9月に開かれる自転車ロードレースの「ツール・ド・北海道」は今年も中止が決まった。
昨年の大会で選手の死亡事故が発生して、その対策をまとめるのに時間を要するらしい。
悲劇は十勝岳の上富良野町側への下り車線を降りてくる中央大学の選手と登り車線を上がってくる乗用車が正面衝突して起きた。
事故現場は市民レースの審判車両や個人的な上富良野町から十勝岳吹上温泉までの往復自転車で何度か通っているが、急こう配のカーブが連続する難所であり、駐車スペースが何個所かある。過去にも「ツール・ド・北海道」がコースに使用している。
10年前に65才定年制により自転車競技審判の資格を返上した。プロレースを何度か経験した者として、わが国で唯一のラインレース(数日間かけて町から町へ走る)が存続して欲しい。
ツール・ド・北海道協会に設けられた外部有識者による「安全対策検討会」の議事概要等をHpで読んでみた。(3月29日の第4回の議事録は未整理)
詳細な資料が添付されていて、事故のあった昨年9月8日 の大会初日のレース展開が整理されている。(今後、調査精度向上等により訂正もあるとのこと。)
気になったことがある。
第1点は事故現場前後の下りの7Km区間に立哨員(警備会社委託)は員は配置されていなかったこと、第2点はレース中、事故にあった選手の前方を走行していた審判車両・バイクは事故車両が対向車線を上ってくるのを確認していなかったことだ。
第1点については、交通規制が始まる前にコースに侵入して観戦するファンや山菜採りの人等が駐車スペースにいたことが考えられるので、カーブを見渡せる場所にもっと立哨員を配置すべきだったと思う。
第2点は、自転車競技の特殊性で、下りでは特に高速になる自転車集団を十数台の審判車両とオートバイがコントロールすることは難しく、むしろ追いつかれないようにかなり前方を走行せざるを得ないという事情があると思う。
警備員や審判車両・バイクを増やすということが検討会で提起されているが、昔のように地元市町村の金銭と人的支援があった時代と違って立哨員の増員は限界があると思うし、バイクを増やしても平地は別として、高速で下る自転車集団のコントロールは至難の業だ。
安全確保対策について様々な意見が出ているが、やはり根本的な解決は「ツール・ド・フランス」のように自転車レースが文化として定着しているヨーロッパと同様、警察の全面的な交通規制がなされることではないか。
検討会ではこの点について今のところ議論されていないようであるが、この機会に是非論点として欲しいものだ。
なかな難しいことなのかもしれないがマラソン大会では実施しているし、昔は大通り公園の周回レースをしたこともある。
時間がかかってもこの機会に「対向車線は主催者」という前提を越えた検討を願う。