旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

白いキャンバスに自分なりの絵を描く。

2009年04月03日 | 旅行一般
自由旅行とパッケージツアーについて、例えばこんなたとえ話はどうでしょうか。

パッケージツアーはプロの絵描きが書いた絵を買って鑑賞するような行為。自由旅行は真っ白なキャンバスに自分で絵を描いていく行為。

だから、パッケージツアーと同じ事を自由旅行でやろうとしたら、より費用が多くかかったり時間的に効率が悪かったり、やはり絵描きが書いたと同じ出来には描きあがりません。ただ、絵を描くという行為そのものを楽しむためには自分で絵を描くしかありません。その場合は、絵が上手い、上手くないはは問題ではありません。むしろ、絵を描く事をどれだけ楽しめたかが価値になります。

ここでもう一つ見えてくる事があります。パッケージツアーで旅する場合、つまり絵を買う場合。如何にその絵を安く買ったかという事は、その人の絵に対する造詣の深さを照明する事とは関連がありません。これは、その人が如何に”お買い物上手”かという事を計る基準です。つまり、如何に安く旅行したかとか、如何に安いツアーを見つけたかといったことは”旅上手”であるという事の基準にはなりません。”お買い物上手”である事の基準にはなります。

 それでは自分で絵を描く事に決めたときのことを考えてみましょう。
 インターネットの情報やガイドブックの情報を調べに調べて、出発する前から現地での全ての行動を事細かくシュミレーションし尽くしておく旅のスタイルは、白いキャンバスに絵を描くのとは少し違いますね。この事を考えていて、今朝、一つのイメージが思い浮かんだのです。それが、この妙なたとえ話のきっかけです。

 シュミレーションし尽くした旅のスタイルは、絵でいえば”塗り絵”であるといえるのではないでしょうか。輪郭は他人が描いてくれています。あとはあなたが色を塗っていくだけです。

 塗り絵が如何にたくみでも、それは絵が上手いとは言いません。

 とはいえ、情報や知識を使ったからといって全てが”塗り絵”担ってしまうわけではありません。新しい絵の技法を本で読んで自分の絵に取り入れたからとって盗作になるわけではないのと同じです。この違いは、情報の使い方の違いではないでしょうか。

 情報は、使い方によっては、あなたの旅の形を整えてくれます。ただ、幾ら形が整ったといってもパッケージツアーほどには整ったものにはなりません。ある言い方をすれば、それはあなたの自由なはずの旅に制約を与えているに他なりません。
 
 別の使い方では、あなたの旅に自分では思いつかなかった幅広さを与えてくれます。たとえば、自分が訪れようと思っていた地域に存在する、自分の知らなかった興味深い習慣について事前に知識を持つ事や、これから訪問しようとする地域の歴史について事前に少し触れておく事は、訪問してから目にすること、出会う事にたいしてより多くの周波数を捕らえるアンテナを与えてくれます。

 あなたのキャンバスに勝手に輪郭を描いてしまうのではなく、もっと上手く絵を描ける方法を教えてくれるわけです。

 過去にもココで何度も触れていますが、インターネットが普及するにしたがって、情報によって自らの自由に制約を与えるような情報との付き合い方が増えているように思います。せっかく旅に出るのであれば、もっとアンテナを広げるために情報を活用する、あるいは、そういった目的で活用できる情報を探すようにしたいものです。

 塗り絵が上手になるのも良いですが、上手でなくても自分で絵を描きたいし、できれば前より上手く絵を描けるようになりたいではありませんか。


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