「私の爪の色 白くなったんだよ」
「あれまぁ ホント!私の爪は、ぽつぽつと窪みが出たところがあるの そこから割れてくるんだよ」
「爪って健康を物語るっていうから 二人とも不健康なんだね」
「そうそう あんまり原因ってわからないみたいだけれど・・」
癌の転移を察知した友が
「あのさぁ フグを食べよう」って やってきた。
(彼女は、片足はリンパ浮腫 おまけに坐骨神経痛で歩くのがままならない)
ヒレ酒を飲みながら 若い時(主に20代)の話でもりあがった。
「あっというまの年月だったけれど 楽しかったね」
「はい」
「キャンピングカーを買って 二人で旅行するのが夢だったんだ」
「えっ!?それって 運転手は、私じゃないの?」
「そうだよ」
「・・・・」
キャンピングカーも運転も嫌だなって思ったが 言わなかった。
そんなことを思っていたんだって 穴の開くほど顔を見てしまった。
「爪の色だけれど 白のマニキュアを塗ったみたいでなかなかいいよ」
「うれしいな!」
「人って 必ず死ぬからさ どっちが先でもあんまり悲しまないようにしよう?何でおしまいになるかわかんないからね」
「そうだね あんたなんか 交通事故で死んだりしてさ」
「それいやだねぇ~眠っているときそのままがいいよ」
「そうだね 私も」
たわいもない話は、続いた。
それから私は、それを思い出すと胸がつまる。
木製パレット屋のつぶやき