入れ替わりに有が痛んだ滝川の身体を入念に治療し始めた…。
西沢は落ち着かない様子でそれをじっと見ていたが…不意に大きく息を吐くと…腰を抜かしている少年と『時の輪』の方に向き直った…。

 宗主がさり気なく…西沢の行動を見張った…。
完全に怒りの焔が消えたかどうか…それを確認するために…。

 少年は怯えきった眼を向けていた…。
『時の輪』は…固まって動けない少年を庇うように自分の背中にまわした…。

 「おやじ…運がいいな…。
おまえだけは逃がすまいと思っていたのに…。 」

押し殺した抑揚のない口調で西沢は淡々と話しかけた…。

 「見たところ…おまえ以外にはHISTORIANの後始末を任せられる者はいないようだ…。
不本意だが…見逃してやる…。

 仲間を引き連れて…この国を立ち去れ…。
誤った教理など早々に破り捨てて…進むべき道を正せ…。
二度と愚行を繰り返すな…。

 我々エナジーは世界中どこにいてもおまえの動きを見張っている…。
何ごとかあれば…今度は…容赦はしない…。
それを忘れるなよ…。 」

 『時の輪』は辺りを見回した。
つい先程まで空間の壁を補強していたエナジーたちがすでに持ち場を離れて…なにやらざわめいている…。
 『時の輪』に対して警告を発しているようにも聞こえる…。
彼等に口というものがあるのなら…だが…。

 姿は見えないが『時の輪』にも強大なエナジーの気配だけは感じられる…。
西沢は我々…と言った…。

 これまで相対していたものが…西沢の中の魔物だけではなく…この強大なエナジーたちだとしたら…考えるまでもなく勝ち目はない…。
ましてや…捕まえて利用するなどできようはずがない…。
虚しく転がるふたつの骸に眼をやりながら…『時の輪』は力なく項垂れた…。

 やがて…ノエルの空間フレームも消え…もとの静かな町に戻った…。
町はほとんど無傷だったが…添田の屋敷は燃え尽きたまま…裏の林にも破壊の痕跡が生々しく残っていた…。

 西沢が破壊したはずの民家は何事もなかったかのようにそこに在り…あちらこちらに力を抜かれたHISTORIANたちが転がっていた…。

 空間が消えてしまうと…屋敷の焼け跡からお伽さまが姿を現した…。
添田と磯見…そして…すんでのところで三人を助け出した智明と三宅もそこに居た…。
敢えてどこかに隠れていたというわけではないが…意図的に空間の外に移動したものは空間の中からは見えないのかもしれない…。

お伽さまは宗主の前へ出るとそっと一礼した…。

 「御大親のお導きにより…新天爵さまと庭田衆が駆け付けてくださいました…。
お蔭さまで事なきを得ました…。 」

お伽さまの無事を確認して…宗主は嬉しそうに眼を細め頷いた…。



 この国に潜伏していたHISTORIANのほとんどがその力を失い…彼等を動かしていた首座とその弟が倒されて…屋台骨の折れた組織は急激におとなしくなった…。

 あの少年の他にも、数人の子供たちが将来の首座候補として世界各地に送り込まれてはいたが、何れもそれほどの力の持ち主ではないことが判明した…。

 『時の輪』の告白によれば…このところHISTORIANの内部では急速に能力の退化が進み…組織自体が弱体化してきたために…急ぎ勢力の拡大と教理に示された建国の実現を図ったのだという。

 過去に敵対していた天爵ばばさまの魂…がこの国に存在するらしい…ということをアカシックレコードから読み取った首座兄弟は何としても…この国を渡すまいと考えたようだ…。
後に王弟の記憶まで登場して…さらに執着を深めた…。
 
 首座の弟に…生物個体の特異性を強調させる能力があり…ワクチン系の同士を作り上げるには…DNAそのものを直接操作せずとも内在するプログラムの特異性を刺激すれば事足りるらしい…。 
だとすれば…三宅が業使いの力で…オリジナル系を発症させたのと大差ないわけだ…。

但し…ノエルの時のように胎児にも影響が及ぶ虞があり…来人がワクチン系の完全体として生まれたのも偶然とは言い難い…。

 幸いと言うべきか…はるか超古代にプログラムを組み込んだ力そのものは…すでにHISTORIAN自体からも消滅しており…最早…彼等自身の能力を以って新たにプログラムを組み込むことは不可能となっていた…。
 


 飯島病院の特別室…今やここは西沢家専用の病室のようになっている…。
宗主と有の治療を受けた後…滝川は仲間たちの手でここに運ばれた…。
 攻撃を受けたわけではないから魂が燃えてしまうことはないにせよ…青の焔が体内に入ったために消耗が激しく…回復には時間がかかりそうだった…。

 西沢は滝川の傍に付っきりで…滝川の目覚めを待っていた…。
ようやく自宅に戻ってきた子供たちとも…まだ顔を合わせていなかった…。

 「ノエルが心配してたよ…。 紫苑…寝てないんじゃないかって…。 
どうして…みんなの手を借りないの…? 交代で付き添えばいいじゃない…。 」

子供たちを連れて仕事に出かけたノエルに代わって…非番の亮が着替えを届けに来ていた…。

西沢は軽く微笑んだ…。

 「傍に…居てやりたいんだよ…。
恭介は…ね。 僕にとって大切な人だから…。 」

 紫苑…やっぱり先生のこと好きなんだ…?
西沢の本心を確かめるように亮は…その表情を伺った。

 実の兄だとは知らなかった頃に…同じ質問をした覚えがある…。
あの時と同じように…西沢はクスッと笑った…。

 「僕には…どこかで…自分を捨ててしまっているようなところがあるんだ…。
自分を愛せなくて…大切にもできなくて…。
誰も本気で…僕のことなど愛してはいない…と…そう思い込んでいるようなところがね…。 」

