天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

除染できないわけはない

2011年08月10日 | まつりごと
 8月10日議員会館において、児玉龍彦東大教授が勉強会をされています。元気をもらえます。「じゃあその次に、…」起きてしまったことに捉われず、次できることをできるまで。できるのは、自分しかいません。必ずできる考え方です。線量が高ければ高いなりに…中心では、実行されています。同じ人間です。原子、遺伝子…すべてを知り、できることをひとつづつ。除染しなければ、次がありません。以下、その抜粋byhttp://vimeo.com/27528555

 今回の福島原発の事故というのは、3月15日に一過性にぼーっと放射性の飛沫がきまして、我々もその日から厳戒態勢です。びっくりして通報したというのが始まりです。これが一過性で雲みたいな粒子でわーっときて東京を通り過ぎちゃって、どこへ行ったかというと足柄や静岡へいってますから300k位行ってます。100k圏で5マイクロシーベルト、200k圏で0.5マイクロシーベルト、300kまでいってる。これは広島・長崎の原爆よりたくさん出たっていうふうに感じます。それを確信したのがピット水、4月頃垂れ流しみたいにじゃんじゃん海に出てるっていう、あれのサンプル計算したら簡単に広島原爆超えちゃいます。この時から既にメルトダウンしていて核燃料が飛び散ってるのは間違いないっていうのを我々確信しまして、センターあげて除染やんなきゃいけないかなと思いました。
 放射性アイソトープの問題って、時々刻々変わっていきます。一番最初に問題になるのはヨウ素131ってやつで、これが一番危ないものの一つでチェルノブイリで4000人の子どもが甲状腺ガンになりました。WHOの認定で15人が手術が間に合わなくて死んじゃってるんですが、それはほとんどヨウ素131によります。ヨウ素っていうのは気化しやすいもんですから、コポっとでて最初に散ります。ただしヨウ素131は半分になるのが8日です。ということはひと月で10分の1になります。ふた月で100分の1になります、み月で1000分の1になります。だから今さらホールボディーカウンターなんてやっても、誰も引っかかんないです。それで一番最初にやるべきだったのは何かっていうと出た瞬間にどっちに流れたかを言ってヨウ素131を吸わないようにしなくちゃいけなかったわけです。そのとき最初3kですか、次10kですか、20kですか?ここまでくれば絶対内陸がやられても海がやられても大丈夫みたいに思ってたので皆逃げてきたわけです。ところが波江から飯館村、流れていくわけです。そこへ皆行ってたわけです。だからそのときどれだけ吸ってたかって誰もわかりません。
 今の放射線の議論っていうのはカビのはえたような議論をやっている。2000年にブレアとクリントンが会見して「人の遺伝子って全部読めました」と。昔は人間の遺伝子はわかってないから放射線があたると25000の遺伝子のどこにあたるかわかんないから確率論的に言ってたんですよ。今はガンの組織一個あれば、それが読めちゃうからどこがおかしいかわかるわけです。そうするとチェルノブイリで起こってることなんか皆わかってる。昔はそういうのがなかったから86年にチェルノブイリが起こって甲状腺ガンが増えてくる。91年頃にウクライナやベラルーシの医者が見たこともない変な甲状腺がんが増えていると言ってたんだけど、日本やアメリカやロシアの科学者は86年以前のデータがないからそんなの増えたってわかんねーじゃねーかと。今度は96年から減りだした。そしたら86年チェルノブイリから始まったと考えるしかないではないですかとなったんですが、今はそれより全然進んでまして、今まで言われてたのは、遺伝子って修復する機能があってちょっとあたっても大丈夫なんですと皆言ってたわけです。ところがガンになるときに何がやられるかっていうとP53とか遺伝子を治す遺伝子がやられちゃった人がガンになるというのがわかってきたわけです。これは一番新しいアメリカ学士院の会合で出てるヤツですが、人間の遺伝子って父親と母親と2個もらってるわけですね。チェルノブイリの子どもの癌細胞で甲状腺ガン、3つに増えちゃってる。我々は全ゲノムを検索できますから、どこが増えてるかなんてもうわかってるわけです。
