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全館輻射熱冷暖房住宅システムの開発者・福地建装・代表取締役会長
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男の涙…大崎~羽田空港~函館空港~北斗市

2007年10月13日 19時02分26秒 | Weblog
出張先で慕っていた大先輩が亡くなったと言う訃報を聞きました。
一緒に働いたとび職人の仲間です。無念…とても寂しく込上げてくるものがあります。
橋脚を渡すトビ職の仕事は、人里から何時間も山の中の飯場暮らしで行ないました。
40年も前ですが…男ばかりの世界です。

夜は、沢の水の流れる音と、風が樹木の葉っぱを擦る音、そして飯場に暮す仲間のイビキの音だけです。
ここの工事現場でも事故で仲間を失った事がありましたが、彼は仲間の死を冷静に受け止め、毅然とした態度で葬儀にのぞんでいました。
私より20歳年上で、親方が最も信頼するトビ職人で、とても面倒見の良い人でした。

当時、総工費1億円で死亡犠牲者が0.5人程度などと言う事故統計がありました。
彼は飯場でそのような数値を書いて見せ、事故を起こさない手法を説いたものです。
怪我をしないために…絶対に死なないために…また誰かが死んでも泣いてはいけないと…
彼から男は、絶対に涙を流してはならないと教わりました。つまり心で泣けと…
そんな彼が、親方が亡くなった時は、亡骸に抱きついて大泣きをしていたではないか…

その彼が亡くなった…
私と彼とは、私が木造住宅の仕事するようになってから、住む世界が完全に異なってしまい、逢う機会がありませんでした。
数年前、函館市内のデパートで偶然に出会い、相互の健康を喜び合ったあの時の笑顔がとても印象的で忘れられません。彼らは、今でも鉄骨組み立てなどに就いており、疎遠となっていましたが、彼らと飯場で喜怒を分かち合った時代を忘れる事などありません。私のアイデンティテーがあそこにあるように思えるからです。

今朝、羽田空港に向う京急の電車の中でゼネコンに勤務する昔の仕事関係者と合いました。
彼は30年前まで品川駅の裏手に存在した家畜処理センターの建築現場の現場監督でした。
その工事現場で亡くなった先輩とも一緒に仕事をしたのです。

その彼から今年亡くなった先輩の話を聞く事になるとは…
函館で暮らしている仲間の動向を、東京にいる人から聞く事になり、慕う先輩を亡くした無念さよりも、普段の自分の行いを悔いるのですが…

男は泣くなと言いながら、親方の葬儀で人目を憚る事無く涙を流す彼の姿が脳裏に浮かびます。
今日、東京から北海道の本社に戻りました。

晩秋の冷たい風にはためくファースの旗を見れば、少し気分がホットになるんですが…
明日の日曜日は映画三昧で休養をします。
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