そんな西沢を包み込むように…滝川は何度も囁き続ける…。

愛してる…愛してるよ…紫苑…。

自分の存在の意味を模索する西沢に…ひとつだけは必ず…答えを用意しておいてくれる…。

お前が居なくなれば…僕も消える…。
僕等は…ふたつの身体を持つひとつの存在…。
生きて…紫苑…僕のために…。

 「恭介が居なければ…とうに僕は壊れていた…。
強くて頼りになる紫苑…みんなはそう思っているけれど…恭介が蔭で僕を支えていてくれるからこそ…なんだ…。 」

僕ひとりでは…何もできない…。
西沢はそう言って溜息をついた…。

紫苑…。

 不意に滝川が声を発した…。
目覚めた…これで意識的に自己回復を始める…。
西沢の表情が華やいだ…。

 「あの子は…? 」

滝川が身体を張って西沢の暴走を止めようとした直接の目的…少年の命…。
気にかかっていた…。

 「大丈夫…殺さずに済んだよ…。
先の見通しが立つまで…智明が…天爵ばばさまが預かって教育し直すと申し出た。
教理の過ちを正せるのは天爵さまだけだから…。 」

それを聞いて安心したように滝川は頷いた…。

 「僕は…後始末にはタッチしていない…。 上の方が動いているから…。 」

そうか…滝川は少し微笑んだ…。

様子がおかしい…と西沢は感じた…。

 「恭介…どうした…? 何故…こっちを見ない…? 」

そう問われて…滝川は西沢の声のする方へと顔を向けた…。
遠くを見つめるようなその眼…。

 「見えてないのか…? 見えないのか…恭介? 」

滝川の両頬を掌で挟んで…西沢はその眼を覗き込んだ…。

 「全然…という…わけじゃないよ…紫苑。 治療師の眼は…働いてる…。 
大丈夫…なんとかやっていけるさ…。 」

安心させるように滝川はまた微笑んだ…。

西沢の両目から涙が溢れ出た…。

 「恭介…ごめん…ごめんな…。 僕のせいだ…。」

西沢の受けた衝撃は…その取り乱した姿からも容易に察せられた…。

滝川の眼…写真家としての滝川の命…。
それを奪ってしまった…。

 滝川には西沢の動揺が手に取るように分かった…。
自分に何かあればそうなるだろうということも…ある程度予測していた…。
けれど…子供の命を奪ってしまうよりは…傷は浅くて済む…と考えた…。

おまえのせいではないよ…紫苑…。
僕が勝手に…やったことなんだから…。
有さんが止めるのも聞かずにね…。

その場でふたりを見ていた亮は…この状況に置かれても比較的落ち着いている当の滝川よりも…西沢の受けた精神的な衝撃と痛手を案じた…。

 有の診たところでは滝川の眼にも脳にもなんら異常はなく…むしろ…見えないことの方が不思議だった…。
飯島病院の眼科の医師も…何かの衝撃による一時的な症状ではないか…と考えた。
しかし…治療方法や解決策に関しては…よく分からなかった…。

 身体の方は自己回復を始めるとあっという間に全快したが…何故か視力だけが戻らない…。
見えない…というよりは見える対象が普通のものではなくて…常時…内視鏡でものを見ているような状態に陥っていた…。



 とうたん…行ってきま~ちゅ…と食器を洗う水音に混じってキッチンの方で声がする。
毎朝のお出かけの挨拶…。
ばたばたと幾つもの小さな足音が近づいて来る…。 

 「先生…行ってきま~ちゅ…。 」

吾蘭の声が耳元で聞こえた…。
 ちっちゃな手が三つ…滝川の手に触れていく…。
吾蘭…来人…絢人…それぞれノエルと輝について出かけていく…。

 「行っといで…。 気をつけてな…。 」

滝川は笑顔で…そう答えた…。

 玄関の扉を閉める音がすると…よっこらしょっと居間のソファから立ち上がり…洗面所に向かう…。
夕べ寝しなにかけておいた洗濯物を取り出す…。
 上手く乾燥されているかどうかを確認しながら籠に入れる…。
居間へ持ち帰り…手探りでたたむ…。

最近の朝の習慣…。

 見え方が妙なだけで…そこにものが存在すること自体は分かるから…家に籠もって生活する分にはさほど不自由を感じていない…。

写真が撮れないだけ…さ…。

 死ぬ覚悟で紫苑を止めに入ったのだから…命が在っただけでも有り難いと思わなければ…。
僕は…そう思ってるんだけどな…。

こちらへ近づいて来る西沢の気配を感じながら…滝川は思った。

 「恭介…コーヒー…。 熱いから…気をつけて…。 」

居間のテーブルの上にそっとカップを置く…。

 病院から戻って…はや一週間…症状は改善されないまま…。
けれど…有も…有の恩師である宗主専属の治療師も…悲観的な見方はしていない。
滝川は今…常に治療師の能力を使っている状態にあるだけで…何か…きっかけさえあれば…ちゃんと見えるようになると言っていた…。

 それでも西沢は立ち直れない…。 完全にどん底…。
滝川が悪戯を仕掛ければ…無抵抗にされるがまま…。
まるで…そうすることが自分に与えられた罰だ…とでも思っているかのよう…。

 紫苑…嫌なことは…嫌だって言わなきゃ…。
放っとくと…調子に乗っちゃうぜ…。

 こうなると…滝川の方が溜息もの…。
従順なお人形さん相手にゲーム仕掛けても…面白くないぜ…紫苑…。
 なあ…いつものおまえに戻れよ…。
怒れってば…。

 発作を起こした英武の暴力に痛めつけられていた頃のように、西沢は何をされても唯、黙って耐えるだけ…。
英武が治療を受けて発作を起こさなくなってから、少しずつ消え始めていた自虐傾向が再び甦りつつある…。

 悪い兆候…と滝川は感じた。
その原因となっているのが滝川自身であることに…少しばかり複雑なものを覚えた…。






次回へ

後ろ前だぎゃ~!

