昨日、今日と日本列島は猛暑35度を越えている。
以前の猛暑の夏、東京の江戸川区のプールに泳ぎに行った時の出来事。
そこである男性との「寂しき人生」の会話を思い出した。
プールから上がって休憩しているとある60代の男性が話しかけてきた。
スポーツドリンクを飲みながら世間話しをしていると、何故か過去の体験をいろいろ話始めた。
その人は2年前脊髄癌になり、東大病院で大手術をしたとの事。
今は毎日リハビリの為プールに来て、水の中を歩いているうちだんだん良くなり、自転車に乗れるようになったと喜んで健康が本当に有難いと言っていた。
若い頃麻薬の売人をして億のお金を儲けたとの事、2回逮捕され裁判官に「貴方のような人間が日本を駄目にする」と言われて刑務所に入所したこと、懲役10年の判決だったがまじめだったので6年で仮釈放になり出て来れたとか、大麻、麻薬、覚せい剤をなんでもやったがこの味を知ったら人間生きていくのにいつも楽しくルンルン気分になるとの事。
しかし、その後は生活も貧しく苦しく嫁にも逃げられ一人暮らしと言っていた。
新聞紙上やニュースで芸能界やミュジシャン、一般の人たちにも次から次へと薬(大麻)関係の事件が絶えない。
それだけ誘惑があるものだが本当に怖しいものだと言っていた。
今迄5回結婚し今年突然いなくなった今の妻は6人目で韓国人だそうだ。
その男性は今バチがあたってこんな身体になってしまったと後悔しているとの事。
まだまだ、驚くような経験談をいろいろ聞かせてくれた。
私には別世界の話でビックリすることばかりであった。
最後に私の事を聞いてきたが、私はただ社会の片隅で人の迷惑にならぬよう静かに暮らしていて、悪い事をする度胸もなく何の取得もなく目だないように生きてきたと応えた。
その人は別れ際、伏目がちにしみじみと「だんな、それが一番だよ! 本当に。」と二度繰り返し、ビッコを引いて歩いて帰る背中を見て無性に寂しさを感じた。
私は人それぞれいろいろな人生があるものだと思った。
肝臓もかなり悪いらしい。
残り少ない人生を幸せにと祈った事を今でも時々思い出す。