「安倍のマスク」に纏わる不透明な事柄に国会の質疑は深まらなかった。野党は“10万円給付”が組まれた補正予算の成立にブレーキをかけたと言われないよう抑えたのだろう。与野党国対の阿吽の呼吸か。
週刊文春の最新号(4月30日発売ゴールデンウィーク特大号)に「安倍のマスク」を巡る裏話が関係者からの取材として載っている。白いマスクが灰色に見えそうで届いても使う気にならない。
事実関係
〇予算は当初で233億円、補正で233億円の合計466億円。まず予備費から6,500万枚購入し、受注額は興和54.8億円、伊藤忠28.5億円、マツオカ7.6億円の合計90億円。運送・梱包経費は64億円。差額の79億円はどうなっているのか。
〇4月27日になってカビ、汚れ等で配布中止になった妊婦用を扱っていたのはユースビオという会社であることが判明。政府は公表を渋っていた。
〇これらマスク対策を担っているのは約40名の官邸直轄「マスクチーム」。
関係者から取材
*官邸記者;マスクの増産は、総務省がニーズ把握、経産省と厚労省が生産を指示、厚労省が配布という形だったが、管官房長官が内閣官房コロナ対策室と連携した官邸直轄チームにした。即ち、今井総理補佐官と佐伯総理秘書官、経産省のラインに入ったと言うこと。
*経産省担当記者;今井総理補佐官と佐伯総理秘書官らが「安倍のマスク」を立案、マスクを作っていない会社にも「今月中に〇〇枚」と次々に声を掛けていった。補助金を出すことにしたのでシャープが手を上げた。
*製造業者;「契約書も無く、あるのは発注書だけ。」「ソフトバンクが世界的なメーカーと提携して月産3憶枚をブチ上げたので掌を返された。入札も何も無い。」「既に中国の工場に入金して危機的状況の会社もある。」
*倉庫業者;興和、伊藤忠のマスクを外国人を含むアルバイト従業員らが検品、梱包しているが“三密状態”で体力的にも過酷。
*伊藤忠関係者;興和は元々マスクを製造していたがマツオカは縫製メーカーだし、伊藤忠は商社。興和が生地を調達し2社に製造を頼んできた。
*興和三輪社長;防護服のことで経産省に行ったらマスクも1,500万枚頼まれた。注文書は貰えなかったが一大事なので受けた。生地はミャンマー、ベトナム、バングラディシ、日本から集めた。確かに伊藤忠、マツオカに生地の一部を渡したが彼らがどこで作っているか分からない。興和は付き合いのある中国の業者に頼んだ。検品に中国へ行こうとしたがコロナ禍でダメだったので全て中国に任せた。もう一度、日本で検品する。
安倍首相周辺で事が決まり、やっつけ仕事で予算もルールも無視して目的達成に暴走気味に突っ走る。「森友」「加計」「桜」にどこか似てはいないか。
他に採るべきコロナ対策が山盛りなのだから税金の使途として、単価等の受注額の詳細や生産、輸入の実態を国会でもっと追求すべきだった。