2007-01-21 16:59:00 | ひとりごと
 冬は暗いうちに起きるdove…灯りのない部屋で着替えを済ませる…。
ほとんど手探り…。
時々…下の部屋に降りてきた後で…シャツが前後ろ反対なのに気付き…誰にも気付かれんうちに急いで着替え直す…。

そのまま出掛けなくて…よかったわい…。

 さすがにズボンの前後ろは間違えやしないけれど…シャツは分かりにくい…。
灯りをつければいいのだが…布団から出るのが寒いので…ずぼらなdoveは起きるなり肩に毛布をかけたまま…すぐに着替えてしまうのだ…。

若い時は着るとすぐに首の辺りの違和感に気付き…その場で着直したものだが…この頃…感覚までだめになったか…動かないと違和感が出ない…。
 春から秋にかけてはシャツを着ないので問題ないが…冬はトレーナーやセーターの下で後ろ前になっているシャツに気付かない時もある…。

やだねぇ…。 緊張感が足りないんだね…。
もうちっと…びしっとしてなきゃ…いかんねぇ。


 学校祭なんかで…娘たちが男の子にセーラー服を貸すと…面白いことに大概の子はファスナーを前にしてスカートをはくという…。
娘たちはけらけら笑うが…これは…うん…分からんでもない…。

そうだよなぁ~。
男は前…だもんなぁ…。
長年の習慣は変えられんよなぁ…。

女性の衣服のように…デザインで位置が変わるわけじゃないんだから…。


 前…ねぇ…。 そうだ…。
こんなことがあったな…。

 冬のおじさんの定番下着…と言えば…うちの親父の頃なんかは…らくだのシャツに股引…。
何でらくだかと言えば…色がキャメルなんだ…。
薄い肌色っぽいのもあったなぁ…。

今ではホワイトやカラーものなんかも多くなって…キャメルはほとんど見かけないけど…その頃は多かったね…。

 いつもどおりに帰宅した親父が…今日は困ったよ…とオカンに言った。
会社でトイレに入ったら…前が塞がってる…。

窓がないっ!

 朝…股引を前後ろにはいたらしく…窓が後ろに行っちゃってたのだ…。
すぐには状況が飲み込めず…焦ったようだ…。
用は足せるものの…はき直すこともできず…たんびに…窓がないっ!…を繰り返していたらしい…。

 そんなもん…トイレではき直しゃいいのに…とオカンも自分も思ったが…親父は思いつかなかったようだ…。

 それ以前に…朝…家で気付かんものか…と自分は思っていた…。
が…その後で中学の同級生が…制服のズボンの下にパジャマをはいたまま…登校してきたのを見て…気付かんものなんだぁ…と納得…。

 人間…在り得ん状況に置かれると気が焦ってパニックに陥るようで…どうなっているんだ…から…どうすりゃいいか…を考えるまでに多少時間を要する…。
 即座に対処する人もいれば…親父のようにそのままにしてしまう人もいる…。
まあ…そのままにできる状況だから…なんだろうけど…ね。

 けど…たんびに…どきっ!…としたり…焦ったりするくらいなら…ちゃっちゃと着替えるぞ…。
ほっとくの嫌じゃないさ…着心地悪いし…。

それとも…やっぱり…年齢とともに…着心地もあんまり感じなくなっちゃうんだろうか…なぁ…。

 今では…自分が起きしなに…パジャマの上からズボンをはこうとしている…。
うぅ~っ…もう…人のこと笑えんなぁ…。

 



オカン…何…これ…? 

2007-01-20 15:15:00 | オカン
 とうとう受験本番に突入したね…。
これからしばらく大変な日が続くけど…全国の受験生諸君…頑張ってね…。
それぞれに良い結果が出ますように…。

 受験といえば縁起担ぎ…キット○ット…とか…うカー○…とか…最近は食品メーカーも受験にちなんだものを売り出しているけど…自分等の頃はだいたいオカンたちが手作りで豚カツなんかを揚げてくれた。

 試験日…覚えている時は…だけどね…。
忘れてると最悪…。
試験前にめいっぱい茗荷を食わされたことがある…。

知ってる…?

 茗荷は食べるとひどく物忘れすると言われているんだよ…。
だから試験前には…普通は食べさせない…はず…なんだけど…なぁ。

試験の結果が最悪だったのは…そのせい…じゃないことは…ちゃんと分かってますって…アハハ。

 まあ…オカンのやることが何処かおかしいのは毎度のことで…いちいち気にしてたらきりがない…。
運動会の弁当が箱一面焼きそばで…おまけに箸がない…って話を前にしたけど…遠足でもやられたからね…箸なし弁当…。

受験生のお母さん…お父さん…弁当だけは忘れ物ないように頼むよ!

 自分の時代の弁当はオカンの手作り…全部茶色いおかず…の弁当だったけれど…弟の時代になると冷凍食品が出てきて…少しだけ見た目が良くなった…。
今と違ってレンジがないから…焼いたり揚げたりはしなきゃいけなかったけど…。

 見場が良くなったと言っても…オカンの腕に期待してはいけない…。
冷凍食品の会社が期待しているような出来具合に仕上がると思ったら大間違いなのだから…。

ある朝…弟の皿に妙な物体が乗っていた…。
それは揚げ物のようではあるが…何を揚げたのかさっぱり分からない…。
ひと口大の小さな物体だった。

弟が学校へ出かけてしまってから…はっと気がついた…。

 「オカン…失敗こいたやろ…。 」

そう言うと…イヒヒ…とオカンは笑った。

 「難しいんだわ…あれ揚げるの…。 なかなか上手くいかんで…。 」

そうだろなぁ…火加減…考えとらんもんな…。

 弟の皿のあの物体は…実は蟹クリームコロッケ…。
新しい味を弟に食べさせてやろうという親心は分かるのだが…。

 全然…中身が入っとらんのだ!
揚げを失敗して大爆発…哀れ中身は油に散乱…形をとどめていない…。

残った皮だけが弁当のおかず…何だか分からんはずだ…。

 「それでも…あいつは気付かんもんで…そういう食べもんだと思っとったで…。
よくしたもんだわ…ははは…。 」

 ははは…って…弟よ…それくらい気付け…。
蟹クリームなしの皮コロッケ…まあ…そこそこ味はしみとるから…おかずにはなるだろうが…。

 
オカンのわけの分からん料理の反動か…自分はなんとか自力で料理を覚え…上の弟はめちゃめちゃ料理のうまい嫁さんを貰った…。
 
 分からん料理の被害者…下の弟…。
上と同じく…自力で料理を覚え…その上に料理のうまい奥さんを貰い…今では家族の中で一番…料理にうるさい…。



 

貧血…金欠…何の欠?

