化学系エンジニアの独り言

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電気自動車

2008-12-14 | 省エネルギー
今日の日経新聞に電気自動車に関する特集記事があります。多面的に書かれていて分かりやすい記事だと思います。電気自動車と(ハイブリッド)ガソリン車の走行時の効率の比較、自動車の製造・使用・廃棄までを通じてのCO2排出量を比較するライフサイクルアセスメントでの比較、さらに材料・原料のアベイラビリティの観点をあげています。

単に走行時のCO2排出量のみを比較しているのではない点がよいですね。
あたしの意見は、電気自動車の導入には賛成ですが、それですべてが解決するというものではありません。

考えてみれば、日常生活に使われるものはほとんど電化されてきました。家庭内で燃料を使っていたのは、炊事、お風呂、暖房です。炊事をみればIHヒーターが普及してきました。オール電化で無い家庭でも、安全のためにIHクッキングヒーターを導入する人が増えていると聞きます。炊飯器はほとんど電器でしょう。お風呂はまだガスや灯油を使っている家庭のほうが多いですが、暖房は電気毛布や電器コタツ、エアコンなど電気機器を使っている家庭がほとんどでしょう。

鉄道も蒸気、ディーゼルから電車になりました。そう考えると電化の流れは時代の必然のような感じですから、自動車も電化されるのは不思議ではありません。もっとも、船や飛行機まで電化されるとは思いませんが。

この日経の記事に突っ込みを入れるとすれば、二つ。効率比較の数値の取り上げ方がちょっとおかしいこと、走行可能距離に触れていない点です。

エネルギー効率の比較のデータとして、慶応大学清水教授の試算(電気自動車とガソリン車の比較)と三菱自動車の試算を載せています。清水教授の試算のほうが大きく取り上げられていますが、どう見ても比較の数値は三菱自動車の試算のほうが妥当と思います。電気自動車の効率は28.5%、ハイブリッド車は24.8%というものです。まー、ほとんど同じだが電気自動車のほうが少し効率が良いのでは、といった感じでしょうか。清水教授の試算は電気自動車はガソリン車より3倍効率が高い、というものですがこれは誤解を生む数値です。

どうして三菱自工よりも清水教授のデータを大きく取り上げているのか、その点は解せません。三菱自工が「あんまり自分のデータを前面に出さないで」と遠慮したのか、清水教授が自分のデータを中心に据えろと言ったのか、あるいは編集者の判断なのか。

記事で触れていない観点に走行距離があります。
あたしの例で恐縮ですが、自家用車の使い方はこんな感じです。平日は時々通勤に使うので、10km程度。週末は買い物、子供の用事、ドライブなどで50kmくらい。夏休みや冬休みは帰省や旅行で500kmくらいの走行です。
ここで電気自動車に乗り換えようとしたときの問題が出てきます。電気自動車の弱点のひとつに走行距離が短いという点があります。そう、電気をためるのはなかなか難しいのです。現在は一回の充電で100kmくらいでしょうか。

そうすると週末の用事には耐えられますが、夏休みの旅行にはいけません。そのときにはレンタカーを借りればいいかということになりますが、国民の多くが旅行に出かける分だけレンタカーを準備するのもどうかという感じです。

以前ロサンゼルス空港の駐車場に充電用のスタンドが50台くらい並んでいる光景を見たことがあります。実際に充電している車は2-3台しかありませんでしたが、電気自動車が浸透していく風景を見たような気がします。

なんでもこれで決まり、となるような技術や製品はありません。電気自動車もその利便性と高効率を生かせる場所で活用していくことが大事です。


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