旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

少し贅沢を楽しむ

2010年02月27日 | 旅行一般
例えば今週末、”少し贅沢な夕食を楽しもう”と考えた場合。

まあ、皆さんもイメージしてみてください。
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さて、この場合に抱くイメージは2つの異なったパターンがあるのではないでしょうか。

1つのパターンは、少し高級なレストランを予約して食事に出かけるというイメージ
もう一つのパターンは、少し手の込んだ料理をするというイメージ。

同じ”食事”という言葉であっても、人によって抱くイメージは異なります。

私は遊び人なので、両方のイメージを抱きますし、どちらも楽しい気分を味あわせてくれると思いますが、本当の好みは後者です。なぜならば"食べる"という楽しみのほかに"作る"楽しみも味わえるからです。更に成功する、失敗するという楽しみも楽しませてくれますね。

強引に分類するなら、料理ができる人や料理が好きな人は後者に当てはまる人が多いのかもしれません。いずれにしても料理が嫌いな人で後者に当てはまる人はまずいない事は間違いありません。

更に掘り下げて、忘れてはならないのは、食事を楽しむ習慣のない人の存在です。そういう人の場合、最初の質問でイメージするのは、まず間違いなく前者の"高級なレストランで..."というイメージを抱くと考えられます。興味がない人には”少し贅沢”というのが自分では決められないですから、世の中で一般に贅沢といわれている事に従う事になります。

少し整理してみましょう。

”高級なレストランで”をイメージする人には、食道楽で外食の経験豊富。良いお店を多く知っている人の他に、食べるのは好きだけれど料理はしない人、それから、食べる事自体に興味がない人が含まれるグループと考えられます。

"少し手の込んだ料理をして"をイメージする人は、食べる事と料理する事両方が好きな人のグループと考えられます。

では、"少し贅沢な旅を楽しもう"と考えた場合はいかがでしょう。

ほぼ全ての人が"ビジネスクラスに乗って"とか、"ランクの高いホテルに泊って"というイメージを抱くのではないでしょうか。ここが"食事"ほどには価値観が多様になるほどには"旅"という文化が成熟していない所。先に挙げた例と照合するなら、ビジネスクラスが贅沢と感じたり、高級なホテルを贅沢と感じるののは、高級レストランで食事をするという価値観の持ち主が大多数であるという事実を物語っていると思われます。

この事について、私は、"旅を楽しむ習慣がない人"が大部分だからなのではないかと危惧しています。

この対比でもう一つ感じることがあります。

たとえば、ミシュラン3つ星のレストランで如何に安く食事をしたかが、食道楽自慢にはならないでしょう?その人は"お買い物上手"な人であって、料理や食事を楽しむことに秀でた人物かどうかとはまた別次元の話であります。

ところが旅の世界では、これと同様の、"お買い物上手"の人が"旅上手"として自他共に認めるという事が多々あるように思います。

"少し手の込んだ料理をする"と同じ種類の旅人に思える中にもやはりお買い物上手が紛れ込んでいます。少し手の込んだ料理をするために買い物に出かけて、努力により如何に良い食材を安くで買ってきたかという事を"料理上手"とはいいませんね。ポイントカードを使って、普段は使わないような高級食材を入手してきた人も、その事自体では料理上手とは言いません。それだけでは"節約上手"か"買い物上手"。

懸命に情報を集めて自ら時間を費やしてホテルや航空券の安い物を探し出し、それを組み合わせて旅行を組み立てるのが好きな人やマイレージを使うのが上手い人はここに入るわけです。

誤解しないでください。そういう人が"旅が下手"と言っているのではありません。"旅の上手い下手と全く関係がない"と言っているのです。

ところが、この"関係がない"価値基準に振り回されている姿を多く目にします。そういう事からそろそろ脱却してはどうかと思います。

自分なりの料理方法を考えれば、600ドルのホテルに300ドルで泊まる事に喜びを覚えるよりも、10ドルの安宿での滞在を如何に楽しむかを考えられるようになるでしょうし、また同時に、逆に600ドルのホテルでの過ごし方についても深く考えられるようになるでしょう。

食材の価格の知識ばかり磨いているのはそろそろ終わりにして、レシピの方に磨きをかけませんかというお話でした。


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