2007-01-19 12:53:00 | ひとりごと
 ブログ記事を書きながら…ついついケースに手を伸ばし…清涼剤をばりばりと噛み砕く…それも…処方を無視して際限なく…。
この症状が現れると…来たな…と思う…。


 数年前…急激に疲労度が増し…寝ても回復できなくなった…。
人間…疲れると苛々する…食欲も失せる。
顔色も悪くなり…ひどく痩せた…。
まるで好物でも食べるかのように…昔ながらの清涼剤を貪り食い…その異常さに我ながら呆れた…。

 当時…新聞で中高年のうつ病が問題になっていたから…それじゃないかと心配になり…心療内科の診察を受けた…。

先生:誰かに診療を勧められたんですか…?

dove:いいえ…自分から…。

先生:眠れますか…?

dove:ぐっすりと…。

先生:死にたくなるようなことは…?

dove:全然…ありません…。

書面で…こんなような問診を幾つか受けた…。
あと…精神分析みたいなこともやった…。

 結果…うつではなく単なるストレスだというので…ちょっと気分を楽にするという目的で…通常の患者が使う半量の薬を貰って帰った…。
それを飲むとめちゃくちゃ眠い…意識がはっきりしなくて余計に気分が悪い…。
辛抱たまらず…二回飲んで止めた…。

次の診察でそのことを先生に話した…。

先生:そうですか…。 (弱い薬で半量なのに…効き過ぎたのかな…?)

dove:とにかく…起きてられないので…。 (すっきりする薬にして欲しい…。)

先生:それじゃ…さらに半量にしましょう…。 錠剤半分だけ飲んでください…。

 どう考えても子供用以下だろう…と思われるような分量だった。
ところが…やっぱり飲むと気分が悪い…ぼんやりして何もする気が起こらない…。

やめっ! 薬は飲まんっ!

またまた…次の診察の時に…薬は要らん宣言をした…。

先生:まだ…強かったですか…? (←薬で気分をゆったりさせたい先生…。)

dove:はあ…どうにもすっきりしなくて…。 (←すっきりしたいdove…。)

先生:薬に弱いんですなぁ…。 (あれでも…まだ多かったのかなぁ…?)

dove:とにかく…眠いのはだめ…いつでもしゃきっとしていないと気が済まないんです…! あれ飲むとぼ~っとしてストレスが余計たまるんで…。

先生:えっ…? (←睡眠こそがストレスと疲労回復の治療手段…と正しい判断の先生。)

dove:いくらボケた頭でも意識がはっきりしないとイライラするんです! (←起きている限りは明瞭な意識を要求するdove…。)

そう…先生の処方とdoveの要求には根本的にずれがあった…。

 ストレスの治療には心と身体を休めることが大切…なので…先生はできるだけ睡眠を取れるように眠い薬を処方する…。

 眠いのが大嫌いなdoveは昼間っからウトウトしてしまうような薬はご免被りたい性質…。
意識を…シャッキリ! スッキリ! ハッキリ!…させたいために通院している。

 先生が笑い出した…。(←こいつに治療はいらんわ…と思っている先生。)
その後…しばらく通って…先生と話だけして…治療の必要がない…という先生の判断を確認して…通院を打ち切った。


 問題は…その後…。
たまたま機会があって…血液検査を受けた…。

医師:doveさん…えらい貧血だよ…。

dove:へっ? 貧血ぅ? そんなの今までなかったけど…。

医師:危ないから鉄剤飲まないとだめだよ…。 ちゃんと食事してるよね…。 検査して原因を見つけないと…いかんね。

 そう…症状の直接の原因は…実は…ど貧血だった…。
ストレスも多少あったんだろうけど…疲れもめまいもイライラも…清涼剤を食べたくなるのも全部そのせい…。

本当は心療内科…じゃなくて…最初から普通の内科へ行くべきだったのだ…。

 金欠なら年がら年中だけど…貧血はこの齢になって初めて…。
doveの血は献血で喜ばれるくらい濃い血だったのに…。

 やっぱり…中年は要注意だ…。
何でもかんでも精神的なもののせいにはできないってことだよね…。
両方疑ってみないといけないんだ…ってことがよく分かった…。

 doveはレバーもほうれん草も大好きだからよく食べるのだけれど…それではとてもおっつかない状態だった…。
治療のためには…薬剤師さんに…近く手術をするんですか…って訊かれるくらいの鉄剤を飲まなきゃならなかった。

 鉄剤を飲みだすとすぐに…清涼剤を食べなくなった…。
その後も…doveの身体は鉄が不足すると…清涼剤を要求し始める…。
やたら食べたくなると危険信号…。

 定期的に検査を受けて不足している時には鉄剤を貰って帰ってくる…。
勿論…そうなる原因がちゃんとあるんだけど…鉄剤さえ飲んどきゃ死にゃあしないからね…。
今んところは…。

 えっ…金欠病はどうしたらいいか…って…?
それはこっちが訊きたいくらいだねぇ…。

対処療法としては…各種挽肉とモヤシ…キャベツ…大根…白菜…玉ねぎ…ジャガイモ…ニンジン…。
月末にはこれをフルに活用しよう…。

慢性化した金欠病にはよく効くよ…。




続・現世太極伝(第百九話 これは…事故だ…。)

2007-01-18 12:36:36 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 異変に気付いた宗主と有は…相庭にその場の指示を任せて…仲根を連れて坂を上った。
西沢に力を抜かれた何人ものHISTORIANが目覚めぬままに横たわる道を進んだ。

