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琉球新報社主催の「子供の食を考える家庭料理セミナー」で小学校や中学校を訪ねることがあり、その中で感激した一つが読谷村立古堅南小学校です。600坪もある畑で子供たちが野菜を育ててそれを給食にも利用していました。この畑は30年余の歴史があり、卒業生は後輩にあたる子供たちに会うと「今何を作っているの」という会話が交わされるほどだと校長先生が話してくださいました。農作業を通して食物が自分の口に入るまでをしっかりと見届けさせることで、食物を作る方々の苦労が分かるような人に育てていらっしゃるのですね。
さて、この料理セミナーでは私は料理の作り方だけでなく食事作法の話もしています。最近は一汁三菜の基本的な献立が少なくなり、子供の好きなカレーライスやタコライス等一皿ですむ料理が食卓に上がることが多くなったようです。これらの料理は肉、野菜、チーズなどさまざまな味が一度に口の中に入ってしまいます。時には簡便でよいのですが、そればかりだと細やかな味覚が育たなくなってしまいます。それぞれの味をしっかり味わうには、まずご飯を中心にした日本の食事をしっかりとることが大切です。子供は大人以上に味覚が鋭いもの、そういう時期にしっかりと味わい方を教えていきたいものです。きちんとした献立の食事は味覚を育てると同時に、それを通して食の作法を身につけさせることもできるのです。沖縄県では朝食抜きで登校する子や“孤食”をする子が他県に比べて多いそうです。子供の発育にとって食そのものだけでなく食事のときの団欒(だんらん)も大切。子供に寂しい食事をさせたくないものです。お母さんやお父さんがお子さんたちと楽しく料理をし、それを家族がそろっておいしくいただく。体と心を育(はぐく)むための料理作りをお伝えしたいと思っています。
(西大八重子(にしおおやえこ)、西大学院学院長)