こんにちは
東埼玉病院リハビリテーション科です
今回は病院内で行った「移乗・トランスファー」の勉強会を行ったので、その一部をご紹介したいと思います。
・移乗介助の基本的な手順
移乗介助が必要な方には、骨折や麻痺、筋力低下、痛みなど様々な病気や症状があります。
それぞれに対して「移乗介助の注意点や介助のポイント」もありますが、応用的な介助方法を知る前に、
まずは基本的な介助の手順を理解しておきましょう。
まず、移乗介助の基本として「ベッドから車椅子への移乗」を介助する場合の手順についてご紹介します。
「ベッドから車椅子への移乗」
- ベッドまたは車椅子から足を床につけて座る →足がフットレストの上に置いたまま移乗するのは危険です。潰瘍や変形が強い患者さんの時は あえて地面に接地しないで移乗することもあります。
- ベッドまたは車椅子に浅く腰掛け、足を手前に引く
→患者さんを浅く腰掛けさせることで離殿が行いやすいようにセッティングします。 この時、移乗先が低くなるように高さを調整できるとより移乗がしやすくなります。
- 患者さんの脇の下と腰を持つ・支える(・膝を挟む)/患者さんは介助者を持つ
→支える接触面を増やすことでずれ落ちることを予防します。この時、腋窩介助と 腰ベルト介助量のバランスが半々になると良いです。片方に偏ると肩が脱臼肢位となり 痛めてしまったり、ズボンが食い込んで不快な思いをさせることもあります。
- 介助者に引き寄せる(重心を近づける)
→移乗において介助者の重心と患者さんの重心を近づけることは力が無い人(力が入りにくい人) には特に重要で、物理学的に物体との距離が近い方が少ない力で移乗することが出来ます。
- お辞儀をしながら立ち上がる
→体幹を前傾させることで前方への重心移動を行いやすくするためです。 身体が後ろに反り返ってしまうと介助者にかかる負担も増えますし、何より移乗しにくくなります。
- 上半身や腰を中心に方向転換する
→下肢を中心に回転してしまうと膝や足首を捻りやすく、痛めてしまう可能性があります。 移乗先に事前に骨盤や踵を向けられると介助が楽になります。
- お辞儀をするようにゆっくりと座る
→急激な着座は骨粗鬆症の方には骨折のリスクとなります。お辞儀をさせることで着座がゆっくり 行いやすくなります。
- ベッドまたは車椅子に深く腰掛け直す
→移乗直後のずり落ちを防止するために必要です。患者さんも安定しやすく安楽姿勢を保ちやすいです。 車椅子を使用している方にとって移乗は、車椅子やトイレ、ベッド、お風呂など生活の様々な場所で 必要な動作です。また、介助者にとってもそれだけ介助をする場面が多い場所でもあります。
ここでは、移乗介助の注意点を正しく理解して、転落などにインシデントを起こすことを防ぎ、安全に
手際よく介助できるスキルを身につけていきましょう。
- 膝折れによる転落に注意する
移乗介助をおこなう場合は、元々介助量が少ない方でも、立ち上がりの際に「起立性低血圧」や「めまい」
によって急に膝折れを起こし、崩れ落ちてしまうことがあります。転落には十分に注意しましょう
- ずり落ちによる転落に注意する
移乗介助では、ベッドや車椅子に浅く座った時にシーツや座布団が滑り、床にずり落ちてしまうことがあります。ベッド柵や車椅子のアームレストを握ってもらうようにしましょう。
- 皮膚剥離に注意する
ベッドや車椅子の移乗介助では、足元付近に柵やフットレストなどの鉄パイプがあります。ご高齢者の場合、 皮膚が脆弱(弱くなっていること)になっているため少しぶつけただけで内出血や皮膚が剥離(はくり) してしまう為、注意が必要です。
- ズボンの食い込みに注意する
移乗介助の際に、介助者がズボンを引っ張り上げてしまうことでズボンが食い込むことがあります。 そのまま座ると下着が食い込んだままになり不快感が残るため注意しましょう。
- 腰痛に注意する
間違った移乗の介助方法を繰り返していると介助者の方が腰痛を引き起こすことになります。持病の腰痛を お持ちの方はコルセットを装着したり、正しい介助方法を学んで腰へのストレスを少なくするようにして おきましょう。
まとめ
移乗介助の手順や注意するポイントがわからないまま介助をしていると、介助される側の不安や痛みを 伴うだけでなく、介助する側にも腰や膝に負担を与えてしまいます。
一般的な正しい移乗介助の手順を覚えたら、移乗介助用の福祉用具も試してみてください。 福祉用具は介助される側にも、介助者にも優しく移乗をサポートしてくれますよ。
老老介護をされているご家族に導入を進めることも良いでしょう。
私たちスタッフが、正しい移乗介助の知識をつけ、そのご家族にもポイントを教えられるように 日々成長していきましょう!
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【注意】
本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,
当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において
行うようお願いいたします。
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