 「いったい…これだけの人数が何処に潜んでいたんでしょうね…。
こいつらの後始末は…どうしますか…?  」

仲根は上司である有に指示を請うた。

 「もともと…他国から来た連中だ…。 速やかに国へお帰り願うとしよう…。
問題は…国内でHISTORIANに加わった者たちをどうするか…だな…。 」

 エージェントたちの調査報告によれば、HISTORIANに取り込まれてしまった国内の能力者も少なからず居るということだった。
倒れている連中を見れば…その中に…何人もそれらしき者が居る…。
彼等の処遇についてはまだ族長会義でも思案中…。

 「不思議な光景だ…。 
あの人間嫌いのエナジーたちがここまで協力してくれるとは思わなかった…。
ノエルのことはともかく…紫苑のことも仲間と見做しているのだろうか…? 」

エナジーたちが補強した特殊な空間の壁面を眺めながら…宗主はそう呟いた…。

 前の戦いで命を落としかけた紫苑を助けるために…ノエルが産んだ紫苑の生命エナジーの基盤は太極の守護を受けたものだ…。
彼等…意思を持つエナジーにとっても何か特別な意味があるのかも知れない…と有は思った。

まさか滅のエナジーの一部までが西沢の中に入り込んでいようとは…誰も想像だにしていなかったが…。



 青の焔を放ったことで…自分の中に溜まっていたものを少しだけ吐き出した西沢はようやく…苛々を和らげた…。
それでもまだ…闇の翼は消えない…。

 エナジーたちが協力的なのは…西沢の中に居る滅のエナジーが自分たちのもうひとつの姿だからだ…。
 別の姿を装いながら…実は彼等自身…。
西沢の中の彼等が動き出せば…この世はあっという間に滅亡する…。
漠然と…ではあるが…滝川はそんなふうに感じた…。

 エナジーは何を目的に…西沢の中に…滅び…を埋め込んだのだろう…?
限界点を測るバロメーターにでもしようというのか…?
 それとも…西沢にその最後のスイッチを押させようとでも考えているのか…?
何れにせよ…今は…そのお蔭で町全体がエナジーのバリアに護られている…。



 弟の異様な死を目の当りにして…高倉族長に化けた男は少なからず動転した…。
これまでにも…様々な国で…その国最強と言われる能力者を何人も相手にしてきたが…西沢ほど掴みどころのない能力の持ち主には出会ったことがなかった…。

 男は姿を偽るのをやめ…本来の姿を現した…。
背格好は確かに族長に似てはいたが…族長よりはずっと年齢がいっている…。

 「魔物…トウトウ本性現シタカ…。
西沢ノ中ニ巣食イナガラ…何…企ンデイル…! 」

 西沢の中の滅のエナジーに向かって男は叫んだ…。
西沢はゆっくりと男の方に視線を向けた。

 「企んでいるのは…おまえたちの方だろう…?
本来…我々…滅のエナジーは時が来なければ動くことはない…。
おまえたちのような愚か者がわざわざ時を早めてしまうから…かえって迷惑しているのだ…。」
 
 わざわざ…時を早める…?
少年が訝しげに男の方を見た。

 「首座…天の怒り…魔物を大陸に呼び寄せたのは…王弟や神官…天啓宮の宮女なのでしょう…? 」

首座と呼ばれた男は少年を一瞥した。

 「HISTORIANの祖先がせっかく大陸を豊かにしたのに…その祖先を恨んで権力を横取りしようとしたので天の怒りに触れて滅んだと…。 」

しめた…と滝川は思った。 少年を救える…と確信した…。
HISTORIANの首座…或いは…あの老人によって間違った教育を受けさせられていた…と…そう申し開きができる…。

 「ソノ通リダ…。 我々ハ常ニアラユル国ヤ人々ノタメ働イテキタノダ…。
代々伝ワッテキタ教理ノ中ニモ記サレテアル…。 
アカシックレコードノ情報カラモ…天ノ怒リニ触レタ大陸ノ情報ヲ得テイル…。」

男は自信たっぷりに…そう答えた…。

 「だから…誰がそうしてくれと頼んだか…ってぇの…。
勝手に人の国に入り込んで…好き勝手放題やらかして…いざ自分たちが危ないとなったら逃げ出して…無責任を繰り返してきただけじゃないか…。

 何度…同じ失敗を繰り返せば気が済むんだ…。
紫苑の中の滅のエナジーが目覚めてしまったのも…おまえたちが馬鹿をやらかしたせいだろ…!
こいつはまだまだ眠らせておくべきだったのに…。 」

相変わらずの無反省で傲慢な男の態度に…今度は滝川の方が苛立った…。

黙レ…!
我々ノ高キ理想ハ…オマエナドニハ理解デキマイ…。

 怒りの声を上げながら…男は滝川に更なる攻撃を浴びせた…。
滝川も最早…身をかわすことなく受けて反撃に出た…。

 が…その反撃で男はますますエキサイトし始めた…。
HISTORIANでさえ…昨今では能力者の力が衰えてきているというのに…このアジアの極東の国には信じられない力を秘めた者が何人も潜んでいる…。
何としても…世界への足がかりであるこの国を手に入れたい男にとっては…それは脅威だった…。

消エロッ!
オマエガ居ナクナレバ…西沢モ…終ワリダ…。

ナニヲ…躊躇ウ…コイツヲ倒セ…!