 放射線がかかるとDNAを切るわけです。切れても普通は治すわけなんです。リングは二重螺旋なんですね。二重螺旋は比較的放射線に抵抗(力)があるんです。ところが細胞が分裂するときに1本づつになりまして、これが2本になって2個の細胞になる。この1本の時ってのが一番弱いんです。だいたい10倍くらい感受性がありますから、放射線を浴びても、だから僕らが大人に癌治療で放射線をあてると髪の毛、白血球、腸、下痢とか放射線治療の副作用が起こるところは細胞分裂の盛んなところに起こります。それで一番恐いのは子ども、胎児、そういう人が一番弱い。10倍弱いということです、増殖期のDNAは。
 例えばこれはチェルノブイリでいくと染色体7番が3コピーっていうのは、汚染地区の子どもにはあって非汚染地区の子どもにはない。それからNET遺伝子というのは、染色体7番q11が最初にやられてるっていうのがわかってきています。だから確率論的にではなくてメカニズム的に理解することが今のゲノムからきてることです。 
 これから焦点になるのはセシウム137です。ヨウ素131は一番最初の時点でSPEEDIなんかで子どもを逃がさなきゃいけなかったのに皆吸っちゃった、流れちゃった。じゃあその次に、もうヨウ素食らっちゃった子ども達にセシウムを食らわせちゃいけないってことです。セシウムは天然界にないんですよ。強いγ線出しましてゴイアニア(ブラジル)って町で医療機関からセシウムが盗まれちゃった。たくさん詰めるとセシウムは光りますから光る金属だっていうことで250人が回して拝んだ。250人被曝して4人死んでますから、セシウムは安全なんてそもそもそんなことは全く嘘です。(セシウムは)半減期が30年で、日本の土壌の場合、土の流出を考慮しても半分になるのに17年かかります。田んぼって土が40年で半分いれかわります。だから30年の半減期のものが入ると17年かかります。
 チェルノブイリの汚染地区で増えているのは膀胱ガン。膀胱ガンが増えてるのはだいたいおしっこに6ベクレル/リッター入ってる地域です。ここではですね、ゲノムを守るp53って遺伝子が15年くらいたつと壊れてきてそれから次の変化が起こるってことがわかってきた。私が一番びっくりしたのは、5月18日から厚労省の研究班が東北、関東、四国の108名の母親の母乳を調べて福島、二本松、相馬市の7名から1.9~13ベクレル/リッター出てると。で、その研究班は健康に問題ないって言ってるんです。おしっこで6ベクレルで膀胱ガンが増えるっていうのがあるのに母乳に出て赤ちゃんに飲ませてるって、それを健康に問題ないって言ってるなんて。科学論争はいくらやってもいいですが、今ヨウ素131食らってる子どもにセシウム食らわせちゃダメなんですよ。これはですね、外部被曝ではないんですよ、ほとんど内部被曝、食べ物。
 東京で空間線量がピッ、ピッ、ピッ、ピッが、那須あたりでピッピッピッピになって、郡山とか二本松とか福島とかビーーーーーーーーですよ。安全だなんてなかなか言えないです。とにかく子どもと妊婦を守る法律を作ってください。今日の朝刊でも7万人が町を離れているだけではなくて、学校の転出が1万4千人?さらに僕なんか妊婦から移る病院紹介してくださいってメールが山のように来てます。このときに国会が動かなかったら誰が動くんですか。
 南相馬で(除染)やっていると南の方は20k圏内で原発に近いから立ち入り禁止、30k圏外は普通にやってよいです、20kから30k圏内は総理大臣のやってる原子力災害対策本部長の指示ということで学校は休校、病院は休診ってなってます。ところがここの線量をひとつひとつ見て行くと実際には北の方、飯館村、ここらへんにボッカーンと降っているところがあって、今避難してるのは南相馬の北の方なんです。で、実際には津波被害で500人死んでて、南部のほうは遺体の捜索にも行けない。行方不明者の捜索も出来ていないようなところがあります。南の(南相馬市の)中心街は線量が比較的低いんですよ。ところが線量が低い方から高い方へ総理大臣の命令で1700人の子どもが一日100万円のスクールバスで移動してるんですよ。最初に調査に行って原子力災害対策本部長の菅直人さんのところへメールを送りました、即日。まだ、なんの返事もありません。
