「本朝食鑑」でのカッパ、カワタロウ
2024.9
最近、水辺に河童なる者がいて、能く人を惑わす。
或いは、大鼈(おおすっぽん)の化けたものとも言う。
それ故、顔は醜くく、体は、童児のようで、皮膚は、責黄色である。頭上には、凹んだ処があり、常に水を蓄えている。水があれば、則ち力が強く、捕らえられない。水が無ければ、力が弱く、捕まえることができる。
それで、もし人がカッパに出会ったら、必ず先に腕を持ち上げ、拳で、頭の水を取ってしまえば、カッパを倒すことができる。
伝え聞くところによれば、海西諸国には、このカッパが、人をだますことが多く、人を妖力で害する。
土地の人は、大鼈(おおすっぽん)ではなく、老いた獺(かわうそ)の化したものである、と言っている。
その物のたぐいは、変化(へんげ)して、どのようになるのかは、測りがたい。
海国(海が多い地区)には、この族(やから)が最も多い。
以上
「本朝食鑑」 広文庫 より