私にとっての初めての海外一人旅は今から30年前の事。まだ19歳の頃のタイへの2週間の旅でした。インターネットは世の中に存在せず、携帯電話は、もしかすると有ったのかもしれませんが庶民が所持する事など考えもできなかった時代の話。
ガイドブックを読み漁って、”何とかなるだろう”と現地へ渡ってみたのは良いのですが、その頃のタイはまだ今ほど旅行者も多くなく、バンコクでも英語が話せる人はまばら。安宿といえば昔からある中央駅周辺の”旅社”かシーロム通り周辺のゲストハウスが定番で今、多くの人が口にする”カオサン”はまだ存在していなかったかあるいは存在を知られていない頃でした。
中央駅近く、チャイナタウンの旅社に1夜の宿を何とか確保したものの、周辺の屋台やレストランに入る勇気もバイタリティも無く、数日を月餅1つで過ごした話はここでも過去に書いたかもしれませんし、”スーパーカブで旅するタイ北部”にご参加いただいた方達にはよく話す私のカッコ悪い失敗談ネタの一つです。
そんなある日、バンコクからの移動を考えて中央駅へ。目指すは東北タイのノンカイでした。理由は単純、国境を見てみたかっただけ。海に囲まれた国で生まれ育った私たちにとって、向うに別の国が見えるという風景は特別な風景に思えたのです。
当時はバンコク中央駅でも英語は全然通じませんでした。とにかく地名を言えば何とかなると思って窓口で”ノンカイ”を連呼してみると、窓口の係員や周囲の人たちが何やら口々に説明してくれるのですが如何せんタイ語ですから私は全く理解できません。そのうち、窓口から追い払われてしまいました。長距離列車や寝台列車は窓口ではなくて少し奥まった場所にある予約窓口へ行かないと買えなかった事(当時)を後で知りました。
昨年、ラオスへ渡航した際にバンコクでノンカイ行のチケットを購入した時にその頃の事を思い出して感慨深い思いに浸ることができました。
その後も最初の一人旅はもちろん失敗続き。沢山の恥をかいて、沢山の人に迷惑をかけ、這う這うの体で帰国したというのが本当のところ。今の自分にとっては何でもない事が一つ一つ必死の思いでしたし、明日の事が心配で眠れない事も頻繁にありました。出発前に立てた計画は到着翌日には完全に崩壊。何一つこなすことができませんでした。
そんな2週間、私を支えてくれたことはタイの人たちの少しお節介な親切さと、現地で会った経験豊富な旅人たち。経験豊富な旅人たちからは多くの事を学びました。その事がなければ2度目の海外一人旅は無かったと思います。旅行の仕事に携わる事もなかったでしょう。
最初の一人旅は失敗続きではありましたが、全体としては私の旅の中で”最も成功した旅”だったとも言えます。もしも日本で立てた計画がそのまますんなり実行できたり、思い描いていた方法論がそのままうまく機能していたら、あれほど多くの人を頼る事もなく一人旅を一人で終えてしまった事でしょうし、あれほど多くの出会いも無かったに違いないと思うのです。そういった出会いから多くの事を学び、多くの事を感じることができました。
それから、今になってみれば数多くの”失敗談”をいいネタにもできています。
成功と失敗の境目をうまく分ける事はできません。計画通りスムーズに事が進んでいたらできなかった体験が沢山できたとしたら、失敗を積み重ねれば積み重ねるほど旅の成功に繋がると言う事もできるのです。
旅の質量を増やすものは、”戸惑い”、”恥”、”困惑”、”驚き”、”衝撃”、”感動”、こういった心を動かされる感覚なのではないでしょうか。
思えば人生の旅もそうなのかもしれません。
これから夏休みの旅に出かける皆さんも、いっぱい恥をかいて、いっぱい戸惑って、いっぱい困惑し、いっぱい感動し、そして無事帰って笑い話にしてください。
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あれから30年の歳月が経ち、今の私は多分、”経験豊富な旅人たちの一人”の側に入れてもらえると思います。だから、旅人として良い経験をできる場を提供しようと考えた企画が"スーパーカブで旅するタイ北部"であり、"タイ&ラオス路線バスの旅"です。