 米軍はヘリコプターに地表探査機を持ってって一瞬にして空からどこが何マイクロとかパッと出します。日本の原子力学会は何kmメッシュとかいって1k毎に計るとか、何寝とぼけたこと言ってるんですかと。はやぶさとかあるじゃないですか、JAXAとか。機械制御は日本は世界一なんですよ、GPSも。こんなの放射線線量計載っけてヘリコプター飛ばすのってのは何でできないんですか。だって住民が一番知りたいのは自分の家がどうか、自分のあれがどうかで。無人ヘリコプターでも何でもいっぱい飛ばして毎日のように今日の線量をはかれるようにGPSひっつければ、もう今の放射線対策のところにはですね、バイオのことをわかってる人も情報のことわかってる人も一人もいないってことです。
 除染を始めようと思うと、雨が降るとザーっといきますから10倍、100倍と濃縮されてしまうのです。そうすると平均線量なんていっても全然関係なくて、子どもが手をつくところがやばい。最初は緊急除染でやっているのは、非常に濃い所があるんですよ。屋上みたいなフラットな所で雨水が集まって、溜まって濃縮されてます。こういうところは地域で住民が除染するったって危ないですよ。こういったところは我々東大が先に入ってサーベイして奇麗にしてそういう所は除いて水をかけたり土を掘り起こしたりやってます。長期の除染というのは全然違いまして、これは竹中工務店とか鹿島建設とか東レとかいろんなところが入ってきちんとやるような世界標準のようなものがありまして、放射能だったらこれぐらいでやれる。一番やっちゃ行けないのはコンクリが入ったときに研磨。粉になって舞い上がったやつを吸い込んだらずーっと肺に入っちゃいますから、研磨するときは湿式にするかセシウムは水に溶けちゃうからセミドライでやるのが一番効率はよいのですが、ぜんぜん知らない人がやり始めたら粉にして巻き上げちゃってます。設計管理なしに施工だけやったら危なくてしかたがない。
 客土がよいのか、土壌改良、化学的改良が良いのか、植物除染がよいのか。それで植物除染っていうのはですね、あんまり(線量が)下がんないんですよ、だけど畑なんか水に混ぜて洗うと耕土として使えなくなっちゃうから、畑で基準値が1.5倍くらいのところだったら植物植えて3年くらい国が買い上げてやるっていう手もあるんですよ。そうするとコストも安いしきれいになる。だからこの方法、この方法、この方法と組み合わせて、それから何で空から(線量計測)っていうと畑とか林とかがどれくらい線量をもってるかっていうのを正確に知って地域で除染っていうのを考えないとダメになっていきます。
 ヨウ素131が出てるときに、3k逃げろ、10k逃げろ、20k逃げろっていってヨウ素131が出てる所に逃がしちゃってる。今度やるのは正確な情報を出して正確に何でやったらどれくらいとれます、これを実証実験やって示さないと。「強制収容する」とか言い出してる。自分たちが撒いたからその撒いたところの周りを全部強制収容するって案が出てきてます。これは絶対だめです。第一原発のまわりだって線量低い所は低いんですよ。何で突然強制収容になるんですか。しかもそのデータさえ出てないし一時立ち入り、ようやく3k内認められたばっかりの段階じゃないですか。もし何かに必要だったら住民と協議して借り上げとかありますよ、だけど最初に出てくるのが強制収容とか何を考えてるんですか。自分でぶんまいといて、おまえら出て行けだの出て行くなだの、強制避難じゃないと補償しないとか言ってたわけですよ。そんな自分で汚しておいて箸の上げ下げまでやるようなことは法律で認めないでほしい。住民が当事者として自治体と話し合って出来るためには汚染状態をわからないと。
 最後の結論ですが、大気圏内の核実験はやめましょうということになった。米英ソの核実験の時のセシウムはなかったっていうけれども、その後出てきました。ほっといて減ってきたんではないんですよ、中国が新疆でバーンとやって今長崎の流れなんてシルクロードの汚染したセシウムがバーっと日本に降ってるから、水爆は原爆の1000倍放射線が出ますから水爆一回やられたところは辺り一帯汚染しちゃってひどい、その風が中国から日本なんかへ来て広島も長崎もわかんなくなっちゃってますが、それでも米英ソが中止になってフランスと中国がやめてチェルノブイリでちょっと増えてもずいぶん減ってきてたんですよね。私思うに人が生み出したものを人が除染できない訳が無い。根性をもって除染に立ち向かうのは我々科学者の、国会議員も次の世代に、国土というのは父から子どもに伝えるもんです。それを汚して逃げてはダメです。

