旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

旅の服装

2010年02月26日 | 旅行一般
オリンピック選手の服装問題が私がタイに渡航している間に勃発していたようですが、それとは特に関係なく旅と服装について。

特に日本のように国外へ出るとなればたいていの場合飛行機で移動する国の場合、現地との気候が大きく違う事が多々あります。今回のスーパーカブでタイの場合も同じで、荷物を減らしたい旅ではいつも頭を悩ましますし、効果的でオールマイティな解決策はあまり思いつきません。こういう点でただ一つアドバイスできるのは、"現地に行って買えば良い"という考えを持って、思い切って予備の着替えを減らすべきだという事ですが、小柄な女性の場合などは、行き先の国によってはサイズが無いという悩みも聞いた事があります。

とはいえ、実は今回のテーマはそういう具体的な情報ではなく、もっと精神的な話題なのです。

オリンピック選手くらいになれば、服装について批判が出ても"賛否両論"で議論してもらえるようですが、旅人が旅先で服装に関してトラブルに巻き込まれたら、日本社会では”自己責任”とか”だから言わんこっちゃない”とか言われて袋叩きになりかねません。しかも実際、最悪の場合は服装でのトラブルはあります。

自慢の一張羅を着ていたばっかりにお金持ちと見られて強盗や引ったくりのターゲットになる事もありますから、あまり素敵な服装というのも考え物。一方、長髪に髭面でいかにもヒッピー取った服装も、国境を越える際には無意味に厳しい検査を受ける原因となったりして面倒の元となる可能性があります。

私が会った旅人達を思い起こしてみると、期間が長い旅人ほど、荷物は少なく、服装はこざっぱりしていた印象があります。いかにも貧乏旅行というスタイルの人はまだ日本を出て数ヶ月程度の人がファッションとして、わざとそういう服装をしていたように思います。

服装というのはもちろん、自分が快適に過ごせるという事も重要な要素ですが、他の人に見られる事でもあるので、情報を辿るだけの旅ならいざ知らず、人との接点の多い本当の旅ではそれなりに真面目に考えることも必要です。

今年の”スーパーカブでタイ”では、私はチェンマイ到着時に一着だけしかない長ズボンを破いてしまい、長ズボンを買うまでの間、短パンで過ごしましたが、短パンをはいて出かけようとする私にゲストハウスの3姉妹は”それしか持ってないの?”と笑ってから、客である事を思い出して"いや、それも素敵よ"と取って付けたような発言をしていました。その短パンは日本の夏なら、その短パンで平気で1日を過ごすしている程度に問題のない短パンでしたが。

イスラム教国の多い中近東はもちろん、南インドや東南アジアの国でも多くの場合、短パンでいるのは旅行者かリキシャ(自転車タクシー)の運転手くらいなので、あまり無難な服装とはいえません。

安宿に屋台で旅する場合と、パーティに参加したりディナーに呼ばれたりする可能性がある旅では違いがあるので一概にはどういう服装が良いかは言えないのですが、一つのキーワードとして言える基準は"灰色の存在になる"という事。つまり、極端に目立つ服装は避けて、周りに馴染むよう心がける事です。
 
そういう意味では、スノーボードという狭い世界だけの目に触れる時と、オリンピック代表という、スノーボードなんて見た事もない人の目にも触れる場合とでは服装への気遣いが違うのですが、それはもう少し大きくならないとわからない事なのでしょう。

いや、この話題に触れるのはここで意図する事ではありません。

大きな意味での服装として、サングラスなども少し考える必要があるアイテムです。

マラソン選手などがサングラスをしていますが、あれはまぶしさを避けるためだけでなく、自分の心理を見せない事で周囲の選手に対する駆け引きを有利に運ぶ意図があると聞きます。そのために横を走る選手からも目が見えないように作られていると言う話は本当なのでしょうか。

単純な印象として、サングラスをかけた人は威圧感を感じさせると思います。だから、威圧的に交渉するときや、こちらの気弱を隠して交渉したいときには便利かもしれませんが、逆に相手と打ち解けて交渉したい際や、普通に人と接したい際には不利なアイテムになります。ただ単に眩しいからサングラスをしていた結果、相手に威圧感を与えてしまい、相手も構えてしまってコミュニケーションがあまりはかれなかったとしたらどうでしょう、少し眩しさを我慢してみる価値があるときもあるのではないでしょうか。

ガイドブックやインターネットの情報を元にいろいろな人の足跡をたどる旅だけをするのであればココまで神経質になる事はないでしょうが、現地で沢山の味方をつけて、自由自在に安全に旅しようとするのであれば、こういう事に神経質になって工夫を試みる事もまた旅の楽しみのうち。"自分のスタイルを貫く"とかそういう子供っぽい考えよりずっと現実的な生き方の提案でした。


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