覇王の馬券密議

中央競馬の壮大な演出劇の真実・・・ターフ裏の怪人が饒舌に説き聴かせる回顧と予想

追悼レース

2006年01月26日 12時44分34秒 | Weblog
 1994年5月1日、F1サンマリノグランプリ。音速の貴公子 アイルトン・セナ がレース中の事故で亡くなった。



 その余韻の去らぬ中、 1994年6月12日、中央競馬春のグランプリ 宝塚記念が行われた。私はあることから5枠の鉄板を読んでいた。人気は推し量るまでも無く、前年の菊花賞馬、有馬ではトウカイテイオーの後塵を拝したとはいえ、春の天皇賞を単勝130円で快勝しここでも単120円となったビワハヤヒデ。これが8枠に配置され、注目の5枠は次のように発表された。



 5枠7番 サクラチトセオー   4番人気
 5枠8番 アイルトンシンボリ  8番人気



 私は馬連12倍、と枠連5倍程度で、迷うことは無かった。ズバリ、どちらが来るか分からない以上、枠連で1点どか買いである。枠連 5-8 ¥、490




 サイレンススズカ という馬の宝塚記念勝ちなどの隆盛と、その頂点豊を背にした秋の天皇賞での競走中止、予後不良(その場での薬殺)。その前走、毎日王冠では、エルコンドルパサー グラスワンダー の2頭の年度代表馬クラスを寄せ付けず、逃げ切っているのである。



 スズカの意味するものは、馬主さんには申し訳ないが、飽くまで中央競馬演出側の解釈として、日本最大のオートレースコース、三重県鈴鹿サーキットを暗喩するものであることは疑いようが無い。この馬の特質、逃げ切りはF1などでもよくある所謂ポールトゥウインを示し、そしてこのカーレースには、事故が付き物なのである。サイレンスは静寂だが、サイレンとは日本的俗語で、緊急を知らせる轟く音色である。またスが3連続する馬名は、これまで他に聴いたことが無い。今年の3歳馬にアリママリアという怪馬名がいて何事かを期待してしまうが、クリスマス近くの有馬週にマリアの子、イエスが発射するも当然であり、セナというカリスマの退場に、すぐさまレスポンスした競馬会にとり、F1 という大舞台、また競馬と本質的に異なる真の競走世界、焦がれと、痛烈な哀切の情が迸ったものであろう。アイルトンシンボリ、頓死を含む。また宝塚の塚とは、お墓を指すはずである。



 戦後60周年の昨年宝塚、勝ったスイープトウショウの示す塚は、無論戦後日本の再構築の人柱に立った、あのお方の塚である。再び申し上げるが、一昨年わたくしの祖母が没した折、通夜で従兄弟と酒で話していて、小泉を含み、歴代首相談義が始まり、誰が一番歴代で悪い首相か、で、私の従兄弟は真っ先にその名を挙げ、私は自身の論拠も充分説得的たることを疑いつつ、いやその方ならご立派な方であった、と即座に反論したものである。神統べる天地の間、人の世が人の値を真につけ切れるとは到底思われないでいる。

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