国会は何をやっているのですか

2011年07月27日 | まつりごと
 7.27衆院厚労委参考人、東大アイソトープ総合センター長・児玉龍彦氏、怒りに声を震わせての訴えでした。以下、その抜粋。

 「私たちが何をやらなければならないかというと、汚染地が徹底した測定をできるようにすることです。イメージングベースの測定器が半導体ではるかにたくさん開発されています。なぜ政府はそれを全面的に応用して使うようにやろうとしないのか。3か月経ってそのようなことが全く行われていないことに、私は満身の怒りを表明します」

 「20k、30kという分け方は、全然意味がありません。南相馬の中心地区は海側で、学校の7割は比較的線量が低いです。ところが、30k以遠の飯館村に近い(線量の高い)方の学校に、スクールバスで毎日100万円かけて、子どもが強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早くやめさせてください。」

 「私の現在(除染に関して)やっていることは、すべて法律違反です。しかしながら、お母さんや先生たちに、高線量のものを渡してくるわけにはいきません。このような状態を放置しているのは、国会の責任であります。全国には、最新鋭の機器をもっているところは、たくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって国民の総力を挙げて子どもを守れるでしょうか。これは完全なる国会の怠慢です。
 どうやって除染をやるか。7万人もの人が、自宅を離れてさまよっているときに、国会は何をやっているのですか。」

 そして、日本国内閣総理大臣は、必要な緊急政令を出せる「災害緊急事態」も布告せず、「安保会議」を開き、力を結集させることも、未だにしていません。国会は、なぜこのような総理を信任し、問責しないのでしょうか。

放射線の健康への影響

2011年07月27日 | まつりごと
 7月27日衆議院厚生労働委員会、参考人児玉龍彦(東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)氏、意見陳述。




 3月21日に東京で雨が降り、0.2μシーベルト等の線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています。今回の福島原発の事故というのは、100km圏で5μシーベルト、200km圏で0.5μシーベルト、さらにそれを超えて足柄から静岡のお茶にまで及んでいます。
 私どもアイソトープセンターの試算によりますと、熱量換算で広島原爆の29.6個分、ウラン換算で20個分のものが漏出していると考えております。さらに放射線の残存量は1年経って原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかなりません。つまり、今回の福島原発の問題は、原爆数十個分に相当する量と原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したという事が、まず考える前提になります。
 総量が少ない場合にはある人にかかる濃度だけを診ればいいのです。しかしながら、総量が非常に膨大になりますと、これは粒子です。核燃料というのは要するに砂粒みたいなものが合成樹脂みたいな物の中に埋め込まれています。これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子が沢山放出されるようになります。これは決して同心円状にはなりません。どこでどういうふうに落ちているかは、その時の天候、それから、その物質がたとえば水を吸い上げたかどうかなどによります。
 東大のアイソトープセンター、現在まで7回の除染をやっておりますが、我々が何をやらなければいけないかというとまず、汚染地で徹底した測定が出来るようにするという事を保証しなくてはいけません。ゲルマニウムカウンターというものではなしに、今日ではもっと、イメージングベースの測定器というのが遥かに沢山、半導体で開発されています。何故政府はそれを全面的に応用してやろうとして全国に作るためにお金を使わないのか。3か月経ってそのような事が全く行われていない事に、私は満身の怒りを表明します。