ぼんやりしている少年に向かって…男は叱咤した…。

 少年が動こうとしたその時…エナジーによって再度頑丈に補強されたはずの空間が大きく傾いだ…。

 地鳴りのような大きな音が響き渡り…西沢を中心に…エナジーが渦を巻いた…。
空間いっぱいに焔が広がり…その場のものをすべて焼き尽くさんばかりに燃えさかった…。

崩落する空間壁が硝子のように散った。
不思議なことに…倒れているHISTORIANたちや発症者たちが…突然…その場から姿を消した。

 燃え上がる寸前に何とか現場に駆けつけた宗主がノエルと亮の傍に集まっていた金井や玲人…そして仲根の前に立って壁となり西沢の焔を吸収した…。
有も滝川と少年…近くで伸びている『時の輪』に強力な障壁を張り…焔の害から護った…。

 「仲根…相庭たちは…? 」

宗主は背後にいる仲根に一瞥をくれた。

 「大丈夫です…。 焔が広がる前に対処を終えています…。 」

 宗主たちが出発すると相庭がすぐに公園に集まった能力者のために障壁を張り…本家祈祷所に控えていた宗主の後継たちが焔の侵入を防ぐため補強した…。

連携組織各部では…今や祥も執行部の面々も総動員…揺らぎ崩落する空間を持ちこたえるために全力を注いでいた…。

 エナジーたちは前にも西沢の破壊力を経験している…。
壁の崩落を防ぐためにそれ以上にエナジー側が出力すると…巨大な力同士のぶつかり合いによってとんでもない事態に発展する…と判断した。

ここは…人間に任せるべき…。

 「愚かな…。 わざわざ…崩壊を目覚めさせることはあるまいに…。
気の極まりには定められた時…があるのだ…。
おまえたちの権力がどう転ぶかなど…まるで問題ではない…。

 我々はこの小宇宙創生期からの決まりに従って動く…。
むやみに破壊したり…消滅させたりしなければ…時が早まることもない…。
時の記憶を読みながら…何故…それを学び…理解しようとしないのだ…? 」

 男が次の言葉を発しようとした刹那…男の身体がいきなり火を噴いた…。
冷たい青の焔が…全身を覆い…先程の老人よりもはるかに大きく高々と炎を上げて燃え上がった…。

 思わず後退りした少年が身体にぶつかったせいで『時の輪』の意識が戻り…その光景を目の当りにして仰天した…。

西沢は…男をそのままにしておいて…少年と『時の輪』の方に眼を向けた…。
ふたりは息を呑んだ…。


 「有…紫苑の溜め込んだエナジーの残量は…どうだ…? 」

少し離れたところに居る有に宗主は訊ねた…。

 「有り余ってますね…。 残りふたりを殺したとしても…容易には止まらないかも知れません…。
 ここで空間を破壊し尽くせば…町自体にもかなりの影響が出ます…。
空間を支えているノエルや能力者たちにも被害が及ぶでしょう…。 」

有の意見を耳にして滝川は…焦った…。
紫苑を止めなきゃ…とんでもないことになる…。

 動いているのは西沢自身なのか…滅のエナジーなのか…。
俺は動いていない…などと言っているわりにはせっせと西沢をたきつけている…とんでもない魔物…。

 「坊や…おまえの言うとおりだぜ…。
恭介は…俺にとって…大事な制御装置…失えば…力の歯止めが利かない…。
この世のすべてを…破壊しつくすまで…。
当然…おまえも…消える…。 」

別人のような声で…西沢は笑った…。

 この子を…殺すな…紫苑…。
まだ…子供だ…。

 滝川はそう声をかけて止めた…。
西沢はまったく意に介していないようだ…。
 こちらへ向かってゆっくりと近づいて来る…。
身に纏った青の焔の勢いを次第に強めながら…。

 どうする…。
料理屋のおっさんはともかく…このままでは…紫苑は…子供まで殺してしまう…。
それだけじゃない…この町も危ないんだ…。

少年と『時の輪』の恐怖に満ちた思いをいたぶるかのように…西沢はじりじりとその距離をつめてくる…。

 紫苑のことだ…正気に戻ったらどんなに嘆くか…。
自分を許せなくて…生涯…悔やみ続けるだろう…。
 立ち直れないかもしれない…。
これまでだって十分過ぎるほど…苦しんできたというのに…。

そんな…思いをさせるくらいなら…。

滝川の眼に…今…怒りに任せて激しく羽ばたいている黒の翼が映った…。

 「宗主…これは…事故…ですから…ね…! 」

滝川は宗主に向かってそう叫んだ…。
何かを察したように宗主の表情が曇った…。
仲間の目が一斉に滝川に向けられた…。

やめろ…恭介!…と叫ぶ有の背後から抜け出て…西沢の正面へ歩み寄った…。

 怒りの焔を治める者は…大きな犠牲を払わねばならない…。
そう…ですよね…お伽さま…。

滝川は躊躇うことなく…青の焔に包まれた西沢の身体を抱きとめた…。
西沢の動きがぴたりと止まった…。
焔が…滝川を包み込んだ…。
 
 驚きに大きく見開かれた西沢の眼…。
唇がわなわなと震える…。
焔の勢いが次第に弱まり…背中の黒い翼とともに…消えていった…。

 「恭…介…。 」

その声に…滝川が微笑みかけた…。

紫苑…。

崩れ落ちるように…滝川の身体が西沢の足元に転がった…。

 「恭介…恭介…恭介! 」

震える手で抱き起こし…声の限りに叫ぶ…。
反応は…ない。

急ぎ…宗主と有がふたりの傍に駆け寄った。

 「紫苑…恭介を放しなさい…。 おまえに…対処法を伝授する…。
いいか…僕のすることをよく見て…覚えておくんだよ…。 」

 宗主の手が滝川の全身を探り…体内に侵入した青の焔の行方を追った…。
やがて焔は宗主の手に吸い上げられるように身体の外へと取り出され…宗主の中へ取り込まれた…。

 「事故の処置は…本来…できる限りそれを放った者の手でした方がいいんだ…。
青の焔の性質は…それぞれに多少違うし…力にも差があるから…。
僕は…誰のものでも…一応の対処はできるけど…。 」

 聞こえてはいた…が…西沢は上の空だった…。
横たわる滝川の姿だけがはっきりと見えていた…。





次回へ

御霊よ…安らかに…。

2007-01-17 11:05:00 | ひとりごと
 それは…普段どおりに起きて着替えを済ませた直後のことだった…。
まだ…あたりは暗く…家族の誰も眼を覚ましていなかった…。
突然…地鳴りとともに揺れが来て…それは長く続いた…。
大きい…と感じた…。

