東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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肺切除術当日の端座位を達成するための予測因子の抽出

2020年06月29日 | 紹介
こんにちは。

新型コロナウイルスの流行が続き、ご尽力してくださっている皆さんに深く感謝申し上げます。

また、感染された方々にはお見舞いを申し上げます。

このたび、当院リハビリテーション科で行っていた研究論文が埼玉県理学療法士会の「理学療法―臨床・研究・教育」27巻に採択されました。

今年度中に埼玉県理学療法士会に入会されている皆さんの元に届く予定となっています。

題名は「肺切除術当日の端座位を達成するための予測因子の抽出」であり、呼吸器外科の患者さんを対象にした研究です。


最近の医療・リハビリにおいて、肺を切除する手術は胸腔鏡などの機器を用いて手術による侵襲をできるだけ減らし、できるだけ早くにベッドから起き、歩くようにし、通常の生活に戻すようにすることが、入院期間を縮めることや合併症予防によいとされています。

ただし、そのリハビリにはリスクが伴い、場合によっては肺や心臓等の合併症を引き起こしてしまう可能性もあり、療法士にはその見極めが必要となってきます。

当然、すべての患者さんに同じようなペースでリハビリを行うことは困難で、一人一人の病状に合わせたリハビリを行っていくのですが、どのような患者さんは術後早くから起きて歩けるのか、どのような患者さんは術後早くにリハビリを行うことに注意を要するのか、そのような基準を明確にする研究はかなり少ないのが現状です。


本研究で示すことができた基準は、術前の持久力を診る6分間歩行検査が443m以上、また手術にかかった時間が178分以下において、手術当日の座位練習が可能だというものです。

ぜひご参考にしていただき、また研究論文もご覧いただけると幸いです。


また、当科では呼吸器外科手術後のリハビリにおいて一つの判断基準となるようにクリニカルパスを使用しています。これによってどの療法士でも均一化したリハビリを提供でき、患者さんに術前後リハビリの概要説明もできるようになっております。


最後になりましたが、対象となってくださいました呼吸器外科の患者さん、ご指導いただきました皆さんに厚く御礼申し上げます。

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