 内部被曝というものの一番大きな問題は癌です。癌がなぜ起こるかというとDNAの切断を行います。ただし、ご存じのとおりDNAというのは二重らせんですから、二重らせんの時は非常に安定的です。これが、細胞分裂をする時には二重らせんが一本になって、2倍になり4本になります。この過程のところがものすごく危険です。そのために、妊婦の胎児、それから幼い子ども、さらに大人においても増殖が盛んな細胞、たとえば放射性物質を与えると髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮のこれらはいずれも増殖分裂が盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。一つの遺伝子の変異では癌は起こりません。最初の放射線のヒットが起こった後のもう一つ別の要因で癌の変異が起こります。α線はもっとも危険であります。トロトラスト肝障害を惹き起こします。
 内部被曝というのは一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。ヨウ素131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点をみなければ、全身をいくらホールボディースキャンやっても全く意味がありません。
 トロトラスト、α線核種なんですが、α線は近隣の細胞を阻害します。その時に一番やられるのはP53という遺伝子です。人の遺伝子、配列、一人の人間と別の人間は大体300万箇所違います。ですから人間同じとしてやるような処理は今日では全く意味がありません。どの遺伝子がやられて、どういう風な変化が起こっているかという事をみるということが、原則的な考え方として大事です。トロトラストの場合は第一段階ではP53の遺伝子がやられて、それに次ぐ第二第三の変異が起こるのが20~30年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるという事が証明されております。

 我々アイソトープ総合センターでは、大体一回4人づつの所員を派遣しまして南相馬市の除染に協力しております。南相馬でも、20k、30kという分け方は全然意味がなくて、その幼稚園ごとに細かく測っていかないと全然ダメです。南相馬の中心地区は海側で学校の7割で比較的線量は低いです。ところが30k地点の飯館村に近い方の学校にスクールバスで毎日100万円かけて、子どもが強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早く辞めさせてください。
 緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えてください。緊急避難的除染を我々もかなりやっております。たとえば滑り台の下。滑り台の下は小さい子が手をつくところですが、この滑り台に雨水がザーッと流れてきますと毎回濃縮します。右側と左側とズレがあって、片側に集まっていますと、平均線量1μのところだと10μ以上の線量が出てきます。それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。それからさまざまな苔が生えているような雨どいの下。ここも実際に子どもが手をついたりしているところなのですが、そういうところは、たとえば高圧洗浄機を持って行って苔を払うと、2μシーベルトが0.5μシーベルトまでになります。だけれども、0.5μシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、空間線量として1か所だけ洗っても全体をやる事は非常に難しいです。

 食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を用いて、もう、半導体のイメージ化は簡単です。イメージ化にして流れ作業にしてシャットしていってやるということの最新鋭の危機を投入して、抜本的に改善して下さい。これは今の日本の科学技術力で全く可能です。
 緊急に子どもの被ばくを減少させるために新しい法律を制定して下さい。私の現在やっているのはすべて法律違反です。現在の障害防止法では各施設で扱える放射線量、核種等は決められています。東大の27のいろんなセンターを動員して現在南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウムの使用権限など得ておりません。車で運搬するのも違反です。しかしながら、お母さんや先生方に高線量の物を渡してくる訳にもいきませんから、今の東大の除染ではすべてのものをドラム缶に詰めて東京に持って帰ってきております。受け入れも法律違反、全て法律違反です。このような状態を放置しているのは国会の責任であります。全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターは、ゲルマニウムをはじめ最新鋭の機種を持っているところは沢山あります。そういうところが手足を縛られたままでどうやって、国民の総力を挙げて子どもが守れるのでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。
 土壌汚染を除染する技術を民間の力を結集して下さい。これは、たとえば東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー、千代田テクノとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店とか様々なところは、放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターを作って…どうやって除染を本当にやるか、7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に 国会は一体何をやっているのですか。

