子宮筋腫は、子宮の中に筋肉のコブができる病気です。
症状としては、月経過多、貧血、腹痛、頻尿などが挙げられます。筋腫が大きくなるまで無症状で巨大子宮筋腫になっているのに気づいて来院される方もいらっしゃいます。子宮筋腫の多くは経過観察することが可能なものもありますが、子宮筋腫核出術や子宮全摘術が必要になる場合も少なくありません。
腹腔鏡下子宮筋腫核出術は筋腫の核出・子宮の縫合・筋腫の細切除去の全ての操作を腹腔鏡下で行う術式であり、その難易度の高さゆえ、現在でも子宮全摘術ほどは普及していないようです。(小切開を併用して行う腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術は基本的に開腹手術であり、腹腔鏡下子宮筋腫核出術とは根本的に異なります。)
子宮筋腫核出術を選択した場合は、術中出血量の増加や再発・術後癒着の問題があり、手術のタイミングや妊娠のタイミングを慎重に検討する必要があります。そのため、患者さんの人生設計に大きな影響を与える可能性があります。
子宮全摘術は文字通り、子宮を摘出する手術です。子宮が無くなるので手術後は妊娠することはできません。また、月経は無くなります。しかし、卵巣を温存した場合には、女性ホルモンは術前と同様分泌されるので、体調に変化をきたすことはあまりありません。また、腟は温存できますのでパートナーとの性交渉は可能です。そして、最近はその多くを腹腔鏡下手術で行うことができます。
患者さんの中には、子宮筋腫と診断されたことで、キャリアプランやライフプランの見直しを迫られる方もいらっしゃいます。
「手術を受けたら、仕事はどうなるのだろうか…」
「子どもを持つことはできるのだろうか…」
「自分の身体と、これからの人生をどう両立させていけばいいのだろうか…」
子宮筋腫も子宮内膜症と同様、患者さんの人生における優先順位を問い直し、自分自身の役割について深く考えさせるきっかけとなる病気です。
子宮筋腫は、患者さんの人生観や価値観を揺るがし、自分自身の役割について改めて考えさせるきっかけとなる病気だと思います。しかし、病気と向き合う中で、新たな価値観や人生観を見出すことができるかもしれません。病気は、決してマイナスなことばかりではありません。病気を通して得られる経験や学びは、私たちの人生をより豊かにしてくれるはずです。
あなたは、これからどのような人生を選びますか?
あなたは、自分の子どもを産むことにどこまでこだわりますか?
あなたは、自分の役割をどのようにして果たしていきますか?
子宮筋腫はそう問いかけているのではないかと、私には思えるのです。