ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

よい手術を受けるためにできること 2

2014-05-06 | 腹腔鏡

我々は素人ではありませんから、たとえ少々の肥満患者だからといっても問題なく手術できます。手術前にそれなりの努力によって体脂肪、内蔵脂肪を減らしていただいていれば、さらに苦にならなくなることのほうが多いです。(それでも、脂肪は少ない方が手術操作的には有利)

むしろ、子宮内膜症などの慢性炎症があれば、後腹膜腔は炎症の影響によって脂肪組織が多くなり、手術が難しいのには変わりありません。脂肪組織は電流が流れにくいので電気メスが使いにくく、超音波凝固切開装置を使っても脂肪組織が霧状になって視界の妨げになります。だからといって、鈍的に剥離すると細い血管が断裂しoozing(にじみ出るような小出血)で術野が荒れます。 その上に肥満があれば、手術操作はさらに難しくなり、術野を大きく展開するのが困難なため解剖学的構造を誤認するリスクが増えます。

実際、患者さんに体重を減らすようにお願いすると、いい機会だからと運動をしたりダイエットしたりして体重を相当減らしていただけることがあります。一方、なぜかストレスが溜まるといって体重を増やしてしまう方もおられます。約一ヶ月前の術前検査&説明のときよりも5キロほど体重が増えてしまっている人もおられます。術前検査の体重測定で安心するのでしょうか?でも、入院時も測定しますので、油断は禁物です。手術までは頑張っていただかないと意味がありません。(そういう方は安全な手術を受ける気が無いという風に思えます。)

もっとも困るのは、初診時に体重を少なく申告する方です。実際に測ってみると申告よりも10キロほど多い人もいらっしゃいます。(それって、最近流行の偽装ってやつ??でも、術前には測定しますのでバレてしまいますよ。)

医療現場ではゴマカシは得にはなりませんので、お間違いのないようお願いいたします。

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