7月27日衆院厚労委、参考人質疑より

2011年07月27日 | まつりごと
7月27日衆院厚労委参考人意見陳述後の参考人質疑より

児玉参考人 放射線が人間の遺伝子を傷害します。人間には2万5千の遺伝子がありますが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護にかかわる遺伝子というのがあります。普通は、これがやられないと低線量のものは大体問題なく修復されるということがわかっています。けれども、例えばp53のような、最初の、DNAを守っていったり、そういうところにかかわる遺伝子を壊すとがんになるということがわかっています。そうしますと、実際には、2万5千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的になってきます。ですから、一般にわかるのは、統計学的に、非常にたくさんの人を集めて、例えば、チェルノブイリのときの甲状腺のように、最初は5万人ぐらいまで調べたときに、有意な差がないと言われたんです。ところが、それが今になっては、コンセンサスとして、6千人の甲状腺がんと15人の死亡例が生まれているというふうに変わってきています。
 私は医学者として今一番感じておりますのは、このどこの線量が安全かという議論と国の政治的なかかわり方を分けていただいて、国民の健康を守るためにどういうことができるかというときに、まず、セシウム137というのは、自然界には1945年以前に存在していないものです。原発と原爆で生まれて、それが1960年代の初めに水爆実験によってピークになったものであります。そのときに、海水のセシウム濃度が100倍になっているということを微量線量計で確認して、その後、セシウムはずっと減ってきていたのが、またそれをはるかに倍する量に今上がろうとしているときであります。
 そうしますと、その線量議論の問題を言うよりも、元来自然界にないセシウム137というのが膨大にまかれて、ガンマカウンターで簡単にわかるような量に散らばっている。しかも、それが広島原爆の20倍の量まかれているという事態に対して、国土を守る立場から、ぜひ積極的な対応をお願いしたいというのが基本的なお願いです。

 避難区域に戻れる条件を少し教えていただきたいんですが。

児玉参考人 私が一番申し上げたいのは、住民が戻る気になるのは、行政なりなんなりが一生懸命測定して除染している地域です。ですから、測定も除染もなければ、安全だ、不安だと言われても、信頼できるところがありません。ですから、この数値が安全、この数値がどうということではなしに、行政の仕組みが、一生懸命測定をして、その測定に最新鋭の機械を投じて、除染に最新鋭の技術を持って、そのために全力でやっている自治体が一番戻るのに安心だと思います。

 農家で米をつくるとか果物をつくるとかという、つくる段階での基準みたいなものというのはございますでしょうか。

児玉参考人 入り口の方で基準を決めるというのは非常に厳しいと思っています。生物学的濃縮というのは、さまざまな元素が体に入ると、トランスポーターとか結合たんぱくというので極めて特殊な集積の仕方をしますので、ですから、やはり出てきた農産物をきちんと見るという仕組みを徹底的につくっていかなくてはならないと思います。
 そうすると、やはりラインのような格好で、どんどんイメージとして農産物の汚染量がチェックできるような仕組みというのが実際にはあるんですが、まだほとんどこういうものの測定に使われていませんので、そういうものを全国の産地に緊急に整備していかないと、今回の稲わらのように、想定外の場所での濃縮というのは自然界においては山ほど起こります。ですから、やはり出口の、食物の出ていくところでのチェックというのを緊急にものすごくよくするということが大事になると思います。

吉野議員 現地でも、各小学校単位ごとにそれぞれの専門家の先生方をお招きして、放射線の勉強会、本当に参加の数は何百人、小学校単位ですから何百人という方が来るんですけれども、何回やっても同じなんですね。ですから、これは本当にどうすれば不安を取り除くことができるのかなと。その辺はいかがでしょうか、熱い児玉先生。

児玉参考人 要するに、信頼感というのは、言葉で説明を聞いて生まれるのではないと思います。私も毎週南相馬へ行っていますが、例えば、南相馬の方たちが本当に汚染している学校やなんかを案内してくれるのは、やはり一回目じゃないんですよね。だから、支援に来ている人がただ一回だけ来て帰っていってしまうみたいなのは、かえってすごく問題をひどくするだけで、やはり本当に持続的にやっていこうとすると、一緒にはかって、一緒に考えて除染していく、避難されたい方は避難を応援する、そういうのがすごく大事ではないかと思っています。
 それで、南相馬へ行って私どもが最初に言われたのは、やはりさっき言った、線量の低いところから高いところへスクールバスで子供が千人移動させられているということで、それで、実際に地域を見ても、一つの学校を見ても、さっきから私、何ミリシーベルトだったら安全ですかという議論は現実味がないと思うのは、例えば2マイクロシーベルトの学校をはかっていても、一カ所に行くと33マイクロシーベルトなんです。
 ですから、そのときに一体何ミリシーベルトをその土地とするかという問題が出てきてしまいますから、やはり、高いところがあったら必ず刈り取っていきますよ、はかって一緒にやっていきますよ、不安があったら相談に乗りますよ、農産物があったら最新鋭の科学機器を集めて、最高の検査メーカーが来てやりますよというような態勢がない限り安心できないというのが当たり前ではないか。
 ですから、今求められているのは、最高の施策が福島県民に与えられるように、国会でぜひ考えていただきたいということであります。

