歯の話

朝から歯の話しばかりだった。
実家の母は、部分入れ歯がせっかくなじんできたのに　歯医者さんが新しいのに作り変えるようにおっしゃるのだとなげいている。

「まあ！どうしてかしら？」
「なんだか　歯茎によくないとか・・言っている事がわからないのだけれど・・」
「何がダメなのかはっきり聞かないとね」
「そうなんだけれど　今が一番　なんでも噛めるから嫌なのよね」
「・・・・」
「ところで　近所の人が歯もなく入れ歯もなく　暮らしているのだけれど　どこで噛むのかしら？」
「そういう人は、歯茎で噛むみたいよ」
「だから　やわぁーーくして食べるのって言ってるのね」
「まったく歯がなくなると　案外　歯茎が歯になるのかしら？」
「中途半端にあるとダメなんだね！」
人には聞かせられない話を親子でしていた。

次に生みの親も歯の話
「あなた　海苔を食べていたら私の歯がとれたのよ」
「えっ！？歯がとれた？」
「そう　前歯なの　つけてもらわなければ　どこにも出かけられないわ」
「もしや　差し歯なの？」
「そうそう」
「それは　簡単にいかないわね」
「さっそく、歯医者さんに行ったら　人と話すときの歯　食べる時の歯をくれたわ。ノリでつけるのだけれどうまくいかないのよ」
（生みの親は、50年近くアメリカで暮らしています）
「もしや　それは仮歯ね」
「歯医者に行ったなんて　偉いじゃない。前に奥歯が病んでいたけれど　それはどうなったの？」
「ああ　あれは　もう無いの」
「そここそ　歯医者さんにみてもらわないといけないわよ」
「いいのよ　自然になくなったから」
そんなわけはないだろうと思いながら　あんなに歯医者様を嫌がっていたのに前歯だけは、行くんだなっておかしくなった。


歯は、とっても大事
おいしいものが食べられなくなるもんね。
歯のない顔で確かに出かけたくないよね。
ふかいため息がもれる。


　　木製パレット屋のつぶやき