 ここは被災地から遠く離れている…。
大きいとは思っても…ものが飛んだり倒れたり…はしなかったので…まさかこれほどの被害が出ていようとは考えもしなかった…。

被害状況を伝えるアナウンサーの表情が強張っていくたびに…これはただ事ではないとおぼろげながら分かってきた…。

 最も衝撃的だったのは…崩れた高速道路と…中の階の潰れたビル…の映像。
そして…燃える町…。
戦争が起きたのか…と見紛うような惨状だった…。

 神戸には親類が居る…。
友だちも住んでいる…。
関西圏には他にも…何組かの親戚が居る…。

 みんな無事だろうか…? 
個人の安否について情報を手に入れ難い中で…不安な一日だった…。

 幸いなことに…家財道具とか住居がだめになった人はいたものの…全員…怪我もなく無事であることが分かった…。
被災地の被害状況を考えれば…非常に幸運だったという他ない…。


 12年を経た今日…13回忌となる節目の日…。
あらためて…犠牲者の方々の御冥福を御祈り申し上げます…。




解けない数式…うぅっ…悪夢だ!

2007-01-16 17:12:00 | ひとりごと
 夢…は不思議だ…。
現実にあったことと…体験してもないことが入り混じって…実に妙なドラマを見せてくれる…。
それも…忘れた頃に…不意に現れる…。


 この齢になっても…受験期の記憶は消えないで残っているものらしい…。
それも…楽しい記憶ではなく…妙に複雑で…なんでそうなるの…というような形をとって…夢となって繰り返し現われる…。

 十分余裕を持って出かけたつもりなのに…トラブル続き…ようよう到着すれば試験開始ぎりぎりで…
筆記用具や受験票を急いで出して…ほっと息をつく…。

 そこは…自分が受けに行った大学ではないし…見覚えもない…。
校舎も校庭も…講義室も全然知らない学校だ…。
どうして…ここを受験しているのかさえ…分からない…。

やがて…手元に配られた試験用紙の科目は数学…。

えっ…数学…?
受験科目…数学…受ける予定だったかなぁ…?
おかしいなぁ…苦手科目だぜ~…。

まっ…いいや…受験番号と名前を書く…。

解答用紙を見れば書き込み式…。
自分らの時代は大方マークシート方式だったのだが…。

始め…!

合図とともに問題を解き始める…。
最初の幾つかは順調…。

それが…中盤に差し掛かると…でかい問題がどんとひとつ…。
何の問題だか…分からないが…夢の中の自分は数式を立て解き始める…。

 幾つもの数式を立て…パズルのように解く…。
ネストか…これは…? 
なんで…PC問題じゃないのに…?

いや…全然…違うな…。
よく見ろよ…ちゃんと数学…。

 あっ…これ…クーラントとロビンズの入門書か…?
まてよ…だってそれは…入学してからやったやつだろ…?
えぇっ…入学してからって…なんで…また…受験してんの~…?

何もかもが辻褄の合わないことばかり…途切れることなく続く…。

延々と…。

 解いても解いても…解答に辿り着けない…。
解答用紙がどんどん長く伸びていく…。

 まるでトイレットペーパーを手繰り寄せるかのように…どんどん…。
いや…それじゃ手応えがないな…。
旧式なPC専用紙…FAX専用紙…ええいっ…面倒な…。

 眠っている自分にはどんな解答を求めようとしているのか分からない…。
ただ…数式を解いて解いて解きまくる…。
分かって解いてるのか…分からないまま書いているのか…?

後…何分あるんだ…?

解答は出ない…。
論理は連続しているように思える…。
ただ…答えに辿り着けない…。

気ばかりが焦る…冷や汗が出る…。
どうしよう…?
このままじゃ…落ちるじゃないか…。


 目覚ましのベルが鳴る…。
はっと…目が覚める…。

もう…何しに寝たんだか分からないほどグッタリ…。
寝汗をかいている…。

 何度も見る…この夢…。
見る時期によって…内容が少しずつ変わる…。
PCのなかった時期には…物理と数学だった…。

 苦手だから…というなら…どちらかと言えば好きなネストより…てんでだめな英語が出てこないのは何故…?
涙ものなのに…数学的要素がないからだろうか…?

 う~ん…足らない勉強と皺のない脳みそ…で受験を乗り切ったから…未だに強迫観念が襲うのかも…?
後遺症だな…一種の…勉強しなかった症候群…だ…。

あなたは…そういう夢を見ない…?

あっ…そう…ちゃんと勉強したから…大丈夫なんだ…。

やっぱり…勉強は必要だね…。

反省…。





大嫌いだぁ~!

2007-01-15 17:32:17 | 生き物
 青大将もヤモリも蛙も嫌いじゃないけど…doveにも苦手なものがある…。
大口叩いているから…何でもいけると思ってた…?
あるんだよ…それが…人並みに…。

それはサイズと種類限定の昆虫類…。

 サイズ6センチ以上のカマキリ…バッタ…。
サイズ7センチ以上のイモムシ…。
サイズが何センチであろうと蛾…タガメ…ゴキブリ…ヒル…蚊…毛虫…イラガ…スズメバチ…ムカデ…ヤスデ…カマドウマ…カメムシ…。

 カマキリは小さい時にはめっちゃ可愛い…。
眺めていて微笑ましいほどだ…。
 しかし…大きくなるにつれて闘争心を剥き出しにする…。
人を見ても逃げずに…鎌振り上げて攻撃して来る…。

 見てる分には…超カッコいい…と思えば思えなくもないんだが…大概…攻撃されるのは他に何人居ても自分だ…。
 相性が悪いのか…13センチ級がわざわざ履いている運動靴の上に飛んできて鎌振り上げてメンチ切る…。

おのれは…喧嘩売っとんのか!