 内部被曝の問題が随分話題になりました。また、遠距離被爆という観点でずっと除染作業もやっていらっしゃる先生から一言伺いたいと思います。

児玉参考人 科学技術庁告示、例えば、妊娠可能の女子については、第五条四号で、内部被曝を1ミリシーベルト以下にする、それから第六条第三号、妊娠中である女子の腹部表面については前条第四号に規定する期間につき2ミリシーベルト。ところが、福島原発の事故で、広島原爆の20個分の放射線がまき散らされた途端に、このような基準がすべてほごにされている。
 先ほど、福島県の議員から、どのようにしたら安心かという御質問がありました。私は、安全に関しては、基準を決めたら、危機になったらそれを変えていく格好ではだめだと思います。今、ことしできないかもしれないけれども、来年までにその基準に持っていく、再来年までにはこうするということがなければ、住民が安心できるわけがないではありませんか。
 そのためには、最初から申し上げているとおり、広島原爆20個分の、天然にないセシウム137をまき散らした東電と政府の施策を反省し、これを減らすために全力を挙げる以外に、安心できる解決などあり得ないのです。そのことを抜きにして、どこが安全だという議論を幾らやっても、国民は絶対信用しません

阿部議員 アイソトープセンター、これは全国にございますが、今回の除染に活躍させるために何が必要か。お願いします。

児玉参考人 5月に全国のアイソトープ総合センター会議というのがありまして、そこでいろいろ議論をしていたときに、文科省の放射線規制室の方がおっしゃっていたのは、福島原発由来のRIはRIではないと。我々は国民の健康に責任を持つという仕事をやっているのではなくて、法律に決められた放射線取扱者を規制することが仕事だというふうにおっしゃっていました。
 ある面では私は非常に違和感を感じたんですが、もう一方では、例えば文科省の規制室の方は、従来の法律の規制に従ってやらざるを得ない。それで、高い線量のものが少量あるということに対応した法律体系はありますが、低い線量のものが膨大にあるという、それをどう除染していくかということに関する法律がほとんどなくて、今も汚泥問題その他、すべて問題になっているのはここであります。
 しかしながら、現在の全国のアイソトープ総合センターや何かは旧来の法的規制のままで、例えば先ほどゲルマニウムの機械が足りないというお話がありましたが、そんなものは全国にたくさんあります。ところが、そこへの持ち込み、持ち込んだ廃棄物の引き取り、こういうのが法律的に全くない。だから、今も東大のアイソトープセンターでやっているのは全部違法行為だと申し上げました。この場合には、センター長である私と専任教官と事務主任の上で審査委員会を設けて、内部でチェックして、超法規行為を勝手にやっているというのが現状であります。
 それで、そういう法律を一刻も早く変えて、測定と除染というのにぜひ立ち上がっていただきたい。それなくして親の安心もないし、しかも、原爆型の放射能の常識というのは、これは原発型の常識の場合には全く違います。ですから、放射線総量の全体量をいかに減らすか。これは、要するに数十兆円かかるものであり、世界最新鋭の測定技術と最新鋭の除染技術を直ちに始めないと、国の政策として全くおかしなことになるんです。
 今我々がやっている、例えば幼稚園で除染します。除染して高圧洗浄機でやりますと側溝に入ります。側溝をきれいにしています。しかし、その側溝の水はどこへ行くかというと、下流の農業用水になっています。それで、イタイイタイ病のときの経験は、カドミウムの除染を下手にやりますと二次被害を引き起こします。ですから、国の政策として国民の健康を守るためには、総量の問題をまず考えてください。緊急避難、一つ、総量の問題、二つ、これをぜひ議論をよろしくお願いします。

柿澤委員 細野原発担当大臣が、もう既に、避難区域の解除と帰宅ということを就任早々おっしゃられて、今度無人ヘリを飛ばして現地の調査を行って、場合によっては早期に解除して住民に帰ってもらおう、こういう話が出てきています。今の状況でこの避難区域を解除するということが正当化され得るのかということを児玉参考人に御見解としてお伺いをしたいと思います。

