婆さんが行く

婆さんの食卓とワンコ

いけいけ

2009-05-27 13:52:34 | Weblog
郷里の両親がそろって老人福祉施設のような所へ週に一度通いだしました。
「〈いけいけ〉に行っているんだ」
「どんな所なの?」
「年寄りばっかり集まっているんだ」
「楽しい?」
「いや!」
「何を考えて行くことにしたの?」
「冬 雪が降ったり 寒かったりしたら散歩ができなくなるだろう」
先のことを考えて決めたらしいのだが めづらしくうかない様子。
母にも聞いたら
 童謡を歌ったり トランプをしたりするのだが それが7並べで 父はバカらしくてやっていられないと エアローバイクとかランナーマシンで運動をしているのだそうだ。母は、しかたがないので歌をうたっているのだが どんどん落ち込んできて やりきれない様子。
「なんだか 全体の色がグレーで生きる気力がなくなるの・・」
通う日は、落ち込んでいる母の携帯に電話をするようにいわれたが なかなか日中は 時間がとれずに夜に電話。
母は、一日の様子を話してくれるのだが 私にとっては興味深い話しばかり
「上着をね 間違って持っていく人がいて・・」
「えっ!?なくなったの?」
「そうなの でも 毎度のことみたいで・・」
つい 笑ってしまう。
父は、まもなく将棋の相手(三段)ができて 
「ボケているのだけれど 将棋だけはめっぽう強くて何回やっても一回しか勝てなかったんだ」
「ふぅ~ん ボケてるのに将棋が強いってすごいね?」
「うん。その時は、しっかりしてるんだな。少し 楽しかったが その人は入院したみたいで もう将棋も碁も相手がいないんだよ」
「・・・」
「いろいろ考えてくれてはいるのだけれど小学生以下のことしかしないので 苦痛だな」
「皆にダンスを教えたら ほら 簡単なジルバとかマンボとか」
「いや あそこにいる若いお姉さん達になら教えてもいいけれど そんな雰囲気ではない」
それから しばらくして この頃 だんだん足が遠のいているそうだ。
「行かなくなったら お母さんがいきいきしてきたよ」
母の声は華やいで
「今度ね 老人ホームに慰問に行って踊るんだけれど そこにおいて来ないでねって 仲間と笑っているの」

そして いけいけは いきいきという名称だった。(訛っていたのです)