楕円と円 By I.SATO

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敵基地攻撃

2022年11月25日 | 日記

石破茂氏が〝軍事おたく〟と言われていた頃、『国防』という本を書いた。

内容は殆ど忘れたが、「自衛隊には艦船にも戦闘機にも敵の基地まで弾が届く兵器は無い。飛んできたミサイルを打ち落とす装備はあるが発射基地を叩く装備は無い。」という趣旨のくだりは「専守防衛」の意味がよく分かったので覚えている。

攻撃は出来るけれどしないのではなく、攻撃出来ないように歯止めがかかっているということだ。

これは国民が維持しなければならない大きな力だ。

 

その基本的な防衛政策を大転換するような提言が「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」という長い名前の会議から提言された。

TVメディアはサッカー勝利で湧いていて、あまり取り上げていないように思うが、日本の針路が大きく変わろうとしている。

 

内閣府のHpを開いてみた。

第1回の会合を9月30日に開催し、11月21日の第4回をもって終了。各回1時間前後の議論であったことが分かる。

年末は2023予算編成、税制改正、今後5年間の防衛力整備計画の策定を控えていて、岸田政権はこれほど重大な事を〝超速〟で乱暴に間に合わせたことに怒りを感じる。

 

これからは「有識者会議報告書」が防衛力強化、予算増大、増税を考える際に枕詞になるだろう。

石破議員は敵地攻撃はやってはならぬと考えていたのか、その装備が欲しいと考えていたのか、件の本は処分されて手元に無いので分からない。

今、どのような思いなのか聞いてみたいところだ。

 

会議の議事要旨を読むと第1回で特段の資料もない中で、唐突に「反撃能力の保有が必要」との意見が出され、第2回では「議論するというのはもう遅く、むしろ、その能力をどう発動するかが重要。・・・重大な決断になるので、例えば国会承認など政治レベルに権限を付与するなどの議論が必要。」とエスカレートしている。

 

     

 《折木 元・統合幕僚長提出資料より》

 

会議で憲法9条や専守防衛との整合性が議論された形跡は無く、不思議なことに第3回になって「反撃能力」の文字の入った簡単な絵柄の資料が提出されている。

〝スタンドオフミサイル〟だけがやけに具体的だ。

 

そして、最終の第4回の資料である「報告書(案)」と議事概要は開示されていない。

新聞報道で座長は「異論は無かった。」と述べているが不自然な感じもする。

 

「反撃能力」ありきの議論であり、まさに国民が「我が事」として受け止めなければこれから際限の無い「軍拡」と「増税」が進むことになる。

 

報告書には「重要なことは、何故防衛力を抜本的に強化する必要があるのか、国民生活の安全や経済活動の安定を守るために必要な措置はどのようなものか、そのためにどれくらいの負担が必要になるのかについて国民に理解してもらうことであり、国民に丁寧に説明していくことである。」ともある。

良識派の委員が第4回の議論で入れたのか。

国会で野党は頑張って欲しい。