児玉参考人 まず、20k~30kの地域というのは非常にまだら状になっています。それで、私が一番よく存じております南相馬の場合ですと、南北ではなくて東西に線量が違います。飯舘村に近い方は20ミリシーベルト以上で、現在避難が開始されている地域。こちらの方は、海側の方は、それよりもずっと線量が低いところがあります。それで、こうした場合には自治体が判断した方が、今は20k~30k圏は、病院は休診、学校は休校ということが一応指示となっております。それを、学校を開いて、一番低い線量のところで子供が授業ができるようにするとか、そういう判断はやはり自治体の判断でできるようにした方がいいと思います。ですから、今の線引きの問題という話よりも、実際にいかに子供の被曝を減らしたり地域を復興していくかという問題がまず一個あります。
 ただ、そこでもう一つの問題は、地元で聞きますと、商工会や何かから、今は強制避難ですから補償が出ています。だけれども、避難区域が解除されたら補償がなくなってしまうということで、実際に私が南相馬へ行っている間も、住民の中で非常に大きな意見の違いが生まれていて、見ていてとてもいたたまれない思いがいたしました。それで、ぜひ避難の問題とそれから補償の問題を分けて、先ほどおっしゃった避難の解除というのは、要するに、どういう問題があるかというと、高い線量のところは除染しないと非常に危険です。それで、今そういう問題になっているのは主に年20ミリシーベルト以上の被曝を受けてしまう地域であると思いますから、そこに関しては引き続き強制的な避難が必要であると思っていますし、ここの地域をどう除染していくかということは、東電なり、我々科学者なり、日本政府がとてつもない十字架を背負っていると思います。
 そのことを住民の判断だけに押しつけるのはとても難しい問題があると思っておりまして、20ミリシーベルト以上の地域に関しては、やはりぜひとも国で、ここの避難している人たちの生活の保障と、それから、除染の努力をどのように進めるかという見通しを本当に必死に考えないといけないと思っています。それで、20k~30kという現状の同心円がそれを正確に示しているかというと、今はそうではなくて、むしろ地域復興の妨げになっている面がありますから、地元自治体との相談の上で、そこの地域のさまざまな行政、生活上の問題に関しては、子供やお母さんが一番安心できるようなものにするということを一刻も早くやっていただきたい。もう一方では、それを補償問題とどういうふうに結びつけるかという議論がないと、やはりこれはもう一方で非常に大変な問題が生まれてしまいますので、今は、強制避難でないと補償しないとか、住民が被害を立証できないと補償しないという格好はもうまずいのではないかというふうに私は思っております。

藤井聡

2011年06月16日 | まつりごと



 以下、平成23年6月16日参院復興特 藤井聡(京都大学教授)参考人公述より抜粋。

 大震災から三ヶ月以上もの月日が経過いたしましたが、その間の我が国政府の対応の、恐るべき不十分さに対しては、改めて私が指摘するまでもなく、多くの国民が、絶望的な気分を伴う深い憤りを抱かずにはおれない、というのが今日の現状でございます。例えば、全国そして世界中から集められた義援金の大半が未だに被災地に届けられておらず、復興構想会議の議論を待つまでもなく実行できたであろう数十兆円規模の大規模な国債発行とそれに基づく大規模な復興事業の始動は、決して遂行不可能などではなかったということは明らかであります。
 こうした政府の対応の恐るべき不十分さのために、被災地は放置され続け、失われずに済んだはずの数々の人々の命が、本来ならば失われずに済んだはずの地域活力が、数十、数百、数千と失われ続けているのが実態であります。これを不作為の罪と呼ばねば一体、何が不作為の罪なのでありましょうか。数名を殺めるだけで極刑すら免れ得ぬ法治国家である我が国日本には、被災地の放置というこの「巨大なる不作為の罪」を裁く法が不在なのだという不条理の極みと言うべき恐ろしい事実を誠に遺憾ながら理解させられた次第であります。慚愧の念に堪えません。
 ついては、国政に直接間接に携わる皆様方には、今すぐに迅速かつ大規模な復興事業の展開が可能な体制づくりを心から請願せずにはおれません。