子宮筋腫核出術は、子宮から子宮筋腫を取り除いて子宮を温存する手術です。大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 腹式子宮筋腫核出術: お腹を10~15cm程度切開して手術を行う方法。
- 腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(LAM): 腹腔鏡で手術操作を行い、4~5cm程度の小さな切開を追加して筋腫を取り出す方法。
- 腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM): お腹に小さな穴をいくつか開け、腹腔鏡を使ってすべての操作を行う方法。
この中で、私はほとんどの場合、LM(腹腔鏡下子宮筋腫核出術)を選択しています。
なぜLMを選ぶのか?
LMには、以下のようなメリットがあります。
- 傷が小さい: お腹の傷が小さいため、術後の痛みが少なく、傷跡も目立ちにくい。
- 身体にやさしい: 腸などへの負担が少なく、術後の癒着が少ない。
- 出血が少ない: 適切な症例選択と技術により、出血量を抑えることができる。
もちろん、LMは技術的に難しい手術であり、熟練した医師の経験が必要です。
LAMは開腹手術?
個人的な考えですが、私はLAM(腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術)は、基本的に開腹手術に近いと考えています。LAMは、腹腔鏡を使いますが、最終的にはお腹を4~5cm程度切開するため、傷の大きさや術後の癒着のリスクは、開腹手術とあまり変わらない可能性があります。
豊富な経験
私は、2000例以上のLMの経験があります。LMの症例数だけでも日本ではトップクラスでしょう。子宮筋腫核出術を行うのであれば、可能な限りLMで手術を行い、患者さんの負担を軽減したいと考えています。
トロッカーの配置
LMを行う際、私は下図のようにお腹に4つの小さな穴を開けて、そこから手術器具を挿入します。この配置は、子宮筋腫を横切開で行うために最適な配置だと考えています。
最後に
大きな子宮筋腫や多発子宮筋腫に対する子宮筋腫核出術は、患者さんにとって大きな負担となる手術です。だからこそ、私は傷を小さく、身体にやさしいLMという方法にこだわっています。適切に行えば、開腹手術やLAMよりも質の高い手術が可能です。これからも、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させるために、最善の手術を追求していきます。