走行距離 240Km
今回の自転車旅の楽しみに下北半島の太平洋側の海岸景色を眺めることがあったが、八戸フェリーターミナルから大間崎を目指して北上するコースは殆どが山の中で少々期待外れだった。
しかし、2017年の大間崎から日本海側の仏ヶ浦海岸を南下する時には考えなかった〝大間は原発半島〟を認識することになった。
私は青森県のことを忘れていた。
青森県のHpより
今回走ったルートには原発関連の様々な施設が連なるように設置されている。
福島原発の事故の影響で稼働停止・建設停止、審査待ちのものもあるが、
調べてみると、
・本州北端の大間町にMOX炉の原発(2008着工・再審査により停止中、運転開始未定)
・南東に下がって、東通村に東北電力の軽水炉(2005運転開始・東北震災により停止中)及び東京電力の軽水炉(2017運転開始・東北震災と福島原発事故で停止中)
・その南の六ヶ所村に日本原燃のウラン濃縮工場(1992操業開始)、低レベル放射性廃棄物埋設センター(1992受入開始)、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(1992操業開始)、使用済み核燃料再処理工場-Mox燃料-(1993着工・完成時期は26回延期され審査めど立たず)
・東通村の隣のむつ市に、使用済み核燃料の中間貯蔵施設(2023事業開始 暫定)
といった具合だ。
これだけ工事と運転の〝停止中〟が多いということは、原子力発電の技術が安全面で確立されていないことを示している。
・原発は他の地域にもあるが、原発の材料(ウラン濃縮工場)→東通原発→使用済み核燃料の中間貯蔵→廃棄物処理(放射性廃棄物埋設・貯蔵管理センター)
・使用済み核燃料の再処理(再処理工場)→取り出されたMox燃料で再度発電(大間原発)
という核燃サイクルの一連の施設が全て揃っているのは下北半島だけであり、日本全国の使用済み核燃料を受け入れているのが青森県ということになる。
背景には高度の放射線を発する使用済み核燃料は全て再処理して再びエネルギー源(Mox燃料)として使用するという国の政策があったが、このサイクルは頓挫し、今ではエネルギー政策に原発が位置づけられ、その運転期間も延長される等、形骸化している。
今回走ったコースで畑作物を殆ど見ることは無く、所々の水田には雑草が多く管理が不十分のように思われた。
かつて、この地域には1960年代に青森県が出資する会社が大規模工業地帯の誘致を計画したことがあったが、一次、二次の石油ショックで破綻している。
この時の莫大な土地買収資金が会社に債務として残ったことが、〝背に腹は代えられぬ〟で青森県が原発施設を受け入た要因であろう。
立派な新築住宅が目に付いた。
六ヶ所村の「周辺監視区域」に張り巡らされているコンクリート製の柵
東通村
六ヶ所村と東通村では道路横に監視カメラの付いた頑丈なコンクリート柵とバラ線が延々と回されている。
貼られた「周辺監視区域」というプレートの監視対象は放射線なのか、人なのか。。。
10年前、民主党政権は「2030年代に原発、再処理施設をゼロ」を閣議決定したが、アメリカから「核兵器の原料となるプルトニウムを溜め続けるつもりか。」と言われて結局、取り下げた。
原発政策を見直すには政権交代しかないだろう。
沖縄の基地問題にも通じる深刻な問題を新たな政権で根本的に議論しなくてはならない。
目先の発電コストでは無い。
フクイチの次に何処かで原発事故が起きたらこの国は持たない。
その議論がどこかへ行っていることを強く感じた旅だった。
原発PRセンター 東通村 2023.8.21
大間崎に近くなって見える北海道。
「島」であることを感じさせる。
(追記)
東通村の通過が夕方だったので旅館を探したが3軒に断られた。
理由は「観光の人は泊めない。」というものだった。
頼み込んでやっと見つけた旅館は20名の工事関係者で埋まっていた。