 ぐしゃっとやっちゃえばそれまでなんだが…殺したくはないし…ね。
思いっきり足振ってやるとパタパタと飛んでいく…。
自分が勝ったような顔をして…ちょっと先の方を堂々と歩く…。

 カマキリは庭に居ても見逃してやる…。
相手にせんのが一番…。

 サイズ6センチ以上のバッタは…なんで嫌なのか分からんが…多分…羽の斑がカマドウマに似ているからだろう…。
けど…全身緑色だっていまいち好きとは言えないぞ…?
 大きくなると…噛み付くから…だろうか…なぁ…。
6センチより小さければ何とも思わないのにね…。 

苦手とは言ってもこれらは…近くに居たからどうってことでもない…。
捕まえる気がしないだけ…。
観察するのは面白いよ…。

 イモムシは…オカンのスープのだしサイズを越えるともう…あかんね…。
素手では触りたくない…ってだけで…火バサミでなら平気だけどね…。
触った時のあのぶにょぶにょ感が嫌なわけ…。
7センチくらいのくにゅくにゅは別になんともない…。
黒いのとか色のどぎついのとかは小さくても嫌だな…特に毒持ってるやつ…。

 うちの朝顔にもでかいのがついてたけど…。
休みに遊びに行く先の従弟が好きだったんだ…。
15~6センチもあろうかってのを飼ってたりして…自慢げに見せてくれるの。
さすがに太いよ…。

えっ…火バサミ…知らない…?
ああ…炭を挟むトングみたいなやつ…そう…最近ではゴミを拾うのに使ったりするやつね…。

蛾・カマドウマ・タガメは見た目だね…。

 まずタガメ…獲物の食べ方が気にいらないんだ。
消化液注射して中身溶かして食べるって方法が…エイリアンみたいでさ…。
なら…ゲンゴロウは…っていうと見た目が可愛いから…なんか憎めないの。

 カマドウマは最悪…特に斑なやつ…。
風呂とかに出てくるともう…生かしちゃおけん…ってくらい生理的に受け付けない…。
こいつに似た花があるけど…ホトトギスって鳥の名がついているやつ…それも大ッ嫌いだ…。

 蛾…これも生理的にだめ…。
窓にへばりついて産卵されるともう…後始末が大変…。
同じ鱗粉持ってても蝶の方がまし…蝶もものによっては嫌いなものも居るけど…。

後は害虫だから…好きって人の方が少ないんじゃないか…。

 オニヤンマなんか大きくたって好きだし…アオスジアゲハやカラスアゲハなんか庭に来るのが楽しみで…。
玉虫なら是非にも見たいし…。
カブトムシやクワガタは大きい方が絶対いい…!

これって…doveの我がまま…?

虫さん…ごめん…!



納屋の中から今晩は~…。

2007-01-14 16:15:00 | 生き物
 川沿いの遊歩道を歩いていると時々お目にかかるのが青大将やシマヘビ…。
土手の草むらでじっとしていたり…目の前をシュシュシュ~ッと横切ったり…時には川を泳いで渡っていくこともある…。

その姿…のびのびとしてなかなかに素敵である…。
動物園でのべ~っとしているやつとは大違い…。

 町に家が立ち並ぶ前は玄関の前や庭木のところで見かけたこともあったが、この頃、家屋の周りではあまり見かけない…。
蛇にとっても住みづらい環境になってきたということか…。


 小1まで住んでいた家には大きな納戸(土間だから納屋と言った方がいいのかな?)…のようなものがあって古い道具やわけの分からないごちゃごちゃした物がいっぱい入れてあった。

 ある日…何かを取り出そうと中に入った親父が…突然…ひゃ~っ!…と声をあげて飛び出てきた…。
どでかい青大将がごちゃごちゃの中でトグロを巻いていた…。

 その頃はまだガスがようよう普及しつつあった頃で…古くからの竃を使っている家も多かった…。
竃は薪などを焚いて…その火を使って煮炊きをする…。
 納戸は竃の裏側にあったから…外よりは温かい…。
通常…人の出入りが最も少ない場所だから蛇にとっては絶好の住処…だったんだろう…。

 家に住む蛇は屋敷蛇と言ってネズミを退治して家を護ってくれる有り難い神さまだ…。
大概は大きな青大将で…特に悪さはしない…。
古い家の屋根裏に住んでいたり…納屋などに居たりする…。

 昔の家は…天井裏の音が良く響いて…ネズミやいたちの駆ける音とか…蛇の這う音…鳥が巣を作って動く音なんてのが良く聞こえたよ…。

 田舎の親戚の家では…押入れや座敷に居ることがあって…伯母たちが怖がってそんな話をしているのを聞いた。
町でも田舎でも…蛇はあまり好まれないようだね…。

 そんなふうに…他の部屋にも現れたりするので気味悪がる人も居るが…青大将は黒と青と緑を混ぜたような綺麗でおとなしい蛇だ…。
守り神だから…屋敷蛇を苛めたり殺したりすると罰があたると言われている…。

 親父は動かない蛇をどうしようもなくて…キン○ョールを持ち出し…シュッシュッとかけて…なんとか…その場からお出まし願った…。

 蛇に…キン○ョール…どういう発想かは知らないが…後年…姑がヤモリにキン○ョールをかけているのを見て…この世代にとっては爬虫類や両生類は虫と同類なんだ…と納得した…。
古くは蛇のことを長虫…口縄と呼んでいたそうだから…。

 その後も蛇神さまは…水道の蛇口の下の排水の穴から顔を出していたり…土間をウロウロしては祖母やオカンを震え上がらせていたようだった…。
何しろ…この頃の御勝手(台所)は土間にあって…家の外と繋がっていたので蛇の通り道でもあったのだから…。 

煙草好きの祖母が…蛇は煙草のヤニを嫌う…と言って…煙管の煙草をあたりに撒いていた…。

突然…出現すれば驚きはするが…怖くはない自分としては…そう…嫌わんでもいいのに…と思うのだが…

さすがに…マムシだとかヤマカカシだとかハブとか…そういった命に関わる毒蛇と仲良くしたい…とは全然思わないけどね…。


 春先の土手で日向ぼっこしている青大将…。
何とものんびりとしていて…可愛いではないか…。