アキルは、元、捨てフェレ
警察署に保護された時、アキルの右腕は既になかった
2006年6月のこと
事故か、人の悪戯の果てか今となってはわからない
そりゃあ腕が根こそぎ折られたのだから痛かったろうと思うが、
折れた場所が良かったのか、出血は少なかったらしい
傷口はなんとかふさがっていたが、乾いた血が肩にこびりついていた
つくづく、動物ってたくましいと思うが
その無惨な姿には、みな驚いたらしい
ただ、腕の付け根に残った骨の残骸が
まるで折れた木の枝のように中からアキルを傷つけたので
除去手術の必要があった
アキルは肩が何かにあたる度に悲鳴をあげたので
なるべく動かなくてもいいように気を遣い、
ハンモックも床ぎりぎりに吊った
悲惨な目に遭ったにも関わらず、活溌で人を嫌がらないのは
アキルにとってラッキーだった
アキルは、その頃フェレットの保護をしていた友人が
「一時預かり物」として引き受けていたのだが
仕事があるので、つききりでは看られない
そこで、アキルが「普通の生活」を送れるようになるまでは、と、
私が世話をすることになった
1ヶ月後、とにもかくにもアキルは3時間かけて手術を受けた
痛い目には遭わせたけれど、痛いのも、これでもうおしまい
腕から胸にかけて20数針のキズは痛々しかったけれど
それを抜糸し終えると
すんごい勢いで毛が生えてきた
右腕は完全になくなったけれど、もう悲鳴をあげなくてもよくなった
でも、バランスが取れないせいか、ドッテンドッテン、よく転んだ
人を見上げるにもごろんと転がった方が早いみたいだった
けれどなかなか素早くて、すぐに脱走する
これで右腕があれば
もしかして、チャメ以上だったかも^^;???
やっと元気になったアキル、
数ヶ月過ごしたわが家から、保護主の友人のところへ帰って行った
行ったのだが!
つづく