ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩するのか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

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子宮筋腫核出術への私のこだわり1  - 傷を小さく、身体にやさしい手術 -

2025-02-10 | 腹腔鏡
子宮筋腫核出術は、子宮から子宮筋腫を取り除いて子宮を温存する手術です。大きく分けて以下の3つの方法があります。
  1. 腹式子宮筋腫核出術: お腹を10~15cm程度切開して手術を行う方法。
  2. 腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(LAM): 腹腔鏡で手術操作を行い、4~5cm程度の小さな切開を追加して筋腫を取り出す方法。
  3. 腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM): お腹に小さな穴をいくつか開け、腹腔鏡を使ってすべての操作を行う方法。
この中で、私はほとんどの場合、LM(腹腔鏡下子宮筋腫核出術)を選択しています。

なぜLMを選ぶのか?
LMには、以下のようなメリットがあります。
  • 傷が小さい: お腹の傷が小さいため、術後の痛みが少なく、傷跡も目立ちにくい。
  • 身体にやさしい: 腸などへの負担が少なく、術後の癒着が少ない。
  • 出血が少ない: 適切な症例選択と技術により、出血量を抑えることができる。
もちろん、LMは技術的に難しい手術であり、熟練した医師の経験が必要です。

LAMは開腹手術?
個人的な考えですが、私はLAM(腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術)は、基本的に開腹手術に近いと考えています。LAMは、腹腔鏡を使いますが、最終的にはお腹を4~5cm程度切開するため、傷の大きさや術後の癒着のリスクは、開腹手術とあまり変わらない可能性があります。

豊富な経験
私は、2000例以上のLMの経験があります。LMの症例数だけでも日本ではトップクラスでしょう。子宮筋腫核出術を行うのであれば、可能な限りLMで手術を行い、患者さんの負担を軽減したいと考えています。

トロッカーの配置
LMを行う際、私は下図のようにお腹に4つの小さな穴を開けて、そこから手術器具を挿入します。この配置は、子宮筋腫を横切開で行うために最適な配置だと考えています。
最後に
大きな子宮筋腫や多発子宮筋腫に対する子宮筋腫核出術は、患者さんにとって大きな負担となる手術です。だからこそ、私は傷を小さく、身体にやさしいLMという方法にこだわっています。適切に行えば、開腹手術やLAMよりも質の高い手術が可能です。これからも、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させるために、最善の手術を追求していきます。


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