ガイドブックを読み漁って、”何とかなるだろう”と現地へ渡ってみたのは良いのですが、その頃のタイはまだ今ほど旅行者も多くなく、バンコクでも英語が話せる人はまばら。安宿といえば昔からある中央駅周辺の”旅社”かシーロム通り周辺のゲストハウスが定番で今、多くの人が口にする”カオサン”はまだ存在していなかったかあるいは存在を知られていない頃でした。
中央駅近く、チャイナタウンの旅社に1夜の宿を何とか確保したものの、周辺の屋台やレストランに入る勇気もバイタリティも無く、数日を月餅1つで過ごした話はここでも過去に書いたかもしれませんし、”スーパーカブで旅するタイ北部”にご参加いただいた方達にはよく話す私のカッコ悪い失敗談ネタの一つです。
そんなある日、バンコクからの移動を考えて中央駅へ。目指すは東北タイのノンカイでした。理由は単純、国境を見てみたかっただけ。海に囲まれた国で生まれ育った私たちにとって、向うに別の国が見えるという風景は特別な風景に思えたのです。
当時はバンコク中央駅でも英語は全然通じませんでした。とにかく地名を言えば何とかなると思って窓口で”ノンカイ”を連呼してみると、窓口の係員や周囲の人たちが何やら口々に説明してくれるのですが如何せんタイ語ですから私は全く理解できません。そのうち、窓口から追い払われてしまいました。長距離列車や寝台列車は窓口ではなくて少し奥まった場所にある予約窓口へ行かないと買えなかった事(当時)を後で知りました。
昨年、ラオスへ渡航した際にバンコクでノンカイ行のチケットを購入した時にその頃の事を思い出して感慨深い思いに浸ることができました。
その後も最初の一人旅はもちろん失敗続き。沢山の恥をかいて、沢山の人に迷惑をかけ、這う這うの体で帰国したというのが本当のところ。今の自分にとっては何でもない事が一つ一つ必死の思いでしたし、明日の事が心配で眠れない事も頻繁にありました。出発前に立てた計画は到着翌日には完全に崩壊。何一つこなすことができませんでした。
そんな2週間、私を支えてくれたことはタイの人たちの少しお節介な親切さと、現地で会った経験豊富な旅人たち。経験豊富な旅人たちからは多くの事を学びました。その事がなければ2度目の海外一人旅は無かったと思います。旅行の仕事に携わる事もなかったでしょう。
最初の一人旅は失敗続きではありましたが、全体としては私の旅の中で”最も成功した旅”だったとも言えます。もしも日本で立てた計画がそのまますんなり実行できたり、思い描いていた方法論がそのままうまく機能していたら、あれほど多くの人を頼る事もなく一人旅を一人で終えてしまった事でしょうし、あれほど多くの出会いも無かったに違いないと思うのです。そういった出会いから多くの事を学び、多くの事を感じることができました。
それから、今になってみれば数多くの”失敗談”をいいネタにもできています。
成功と失敗の境目をうまく分ける事はできません。計画通りスムーズに事が進んでいたらできなかった体験が沢山できたとしたら、失敗を積み重ねれば積み重ねるほど旅の成功に繋がると言う事もできるのです。
旅の質量を増やすものは、”戸惑い”、”恥”、”困惑”、”驚き”、”衝撃”、”感動”、こういった心を動かされる感覚なのではないでしょうか。
思えば人生の旅もそうなのかもしれません。
これから夏休みの旅に出かける皆さんも、いっぱい恥をかいて、いっぱい戸惑って、いっぱい困惑し、いっぱい感動し、そして無事帰って笑い話にしてください。
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あれから30年の歳月が経ち、今の私は多分、”経験豊富な旅人たちの一人”の側に入れてもらえると思います。だから、旅人として良い経験をできる場を提供しようと考えた企画が"スーパーカブで旅するタイ北部"であり、"タイ&ラオス路線バスの旅"です。
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