旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

得意、不得意

2007年05月26日 | 旅行一般
海外ラリーレイドは人生そのものだと表現する人がいますが、私が1994年、1997年の二度にわたってオーストラリアンサファリラリーをメカニックという立場から観察して知った事は、確かに海外ラリーは人生そのものなのですが、"人生そのもの"という意味を誤解している人も多いという事でした。

海外ラリーが人生なのは、それまでの人生(バイクライフ)が確実に反映される、あるいはそれまでのバイクライフで積んだ経験を上手く使いこなして乗り切っていくべきものだという事でした。この事を知った事は私が今度は自分が出場するにあたって非常に大きな進歩を与えてくれました。海外ラリーで遭遇するであろう出来事に対して、自分が今までの人生で培ってきた事をどう使うかという作戦を立てる事を思いつかせてくれたからです。

そこで私は自分を分析する事から始めました。

まず、ライディングテクニックや速さは問題になりません。とてもじゃないけれどラリーというレースを走るには不足しています。これについてはスタートまでにできるだけ練習を積む事はもちろんですが、スタートしても基本的にレースをしない事に決めました。つまり自分のペースを確実に守る事。

それでもライディングテクニックの不足で走破できない所が現れたら一巻の終わりです。

そこで、私が他の人より得意としている事でライディングテクニックがカバーできないものかと考えたのです。私が持っている特技のうちで使えそうなのはナビゲーション。子供の頃から山に登っていたおかげか、ナビゲーションだけは自信がありました。これをライディングテクニックに置き替えるアイデアは、皆と同じ所を走らず、難しそうな所は全て迂回しするという方法でした。

ここまで連想できると、やるべき事が見えてきます。ナビゲーション機器の故障は私にとっては困った問題を呼ぶので、慎重な選択が必要となります。この部分は他のライダーも同じで、トリップメーターなどは予備を含めて複数個装備しているのが普通ですが、私は同じ製品、特に同じロットだったりすると同時に壊れる可能性がある事を考えて、バックアップ用のトリップメーターは構造的にも全く違った製品を使用しました。

GPSなどという便利な装備もあるわけですが、このような精密機器が最後まで動くとは思えなかったので、非常用装備として指定されているコンパスをすぐに出せるポケットに入れておく事にしたりもしました。

さて、私の場合はそんなスタイル。

ところが同じラリーを走ったライディングテクニックに不安の無いライダーには全く逆の方法論を選んだ人がいたのです。ナビゲーション関連は極力シンプルにしてハンドル回りを軽量化、ナビゲーションそのものはあまり自分ではやらずに、良いペースで走るライダーを捕まえて走るという作戦です。そう、これは他のライダーについて走れるだけのテクニックと自信があってこそできる方法ですね。

どちらが正解というわけでもありません。自分の得意分野をいかに生かして、不得意分野をカバーするかという事であって、まさに人生ではありませんか。


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