ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

A lion heart

2005-10-26 | 腹腔鏡
A good surgeon must have an eagle's eye, a lion's heart and a lady's hand.という英語のことわざがある。an eagle's eyeは鷲の鋭い観察眼、a lion heart はライオンの強い心、a lady's handは貴婦人のような繊細な手ということだ。この中で最も大事なのはa lion heartだと思う。

いくら上手くなっても術中のトラブルから解放されることはない。特に難しいオペのときにはトラブルを回避できるかどうかリカバリーできるかどうか、術者の差は著しく大きい。強固な癒着例では強い心が本当に必要になる。

腹腔鏡下手術で困難に直面したとき、どうするか?いかに解剖学的な構造を理解しながら手術を進めるか?強出血があったとき、いかに止血するか、それとも開腹に変更するか?オプションは1つや2つではない。状況が刻々と変わるので、その場に応じて判断していかなければならない。しかも、腹腔鏡下手術では、直視下に見えず手は届かない。

吸引する、小ガーゼで押さえる、鉗子で押さえる、結紮縫合する、クリップで留める、電気乾燥(バイポーラ、モノポーラ)で止血する、もしくは開腹に変更するなどなど、多数のオプションがある。その中で最良の手技を臨機応変に選択することができるだろうか?腹腔鏡の場合はこのまま対処するのがいいのか、それとも開腹へコンバートしたほうがいいのか、処置をしながら常にイマジネーションを働かせながら対処しなければならない。それには、解剖に対する知識と豊富な経験が必要だ。

かなり前に、アメリカンエクスプレスのCMで青木功が「ゴルフで強い奴は何やっても強い」と言っていた。数千万円の優勝賞金よりは人の命のほうがはるかに重い。腹腔鏡下手術はゴルフ以上に人間力が試されている。
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1 コメント

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Unknown (y)
2005-12-20 12:41:12
2週間後の1月5日、腹腔鏡下で卵巣嚢種を摘出する予定です。

先生同様、内視鏡下学会技術審査委員の西井修先生にお願いして、

可能な限りリサーチもしたのですが、チョコレート嚢腫が20cmと巨大なので、

先生のサイトを見ると「やっぱり松本先生にすべきだったか・・・。」などぐるぐる考えます。

日本の医療は生死に関わらない病気への投資が足りないとよくいわれますが、この病気は

特に医師の知識、経験やテクニックによって結果が大きく左右されますね。

先生の様な技術に加え熱意もお持ちの医師がもう少し増えれば良いのにと思います。

20代で外見も気になるほうなので術痕がどうしたら目立たなくなるか等もどうしても気になるところです。わがままですけれど。

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