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サルファーフリー軽油

2006-10-24 | エネルギー
2006年9月1日より米国では製油所の15ppm(硫黄分)軽油規制が始まりました。但し、小さな製油所には猶予が与えられているそうです。これに向けて製油所では6月以降、15ppm軽油(米国ではULSDと呼ぶ)の生産を開始していました。現在の15ppm軽油の流通状況をAPI関係者が以下のように発言しています。

10月15日現在で、ハイウェイ軽油の80%以上が15ppm軽油となっている。今のところ特段のトラブルの報告は無い。25年前のガソリン無鉛化では完了までに数年を要したが、15ppm軽油にあっては数ヶ月で達成するだろう。ヨーロッパにも10ppm軽油の規格はあるものの、流通している大部分の軽油は50ppmなので、米国は今世界で一番クリーンな軽油を使用していることになる。
15ppm軽油対応のため、製油所では$8 billion、パイプライン事業者は$500 millionの設備投資を行なった。

ちょっと待った。米国から見ると日本はアジアの小国で、あまり眼中にないのかもしれません。が、軽油の硫黄分規制に関しては日本が世界で一番です。

日本では既に2005年より10ppm軽油の流通を開始しています。これをサルファーフリー軽油と呼んでいます。米国ではハイウェイ軽油は15ppmですが、別にオフロード軽油という種類があり、こちらは今でも500ppmです。加えて日本ではガソリンも2005年より硫黄分10ppm以下ですが、米国では30ppmと規制値は緩やかです。

日本では5,000ppmあった軽油の硫黄分を、92年から2,000ppmに、97年から500ppm(これを深脱軽油という)に、2003年から50ppm(これを超深脱軽油という)に段階的に引き下げ、ついに2005年からは10ppm以下(これをサルファーフリーと呼ぶ)にしてしまいました。

日本でも深脱軽油製造のため2,000億円、サルファーフリーへの対応のため3,000億円の設備投資がされたといわれています。日本の精製能力は米国の4分の1ですから、日本における設備投資のほうがはるかに大きいといえます。

このように軽油の硫黄分が低減されることで、ディーゼル車に装着されている排ガス浄化装置が充分に機能して、窒素酸化物、浮遊微粒子やCO2低減に寄与するものと期待できます。

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