化学系エンジニアの独り言

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風力発電の仲介業者

2006-08-03 | 再生可能E
風力発電など再生可能エネルギー導入を加速する仕組みとして風力発電仲介業者の活用があげられます。風力発電等は一般に地域の電力会社によって買い上げられています。風力発電等は発電コストが高いので地域電力会社にとっては逆ザヤになりかねない。有体に言えば購入量をあまり増やしたくは無いという事情、つまり経済的な制約があります。また、日本とりわけ北海道のように地域電力会社のグリッドが小さな地域では、風力発電など変動の大きい電力の受け入れは総発電量の5%未満に抑えなければならないという、技術的な制約もあります。このうち、経済的制約を緩和しようというのが電力仲介業者の活用です。

お話の舞台はコロラド州です。Valiというスキーリゾート会社があります。全米の約1割のスキー客が利用するという大手の会社です。年間の消費電力量は15.2万MWhといいますから平均電力は17,000kWになります。別の言い方をすれば一般家庭14,000軒分に相当します。

先日、この全電力を風力発電により賄うと発表しました。といっても自分でスキー場に風力発電機を立てて発電するわけではありません。Renewable Choice Energy社から全電力量に相当するクレジットを購入します。クレジットとは通常の電力と風力電力との差額分と考えればよいでしょう。RCE社は風力事業者からこのクレジット分の電力を購入します。風力事業者はミネソタ、カンザスなどコロラド以外にありますが、それは問題にしません。

実際の電力は風力発電事業者から地域グリッドに供給されます。また、Vali社は地域グリッドから電力の供給を受けます。それらのグリッドが物理的につながっているかどうかは関係ないのです。つまり電力の流れはこれまでと変わらないのですが、風力発電のコスト高の分のみをRCE社を通じてクレジットという形で購入することで、風力発電の経済的制約を解消するという方法です。

Vali社にとっては地元の石炭火力発電->温暖化->雪が減る->スキー客が減る、という悪循環を断ち切るために風力電力の使用に踏み切ったわけで、一種の設備投資といえるでしょう。Vali社は1990年のスキーリゾート開発を通じて、自然破壊の会社というレッテルを張られた一面もあり、風力電力の使用によりそのような悪いイメージを払拭する効果もあるでしょう。

Vali社の風力電力購入量は全米第2位だそうで、第1位はWhole Foods Marketというスーパーマーケット会社です。
日本でも市民○○というもののみでなく、ビジネスとしてこの様な仕組みが出てくることを期待したいところです。

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