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奥野和彦

診察待ちにて考へる1

2010-03-19 17:22:48 | 写真
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ブラックバスは減っている。特定外来生物に指定されてからは
淡水魚で成り立っている漁協のある湖、川、つまり霞ヶ浦や
琵琶湖などでは駆除も積極的に行われて確実に減った。
人の責任によって増やしてしまった物を、これは間違いだった
と人の責任において減らそうとするのは当たり前で
時代時代でどっちの役割をさせられるにせよ致し方ない。
それでまたモロコやワカサギが捕れるようになれば、
それでよい。
霞ヶ浦では卵の段階で駆除される方式もとられていると
報じられている。効果は大きいと実感する。
高速代を払って行っても釣れないという。
ボート屋がなくなり、釣具屋がなくなり、
コンビニがつぶれる。
湖で暮らしを立てて来たのは漁師だけではないだろう。

当然つながっている河川でも魚は減るが、そんな細い流れが
バトンのようにつながって4~50km離れたところまで
来れば、漁協もないし、流れ着いて来たバスも生き延びて
いてそこら辺が私たちの釣り場となる。
よく、日本固有種の絶滅原因と言われ、確かに一因には
なっているが、時を同じくしてヒトだけが住み易い
安全な、清潔な、無味無臭の街を作る為に小河川、用水路
の整備も非常に盛んに行われている。水郷越谷に
住んでいればよく分かる。鮒、タナゴ、エビ、二枚貝は
田んぼの水路がコンクリート溝になるだけで繁殖が
出来なくなる。そうすると、つながっている河川でも
魚が減ることになり、うっかりそこをバスが泳いで来よう
ものなら「そら、お前のせいじゃ!」ぐらいに責任を
負わされる。残っているのはバス以上に体力を持つ
近年増えすぎた野ゴイと、バス同様の外来代表アメリカ
ザリガニ、そしてバスをかくれみのにはびこるブルーギル。
循環の止まった水たまりでも生きるタニシ。

もっともヒトなんて、そうやって「やり終えた。」と思えば
あとは野となり山となる。コンクリートの溝にもやがて
流れて来た土砂が堆積し、うまくすればまた植物が生え、
また小魚が戻って来ることもある。むろん外来生物もだが。
生き物は案外したたかなもので、そうして生き延びている所
では生き延びている。魚も釣り人も、社会のうねりの中で
あっちへ逃げ、こっちへ隠れ、漂うように生き延びている。

今、僕がフナ釣りに行くところはまさにそんな所。
鯉も、フナも、バスも、タナゴも、ナマズも本当に狭い
一角に共存している。不思議にブルーギルとザリガニとタニシ
いない。ブルーギルとザリガニに対してはバスが天敵となるし
タニシは鯉が食う。これを彼らが考えて作った生態系だと
すると実にお行儀がよく、紳士的ではあるが。

そこに私のような者が「ちょっとゴメンよ」と入って遊ばせて
もらう。魚にとっては最悪の天敵で命がけだが、なるべく
傷つけることのないように、なるべく汚すことのないようにと
それだけを考える。
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