🟦🟨二ひきのかえる🟨🟦(新美南吉著)
この物語は今の「ウクライナ侵攻」にピッタリです。2匹のカエルをウクライナとロシアに置き換えて読んで見ると共感します。青と黄のウクライナカラーのカエルも実際生息します。この絵本を世界に広めて、平和を取り戻したいと思って紹介します📖。
【物語】
緑の蛙かえると黄色の蛙かえるが、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。
「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」
と緑の蛙かえるがいいました。
「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているのかね。」
と黄色の蛙かえるがいいました。
こんなふうに話しあっていると、よいことは起おこりません。二ひきの蛙かえるはとうとうけんかをはじめました。
緑の蛙かえるは黄色の蛙かえるの上にとびかかっていきました。この蛙かえるはとびかかるのが得意とくいでありました。
黄色の蛙かえるはあとあしで砂すなをけとばしましたので、あいてはたびたび目玉から砂すなをはらわねばなりませんでした。
するとそのとき、寒い風がふいてきました。
二ひきの蛙かえるは、もうすぐ冬のやってくることをおもいだしました。蛙かえるたちは土の中にもぐって寒い冬をこさねばならないのです。
「春になったら、このけんかの勝負しょうぶをつける。」
といって、緑の蛙かえるは土にもぐりました。
「いまいったことをわすれるな。」
といって、黄色の蛙かえるももぐりこみました。
寒い冬がやってきました。蛙かえるたちのもぐっている土の上に、びゅうびゅうと北風がふいたり、霜柱しもばしらが立ったりしました。
そしてそれから、春がめぐってきました。
土の中にねむっていた蛙かえるたちは、せなかの上の土があたたかくなってきたのでわかりました。
さいしょに、緑の蛙かえるが目をさましました。土の上に出てみました。まだほかの蛙かえるは出ていません。
「おいおい、おきたまえ。もう春だぞ。」
と土の中にむかってよびました。
すると、黄色の蛙かえるが、
「やれやれ、春になったか。」
といって、土から出てきました。
「去年きょねんのけんか、わすれたか。」
と緑の蛙かえるがいいました。
「待て待て。からだの土をあらいおとしてからにしようぜ。」
と黄色の蛙かえるがいいました。
二ひきの蛙かえるは、からだから泥土どろつちをおとすために、池いけのほうにいきました。
池いけには新しくわきでて、ラムネのようにすがすがしい水がいっぱいにたたえられてありました。そのなかへ蛙かえるたちは、とぶんとぶんととびこみました。
からだをあらってから緑の蛙かえるが目をぱちくりさせて、
「やあ、きみの黄色は美しい。」
といいました。
「そういえば、きみの緑だってすばらしいよ。」
と黄色の蛙かえるがいいました。
そこで二ひきの蛙かえるは、
「もうけんかはよそう。」
といいあいました。
よくねむったあとでは、人間でも蛙かえるでも、きげんがよくなるものであります。