-写真の部屋-

奥野和彦

四角い写真なら

2015-02-06 16:42:53 | 写真


さて、恥を忍んで一昨日載せた写真を一部トリミングすると…、
ここに私の言うタンクが写っている。
この路地の家々に井戸水を汲み上げて給水する為のタンクだと思う。
この頃、ウチよりもさらに奥まで家が建ち始めて、それまでネギ畑だったところが
ご覧のように整地されている。今昨日の写真と同じフレーミングをして
写真を撮っても畑は一切写らない。画面いっぱい家が建っている。
が、タンクは今でもある。
数年前に見たら緑色に塗られていたと記憶している。



そしてHi-Pose126で最初にフィルムを詰めて撮った1コマ目。
もっとちゃんと根元の方からしっかり全体を撮ったイメージであったが
こんなに中途半端だったか。このへんが記憶とはズレている。
他に何度も撮ったので、そのときにはもっとちゃんと撮ったかも知れない。
手前の「危険」の箱はもっと昔にはなくて、すっきりとタンク全体が撮れた。
柱もなんだかぐにゃぐにゃ写っているしピントもはっきりしないし
これがハイポーズ126の実力である。



2ページで12枚。これだけの写真が残っていた。
写真を「試し」で撮ってみるときに撮る写真というのは
なんだか万人が似たような物なのではないかと今見て思う。
世界で最初に撮れてしまった二エプスの写真はたまたま
写真機が向いていた「鳩小屋のある裏庭」の風景であって
この12枚の中に何枚か出て来る「たまたま私が部屋から見た風景」
と変わらない。
今のクロックスのように皆が履いていた女物のサンダル。
反射の具合を撮ってみたくなったと思われるランサーのフロントガラス。
そして、見上げた電柱と実家の印刷屋の看板。
当時、まだベッヒャーの事は知らなかったけれど
船橋の西武にあった洋書写真コーナーに並ぶ本の中に
35ミリの画角ではない、もうちょっとタテヨコの比率が縮まった
写真で建物や昔の風景が撮ってある
「物を見上げて撮っているのに上すぼまりになってない写真」
というものの存在に気がついていた。2眼レフもあったが
6x6の画角のカメラを手にした時に「そう、撮れるんじゃないか」
という希望的錯覚があったかもしれない。
ブツをポンと置いて撮るタイプの写真ではなく、
外へ出てまっすぐにタテヨコに伸びるタイプの被写体を撮っている。
たぶん、もうベッヒャーかアッジェかそれに類似した
ドラマは写っていなくても被写体の強さとその精緻な描写で成り立つ
写真を見て少し魅かれていたのだろう。
でも、そう撮ることができるのは蛇腹のついた大型カメラでである
と知ったのは後に入った写真の仕事場で教わってからであった。



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1 コメント

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Unknown (EIZOU)
2015-02-08 13:26:51
丸目4灯やメッキしたウィンドウモール等、車も当時のデザインですね。年が分かるフチ有りプリントは記録としての写真の機能の一つだったかと。
それにしても初期から給水タンクにもカメラを向けていたのは凡庸ではありません。農業用の物と同型(ポンプと組み合わせてタンク内圧でポンプを制御するらしいです)と思われますが、30年以上も使用されていて、126での最初の一枚に真新しい頃の姿が撮ってあったというのが泣かせます。絶滅してしまった規格で記録されたことで、時代性がいや増していると思います。
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